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sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

影絵の友達

2020-11-10 | ポートレイト
友だちとランチして、彼女の作った影絵と短歌の本を受け取りました。
影絵がこんなに表情豊かとは!と驚ける本。
久しぶりに会ったのでおしゃべりが楽しくて、喉が痛くなるほど喋った。元気が出ました。
あんなことやこんなことをしたい、する、した、と
好奇心と元気に溢れた彼女と会うといつも元気が出る。
普段忘れているけど、自分にもまだ可能性があるような気持ちになる。
同じくらいの年で、人生で今が一番楽しいというところも同じだけど、
垣根がなくて真っ直ぐで自由な人だなぁといつも思う。

わたし今だいぶしあわせな状態と思うんだけど、慣れないので落ち着かないのです。
ではこのしあわせにどうすれば適応できるのかと考えたら、
それはしあわせを疑ったり壊したりすることじゃなくて、
それを積極的に利用してやるべきやりたいことをやればいいのよねと
今日友だちと話しててわかった。

運は減らない、使えば使うほど湧いてくると、以前息子が言ってたけど、
しあわせもびくびくと腫れ物に触るように扱うのではなく、どんどん浪費すれば良いのだ。
とはいえ臆病で慎重な人間なので中々難しいことなんだけど。

校長

2019-12-16 | ポートレイト
写真の先生で、大好きな友達だった人が10月に亡くなった。
わたしは大体人が死んでも冷たいというかよくわからなくて
死ぬってなんだろう?とぼんやり淡々としてることが多いのですが、
今回は自分でも驚くほどショックで動揺しました。
ここ数年あまり元気そうではなかったし、
ある程度覚悟をしていたのにこんなにショックな自分に驚いた。
亡くなったのを知った日は、本当に何回も泣いたわ。
そのあともその人のインスタで、
延々と続くシンプルで美味しいおやつや麺の写真を眺めながら、寂しくて泣いた。
とか、書いてるだけでまた泣いてしまっていた。

今の時代、インスタとかに結構いろいろ残るから、
残された人はそれを見て、おりおりに思い出しますね。
わたしが死んだらツイッターではなくインスタ見てほしいかな。
インスタは美味しいものやきれいなものがほとんどだもんね。
ツイッターはドロドロで、いつまでも覚えていて欲しいような感じではないか。

友達と楽しくやっている写真の会を作った時に中心になってくれて
その後も「校長」というニックネームでみんなをまとめてくれた人でした。
最初の頃は「さいちゃんはかわいいねー」「かわいいなー」と、
一回りしか違わないのに孫娘を見るみたいに、優しかったんだけど、
1、2年経って遠慮がなくなったら、ニコニコしながら、ちょこちょこと、
ピリリとセンスのある意地悪を言われるようになって、それも楽しかったな。

わたしはいつも自分の写真のことを全然人や先生に相談しないんだけど、
講評やグループ展の展示の時には校長の趣味ではないなりに褒めてくれた。
わたしにアドバイスしても聞かないのを知ってたのでしょう。
わたしは自分の写真が好きだけど、「ゆるふわ」な女子写真に見えるんだろうなと
思ってそう言うと、「ゆるふわじゃない」「全然ゆるふわじゃない」
「ゆる重?ふわ重?」と言ってた。褒めてるわけじゃないだろうけど。

昔、校長について書いたブログがあった。
→「どんどん好きになる」
素敵な人でした。

粛々と楽しく生きるのだ、生きている間は。彼もそうしてたよね。

いいところ

2009-07-15 | ポートレイト
昨日書いた京都の友達はベテランの漫画家で仕事への姿勢も尊敬できるけど
彼女の一番いいと思うところは、呑気なところだとわたしは思うのです。
漫画家であるとか一番最初に目立つところじゃなく
彼女の良さは、そのおっとりとした気性にあると。
それって目立たないし、よくわからないところだけど。

誰かの一番得意なことや才能やセンスじゃなく、一見なんでもないような
性格というか性質のいいなと思うところをしみじみといいなと思うのは
家族や親しい友達の感覚に近いかもしれない。
家族や親しい友人は才能があるから好きなのではなく
(もちろん、そこはそこで好きなんだけど)
なんでもないようなその人の長所を、もっと大事に思うものだと思うから。

