sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

映画:ダンサーインパリ

2023-10-21 | 映画


しょうもない駄邦題のせいで、危うく見逃すところだったけど、最高のさいこうのサイコー!
ちなみにタイトルのフランス語原題は「en corps」で「 体の中で」かな。全然違う。
そもそもパリのシーンは最初と最後だけなのになんでもパリとかニューヨークとかつけりゃいいと
安直に考えるのいい加減にしてほしい。しょっちゅう怒ってるけど、治らないねぇ・・・
この監督の前作も「パリのどこかであなたと」というあかん駄邦題で気の毒なことだわ。

さて、映画は導入のとても美しく凝ったバレエシーンの画作りにうっとりしながらも、
まあコントラストの強いおしゃれ映画かなと思ったし、
恋人の裏切りで苦悩して怪我をするヒロインってもしや馬鹿っぽい幼稚な女かと不安になったけど、
これが全然違って本当に本当によかった〜!
ヒロインのとにかく素直な性質と容姿と演技にじわじわと、そして最後はめちゃくちゃ好感を持ちました。
恋人の裏切りへの苦悩と葛藤なんてほとんど出てこなくて(動揺で怪我はするけど)
別れのドロドロやグダグダもなくて、元恋人のことなんてほとんど出てこないのが面白かった。
嫉妬や葛藤や苦悩やそれらを乗り越えるための大きなドラマ…なんてもの全然なくて
肩透かしを食らった感じにわりと淡々と話は進みます。
恋人のことを置いといたとしても、人生を賭けたバレエが踊れなくなったら、
そりゃ深い絶望に沈み込んで苦しむだろうという予想も裏切られ、
なんか淡々とぼんやりと、どうしようかなぁ、なにしようかなぁって感じの主人公のままで話が進むのです。
主人公の内面や悩みには特にスポットを当てて描かれないけど、それよりなにより
ブルターニュの田舎の生活やダンサーたち、ちらっと出てくる料理も何もかもが素敵で心鷲掴み。
フードトラックの料理人が出てくるのがフードトラック好きなのでうれしいし、
モチーフの一つである父親との関係についてもとてもいい感じに描かれています。
田舎で元バレエ仲間と普段着のまま軽く踊って見せるシーンもいいし、
主人公がまた踊るきっかけになる練習シーンの彼女のほんのちょっとした動きにもはっとするし、
踊るシーンには舞台以外でもいいシーンがたくさんありました。

他の登場人物の造形も絶妙です。
思いやり深い療法士のヤンはイケメンだけど笑わせてくれるし、
天使のようにかわいい親友の子、料理人カップル、父親、姉妹、田舎の家の老婦人、
みんなそれぞれのキャラがとてもちゃんといい具合に作られ描かれていて、
奥行きのある良質なドラマになってると思う。
そして何より、ラストのダンスが圧巻でもう涙が出るほどよくてびっくりした。
映像もきれいだけど、それよりとにかくこの主人公のダンスに引き込まれました。
オープニングのむやみにスタイリッシュな映像との対比を考えても面白かった。

全然難しい映画ではなく、壊れそうな心のひだを繊細に描くというのでもなく、
重すぎず軽すぎない、いわゆる小品かもしれないけど、
もっと日常に近いところでするりと気持ちに入ってくる暖かい映画でした。
あと、エンドロールの趣向もちょっとよかった。
もう最初から最後まで良かったので、もし近くの映画館にあとで来たらもう一度見たいな。

↓公式サイトから主役の人と、コンテンポラリーダンスの振付師の本人役で出ていた人について
エリーズを演じるのは、パリ・オペラ座バレエのプルミエール・ダンスーズで、クラシックとコンテンポラリーを自在に行き来するマリオン・バルボー。ダンスシーンに一切のスタントを使わないと決意したクラピッシュ監督が、映画初出演にも拘らず主演に抜擢した逸材だ。オープニングの15 分間のバレエシーンは圧巻。舞台裏にカメラが潜入し、本番前に神経を研ぎ澄ますダンサーたちを捉える。バルボーが踊るのは「ラ・バヤデール」。舞姫(バヤデール)ニキヤが恋人に裏切られる物語だ。胸に迫る見事なダンスを踊り、自らの手で人生の第二章を切り開こうとするエリーズの心情を、誰もが共鳴できるように繊細かつリアルに演じた。
 エリーズが出会うダンスカンパニーの主宰者に、コンテンポラリー界の奇才ホフェッシュ・シェクターが本人役で出演。代表作「ポリティカル・マザー ザ・コレオグラファーズ・カット」を振り付ける過程にカメラが密着し、トニー賞にノミネートされた振付家の創作の秘密に迫る。さらに、エリーズが惹かれるダンサーとして、フランス出身のメディ・バキが出演。コンテンポラリーとブレイキンを融合したパフォーマンスで魅了する。

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Chico)
2023-10-23 14:38:43
ブログを読んでいなければ、まさに邦題のせいで見逃すところでした〜観なければ!
>Chicoさん (sigh)
2023-10-23 19:31:12
邦題のせいで見逃しかけた映画は結構あって、外国映画は邦題で判断してはいけませんね。
お好みに合うかどうかわかりませんが、楽しめますように!

コメントを投稿