この映画好きな人多いですね。特に男性。
何十年かぶりに見たけど、今回が一番丁寧に見た。
古い記憶に間違いはあんまりなくて、ぼんやりと覚えてた通りの映画でした。
今回は弟夫婦のいい人たちぶりにもじわっときた。
ロードムービーらしい、大きな青いテキサスの空と茶色い道路の色が記憶に残るけど、
わたしはヴェンダースの都会がけっこう好き。
特に夜の光、蛍光っぽい緑や赤の光を、とてもいい感じにきれいに撮りますね。
この映画の前後にヴェンダース監督は「ベルリン天使の詩」が結構ヒットして
この映画は、わたしもとても好きでした。
この後ハリウッドでも、メグ・ライアンとニコラス・ケイジでリメイクされて、
別物だけど、ハリウッド版もなんだか甘く切ない感じで嫌いじゃないです。
それで、パリ、テキサスが上映されてた頃に、
ヴェンダース監督の写真展が京都であった、記憶があるんですよ。
もう20年以上前、30年くらい前かなぁ。記憶はあやふやなんだけど、
この映画の雰囲気の写真が(撮影の時に撮ったもの?)
京都で展示されてて、どこだったか清水寺の近くの
お寺だったかなんだったか、和室に靴脱いで上がって、見る展示だった。
30年前はもちろんブログも書いてなかったのでよく思い出せなくて悔しい。
物語は青い空、どこまでも平坦な茶色い地平線の続くテキサスの、
ひと気のない場所を主人公のトラヴィスが歩いてくるところから始まります。
砂だらけのスーツに赤いキャップ。
そこで見つけた店の中で倒れて、所持品の中に弟の電話番号があったことから
弟が引き取りに来て、ふたりで車を運転しながら、弟の家へ戻る旅をすることに。
この辺は、ロードムービーっぽいですけど
そのあとはまた違う雰囲気ですね。
パリというのはフランのパリではなく、テキサスにあるパリという場所。
この場所自体より、そのパリという名前が一人歩きして別の意味を持ち
トラヴィスの両親の物語から、トラヴィス自身、また弟夫婦にも
影響を与えています。
お互いを愛しすぎて(女は若すぎて)壊れた男女が再び出会う話です。
だからラブストーリーだと見る人もいるし、
いやロードムービーの名作だという人もいるし、
むしろ親と子の話だと考える人もいる。
昔、若い頃見たときはなんだかピンとこなくて
眠くなった気がするんだけど、今回はずっと緊張感を持って見入ってしまいました。
今も、この映画はよくわからないと言われることがあって
どうしようもない男と女のどうしようもない恋愛のダメさ加減を
切なく愛おしく思う年になってくると、よくわかるのかも。
妻役のナスターシャキンスキーは、若くあどけないのに
途方もなくきれいです。
あとライ・クーダーの音楽がとてもいいですね。
トップの予告編は、ロードムービー感がゼロなので、
オープニングのシーンのこちらも貼っておきます。
あと他の映画でもよくあって、いちいち思うけど
古いホームムービーの回想シーンはずるい。
幸福感とノスタルジー、すごい増幅するからなぁ。