先日映画「斜陽」を一緒に見て大笑いしてこきおろしたのは
わたしより半まわり程年下の女性。
本やカメラや食べ物や音楽や絵やいろんな話を「わかる!」って感じながらしゃべれる相手。
神戸の方のカフェのオーナーでセンスが良くて頭が良くて、
その行動力や社交性、華やかさをすごいと思うけど
実はわたしは彼女の別のところも尊敬しているのです。
それは、うまくいえないけど、人に対してこなれているところというか
偏見のなさというか。
人に対する心のドアの開き方が開けっ放しの太陽のような人、というのがいますが
そういう素朴さとはまた違って、でも、いつでも押せば開く用意はできているような、
その微妙な加減に、大人だなぁと思うのです。
無邪気というのとは少し違う心の広さがあるように思う。
センスが良くて自分のはっきりした人でありながら
あんな風に人に対してニュートラルな姿勢で向かえる人って中々いないものです。
そう思うとわたしは、自分のこころのかたくなさを反省するのでした。

また京都に行って

2009-07-14 | ポートレイト
久しぶりの友達と会ってきました。
何週間も誰とも会わないこともあるのに
最近忙しい。
夏は苦手で、出たくないんだけど
普通の人は夏にはやはり活動的になるのか
お誘いが多くなります。
みなさん、わたしは秋~春のあいだに誘って下さい(笑)。

彼女は少女マンガ家なのですが
この1年ひどいスランプだったようで
1年ぶりにやっと描き出しているところでした。

30年描いてきて(デビュー後30年のベテランさんです)
こんなに長いこと描けなかったのは初めてで、
もうダメかと思って、転身を考え
ネイリストにでもなろうと、そういうキットまで買っちゃったよ~と
笑って言ってました。

アイデアやイメージが、湧き出てきたのは
最初の数年で、それからはうんうん絞り出して来た。
でも去年担当さんが変わって
それまでのどんどんプッシュしてくれる人と違うタイプで
しかも相手は新人の若い子でこっちに遠慮するし
それもあって、描けずにいたらそのままどんどん
スランプになった。
他に趣味もないので、買い物したりおいしいもの食べたり
気晴らしにいっぱい遊んでみてもダメ。
今回やっと描けそうだけど
次のは初めて原作つきの作品になるし
これからも描けるのか、いつも苦しいよ。

と言うんだけど
彼女はわたしの知る中でも最も呑気な人のひとり。
全然苦しそうに見えない~(笑)
すごく気を使う割に、気がつかなかったりして
どこか呑気なところがある。
でも、そういう性格だからこそ、ずっと続けてこられたんでしょうね。

ネイリストに転身、って真剣だったそうだけど
わたしが真剣にハローワーク通ってたのも
なんか似たような感じかもしれない。
本人は切実なんだけど
端から見たら、なんかへんなとこでじたばたしてるなぁ、って感じかな。

マンガでもなんでも、ずっと作り続けるというのは
しんどいことですね。

写真は京都のバスから見える街並。
そういえば冬に、うちの15歳が
茶色の糸でミトンを編んで白い糸で
「ルイ・トン」と刺繍してみろと言ってたなぁ(笑)。

友達の昇進

2009-07-01 | ポートレイト
先日、久しぶりの友達と食事をしました。
年に数回しか会わないけど
(今回も1年ぶりくらい)
お互いの複雑な事情や問題を全部話せる大事な友達です。

パートなどをしながらも、ずっと
専業主婦を20年以上やってきた彼女ですが
3年程前に派遣で、夢だったインテリアデザイナーとして就職。
それが45歳くらいの時で、仕事が
すごくうれしい、楽しい、と張り切って頑張っていました。
翌年、契約社員として採用され、ますます忙しく頑張り
今年、とうとう正社員に!48歳で、ですよ!
このご時世に、決して景気のいい業界じゃないのに
すごい!
運もあるだろうけど、才能と頑張りと人柄だと思います。
その会社は、若い頃にも一度採用試験を受けて
落とされたことのある会社だそうで
そこで、今正社員として働いてるのが不思議~と彼女は言うけど
本当に、彼女は若い頃よりいろんな面で成長し
素晴らしい人になっているのでしょう。
女性は年とともに魅力を増すなんて、きれいごとと思いがちだけど
彼女を見ると、本当にそうだなぁと思う。
彼女はやりたいこと、憧れの仕事がはっきりとあって
それに関連のあるような勉強やパートを少しずつやって
小さくてもキャリアを積んできたのも
よかったんでしょうね。

彼女と違って、何もかもバラバラで何もできないままで
社会性のない自分がイヤになりそうだけど
人生何があるかわからない、ということで
勇気づけられます。
正社員、おめでとう!

卒制クラスメート7

2009-02-22 | ポートレイト
卒制クラスメートシリーズ、まだ続きます(笑)

きれいな山羊でしょ。

これはカナダにしかいない山羊だそうです。
これを何かで見て描きたいと思った大阪のKさんは
この山羊のいる横浜の動物園まで2度も写生に行ったそうです。

山羊は夏の前に、毛を刈られてしまい
はだかんぼうになっちゃうので
時期を確認し、天気を確認し、仕事を調整しての
山羊写生旅行です。

ちなみにカナダに行っても
野生のこの山羊を見るのは難しく、
プロの写真家が2週間テントで待ち続けて
やっと見られた、というほどだそうです。

Kさんは1年目の時わたしの後ろで描いていました。
繊細で丁寧なデッサンの方で
わたしの絵もそう言われるタイプだったので
関西人二人、うはは、と笑いながら
わたしたち、繊細で丁寧よね~と
お互い慰め合いながら描いてきました。

何だか、薄っぺらで変な絵になったわたしと違って
結局彼女は最後まで繊細できれいな絵を描きました。

卒制クラスメート6

2009-02-15 | ポートレイト
スクーリングの時は、教室で
一日中絵を描いているわけですが
講義系の授業と違って
時間割は全然厳密ではありません。
朝の開始時間と夕方の終了時間と
お昼休みは、一応アシスタントの人が
知らせてくれるけど、それ以外は
それぞれ、テキトウに自分の集中力に合わせて
休んだり遊んだり(?)うろついたり、
おやつ食べたりします。

おやつは、午後、よくまわってきます。
近くの机の人同士、何となく適当に
お裾分けしたりされたり。

ある日、部屋のはしっこで黙々と土塀の絵を描いていた
多分最年長のOさんが
ぼくの作ったお菓子、どうぞ、って
ポッキーの小袋をくれました。

作ったって、これ手作りじゃないですよね、なんて
的外れなことを一瞬考えたんだけど
もちろん、そういう意味じゃなく
Oさんはポッキーの開発チームの一員だったのでした。
わたしが産まれるちょっと前、昭和40年前後でしょうか、
まだ入社数年目のOさんのいたチームが
ポッキーを作ったのだそうです。

ひゃ~、何だか歴史の生き証人みたい。

物静かなOさんの青年時代のお話をうかがいつつ
ポッキーをかりかり食べて、生き証人と同じ部屋で
絵を描くわたしたちでした。

ちなみにポッキーは海外では
ロッキーとして売られていることがあります。
豚を嫌うイスラム圏では、ポッキーは
ポークを連想するのでダメなのだからだそうです。

卒制の先生たち

2009-02-13 | ポートレイト
卒業制作の担当教員は5人。
わたしの担当のS先生は、若々しくてハンサム(笑)。
情熱があって元気で、はっきり歯切れよくお話しされる。
冒険して壊すということに躊躇なく
どんどんやってみましょう!描きましょう!な先生。
ご本人は、最近少し枯れて?きたというか
ちょっと変わってきたと思われているようですが
いえいえ、情熱のすがすがしい先生です。

Y 田先生はダンディな雰囲気で、
Y 川先生はしゃべり方がとても静か。
このお二人の先生とは、接する機会が少なかったな。

O先生とH先生は通信の先生で
ずっとお世話になってきました。
絵はともかく、人柄は、かなり個性的なお二人。
O先生は低い迫力のある声で
(ちょっとドスの利いた口調で/笑)
厳しいことをずばずばおっしゃるけど
絵を見る時に、生徒の性格とかもよく見てくれて
人柄がこなれていて、温かくて大好きな先生です。
技術的なことも、こまかく教えてくれました。

そしてH先生。
この先生は敵も多そうだし誤解をされることも多いでしょう。
先生自身も思い込みが激しく、生徒を誤解することが多いのではと思います。
美意識についても技術的なことに関しても、
ご自分のやり方を通すところがあって、
表現を追求するための豪快な技法は好きじゃないようです。
古典のいいところを大事にし、本物を求める気持ちが強いので
紙や絵の具を大切に扱い、いいものを使う画家なので、
瞬間の勢いや気持ちを大事にする人とは、中々そりがあわないのではないかな。
こんな塗り方じゃ、100年持ちませんよ、ってよく叱ります。

でも、日本画に対する愛情はずば抜けていて
幅広い知識からのおしゃべりは、本当に面白い話ばかりでした。
そして根本的なところでは、
絵は、美しくて不自然じゃなければ何だっていいのです、という考えで
決して新しい絵画を認めない先生ではないのです。
美しいものが好きで好きでたまらないのでしょうね。
だけど、大変な毒舌なので、この先生が苦手な学生も多いです。
(わたしの描いた傘は腐りかけのたけのこです!って言われた~笑)


先生たちはそれぞれ個性が違い
散々、正反対の指導を受けて惑わされたけど(笑)
一番根本的なところでは、同じことをおっしゃっているように思うし
どの先生も尊敬できる素敵な画家で
本当に勉強になりました。

これからは、ここでできたいろんなカラを
いいものも、よくないものも、少しずつ破っていかなきゃな。

卒制クラスメイト5

2009-02-11 | ポートレイト
Iさんは別の担当先生の組だけど
彼女のことは1年目から知ってて
3年目くらいから仲良くなりました。

入学したときはシングルだったのに
彼氏ができて、結婚もしちゃって
さあ卒業制作!というときに妊娠、出産。
心の変化はもちろん、実際生活の忙しさも増す中で
よく勉強し、教職までとって5年で卒業。
大卒で単位免除があったわたしと違い
必要な単位すべてと、教職の単位まで全部とりながら
課題、スクーリング、すべてこなした彼女に感嘆。
わたしには、とてもできないな。

出産予定日がスクーリングの直前だとわかったとき
まわりの人は彼女に、
子どもを優先しなきゃとか
出産後は大変なのよ、学校なんて無理よとか
あれこれ忠告していて、
親切心からだというのはわかるんだけど
あまりに「良き母」「あるべき出産」の押し付けみたいに感じて
わたしの方が、もう少しで
「どうでも彼女がしたいようにするのがいいのよっ!」と
叫びそうになる程だったことがありました。
横にいるわたしが、そんなで
ストレスを感じそうな程だったのに
彼女はずっと全部にこにこして聞いていたのです。

でも本心は不安とストレスと子どもへの愛情と
卒業への意志と、ごちゃごちゃで
すごく大変だったはず。
そこで、ずっとにこにこして
人の(大きなお世話だったりする)忠告を聞いていた彼女は
わたしなんかより、ずっと大人な人なのでした。

すらりとした美人で、強い意志を持つ彼女ですが
しゃべるとスローで中身はやや天然系(?)。
1年目の最初のスクーリングに少し遅刻して
しかも間違って別のクラスに座った彼女を覚えています。
かわいい人なのです。

大きなお腹で、昨年11月の学園祭の
アロママッサージのお店を手伝ってくれたのも、彼女です。

Iさんの絵は自画像。
妊婦の自分を描いたものです。
エスニックな雰囲気のある絵になりました。

卒制クラスメイト4

2009-02-09 | ポートレイト
長年刑事をされていたSさん。
見た目も、まさにテレビドラマに出てくる
強面の刑事さんです。
口数も少なく、ご自分のことなどは全く話さないけど
たまに何かしゃべるとよく響く迫力のある声で
なんだか説得力がある。

でも、わたしたちが何かほめたりすると
てれて困ってしまう感じが素敵です。

蔵王の絵を描かれたけど
桜島の絵を描かれた方と対照的に
モダンで激しい絵です。
ダイヤモンドブラックという黒を塗り込め、
鈍く光るアルミか何かの箔を駆使し
重厚で目の覚めるような力強い絵です。
すごい精神力のある方なんでしょうね。

卒制クラスメイト3

2009-02-08 | ポートレイト
とても体が小さいのに、エネルギッシュで
さっさと働き、さっさと描く方。
気が強そうな方で、最初、ちょっとこわかった(笑)。
白黒はっきりしないと気がすまないタイプで
甘えたり怠けたりする人に対しては
厳しいところのある方ですが
こういう人が自分のそばにいるのは
なにかと安心な気持ちになります。

実は去年だか一昨年だかに、脳に腫瘍が見つかって
手術をしたばかりだそうです。
幸い良性で、手術も無事成功して
こうして学校に通ってこられてるわけだけど
そんな生死を乗り越えてきたとは思えない程の
普段通りの元気な様子で、本当に
強い人なんだろうと思います。

孫を6人、地球をかこむように描いたのだけど
最初、きついショッキングピンクを一面に
下塗りされたので、一体どんな絵になるのかと思ったけど
うまくまとまりました。
力強くも大雑把な絵で、細かいところは
見ない見えないという姿勢が一貫してて
(ご本人に自覚があるかはわかりませんが)
見ている方の理屈は、ねじ伏せられてしまいます。
しかも、ほとんど自分が育てたというお孫さんたちへの
まっすぐな愛情がこもっていて
明るく元気な、いい絵になりました。

卒制クラスメイト2

2009-02-07 | ポートレイト
わたしの前の席でいつも描いておられたTさん。
わたしくらいの年の息子さんがいらっしゃる。
長い間看護士をしてて
その後学校で教えたりしていたそうで
気性ははっきりしているようだけど
素直でかわいい方です。
先生に何か言われると、すぐ、その通りにするのだけど
よく納得できないままでも従っちゃうので
そのあと、どうしていいかわからなくなって
途方に暮れていた姿を思い出す。

絵も、どことなく、かわいい。
何年か前の人物のデッサンの時もご一緒したけど
シリアスに描いていても、どこか線がかわいいのです、Tさんの絵は。
デッサンはおかしいし、色の使い方も単純すぎたりして
決してうまくはない絵だけど
どこか、伸びやかで、子どもの絵のようなところがある。

Tさんは椿の木を描きました。
これは散り椿といって、花ごとぽとりと落ちるのではなく
1枚ずつ花びらが散って行く種類の椿なのだそうです。
速水御舟と同じ椿を描いても
彼女の絵は、やっぱりかわいいのです。

卒制クラスメイト1

2009-02-06 | ポートレイト
大学には3つ、行きました。
最初は普通の4年制女子大で英米文学を勉強。
中学から続けて行った私立の学校で、
なんとなく卒業しました。
次はソウルの延世大学。
国際教養学部という、留学生ばかりのところに半年ほど。
アメリカからの留学生がほとんどで
授業は英語で、わけがわからないうちに半年すぎました。
3つめが、卒業制作がおわったばかりの
京都の美大。
通信で4年+休学1年の5年かかりました。
年のせい、もあるけど
2足3足のわらじを履いて勉強するのは
軟弱なわたしには大変なことでした。

でも一番たくさんのことを学べて
一番、たくさんの人の素敵なところに気がついた4年間だったと思います。
その、卒制のときのクラスメートのことをしばらく書きます。

Kさんは、九州の方。
若く見えるけど65歳で、リタイア済み。
山登りとマラソンが趣味で、かなり本気で取り組んでこられたけど、
一番面白いのは、絵、ですねぇ、と卒制の最後に
自分の仕上がる直前の絵を見ながらしみじみおっしゃったていた。

すごく真面目で、親切で、いつも丁寧。
どんなことも、まっすぐにしかできないので
不器用な回り道も多かったのではないかと思う。
夏の授業のときも、先生に、もういいです、と言われているのに
5日間、ずっと草稿の絵を描き続けていた。
必要ない作業、だったにしろ、彼にはもう一度
とことんまで描いて確認することが必要だったのでしょう。
Kさんに会うと、背筋が伸びる気がする。

Kさんは桜島を描いた。
煙までが、やさしい春の桜島。

元町

2008-12-22 | ポートレイト
土曜日に神戸の元町に行きました。

最初に、知り合いの方が以前個展をしたときに伺った
ギャラリー歩歩琳堂を覗きました。
この同じ画家が、また来週個展をするのですが
来週は行けないし、
でも彼女の作品もすでに置いてあるということだったので
久しぶりに覗いてみました。
なんとまっすぐな

歩歩琳堂(ぶぶりんどう)のオーナーさんとは
前回一度お話ししただけで
今回も少ししかお話ししていないけど
何とも素敵な人です。
自分に厳しく、ひとにはどこまでもやさしいような、
自分の仕事には誇りをもっているけど
すごく腰が低くて丁寧で、
しかも同時に、おおらかでリラックスしている感じの人です。
こんなに、ちょっとしか話していないのに
こんなにいい気持ちになる人は滅多にいない。

人にも自分にも厳しい人と話すと
しゃきっと背筋が伸びて緊張して
それはそれで清々しいことだったりもするけど、
このオーナーさんと話すと、
同じくらい心が引き締まるのに、
一方でとてもゆったりといい気分になるのです。

さて、その後、別の友達が個展をしているカフェでお茶を飲んで
(友達とは入れ違いだったようで、会えなかったけど)
大丸のヨーガンレールでしていた「スプーン一杯展」を見て帰宅。

基本的に土日に人ごみのデパートとかに行かないわたし、
いい天気の土曜のデパートは疲れました。
こんなにたくさんの人が、何かを買わんとうごめいているのに
消費低迷?なのですねぇ。
じゃ、景気のいいときには、もっともっとたくさん人がいるわけ?
そっちの方がおかしいよ、と人波にぶつかりながら
おたおた歩くわたしは思うのでした。

写真はサザンカの生け垣の葉っぱ。
サザンカの花、それほど好きじゃないけど
葉っぱは結構かわいい。

大型食器洗い機を売る人

2007-08-29 | ポートレイト
大学の帰り、バスの中で
後ろに座っていた二人の会話が聞こえました。
二人はそれぞれ中年すぎの男女で
同じ大学の通信の、どうやら陶芸コースの人たちらしい。

関東の人たちらしく、
烏丸(からすま)を「からすまる」といい、
地元の話や学校の話、京都のうんちく、
スクーリングの間、泊まってる宿の話をしていました。

実はわたしは、中年男性に大変厳しいのです(笑)
基本的に「嫌い」といっていいくらい。偏見ですけど。
電車などでは、中年男性が横に座ると、心の中で悪態をつくほどです。

何でかなぁ、多分ちょっと潔癖症なので
いわゆる「おやじ」が生理的に嫌なのでしょう。
でも、ただのいわれなき偏見なので
ちょっと知り合うと、普通に友達になったりするし
素敵な人も女性に負けずたくさんいるのもわかっているのですが
基本的に、知らない中年男性はみんな否定的な色眼鏡で見てしまうのです。

それに大学には、たまにいるのです。
ちょっとかじった程度の生半可な(そして時々間違ってさえいる)知識を
うれしそうにひけらかす年配の男性が。
また、定年を過ぎ、肩書きのなくなった男性が
いつまでも威張りグセが抜けないのも非常に見苦しくてうざったい。
(肩書きがあろうとなかろうと、威張った人が一番嫌いなのです)

バスの中で「からすまる」を連発する東京弁の中年男性は
うわあ、いややなぁ、の対象でした。
芸術や京都の街についての言葉が
一々薄っぺらく聞こえて、うんざりしました。

でも、その後、彼のクラスメートらしい品の良さそうな女性が
お仕事は何をされてたんですか?と何気なく聞いたところから
彼の経歴が、どんどん語られていって
バスが烏丸(「からすま」!)につく頃には、わたしは、このおじさんに
なんだか応援したくなるような好感を持っていたのでした。

結婚したばかりの時、会社を辞めて知り合い8人で
大型食器洗い機を売る会社を作ったこと。
奥さんに心配されて、さんざん不満や文句を言われたこと。
大変だった、飛び込みの営業。
アメリカ製の何千万円もする食洗機は
高度成長期の、大型ホテルが顧客だったこと。
海外が遠かった時代のアメリカへのビジネス旅行。
売れないときもあったけどなんとか30年やってこれて
今、年金生活で、収入は減っても
つぶれる心配をしなくていいので気楽になったこと。

さっきまで芸術や学校のことを薄っぺらく偉そうに
語っていた時とは違って、
訥訥と、でも、いくらでもわいてくる仕事の話をするその言葉は
実の伴う言葉だなぁということが、わたしにもよく伝わるので
人ひとりの人生に払うべき敬意を、
偏屈なわたしも思い出したのでした。

全く、一番傲慢なのは不惑を過ぎても青二才のわたしの方だな・・・。

写真は四条烏丸のバス停から見える ビルの窓に映る雲たち。