料理映画というのをたくさん見てきたと思うけど、記憶力がないので、
あんまり思い出せません。
「バベットの晩餐会」とか古くて良いものはもう一度みたいなと思うし
この前見た「ジュリー&ジュリア」も良かったので
料理映画をいくつか見たい気分になって、見たのがこの映画。
タイトルが凡庸すぎるので「しあわせのパン」みたいなゆるふわの
ダメな駄作雰囲気映画だと嫌だなぁと思いながら見たけど、
頭の中が中華の定食でいっぱいになってしまった。良い映画でした。
そういえば、昔通った料理教室では、中華は台湾人の年輩の女性の先生で、
中華だけはいつもとにかく材料を最初に全〜部刻んできれいに並べて用意して、
最後になんらかの方法で火を通すと言うやり方だった。
フレンチと和食はそれぞれ別の先生で、手順も全然違った。
フレンチは肉や魚や野菜に行く前にまずソースやスープをとるとこから。
和食も出汁を引くところからだった。どの先生もそれぞれいい先生だった。
やる気が無くてしょっちゅうさぼってたけど、
ちゃんとしたフレンチを教わったのは今思うと良かった。身についてないけど。
さて、映画は、人気の中華食堂の頑固店主の王さんが倒れて
最初はその店に百貨店での出店依頼で訪れたけど、毎日通ううちに
すっかりその店のファンになっていた女性が、
会社を辞めて、他のアルバイトをしながら弟子入りして成長していく話。
この女性はシングルマザーなんだけど、個人的な事情もいろいろあって、
途中紆余曲折があるんだけど、店主とも心が通い合うようになる暖かい話。
店主の故郷、紹興酒の地、紹興を一緒に訪ねるシーンは泣かせます。
ラストの食事会の描写のところは、もっと暖かい感じに描けるのになぁと
演出には少し惜しいところがあるしお話も、まあベタといえばベタな映画だけど、
料理を丁寧に作るシーンや、この紹興のシーンなどのディテールが良いです。
そして、
美味しいものを食べていくうちに、人々の雰囲気がどんどん柔らかくなり、
テーブルが幸せな気分で満たされていくという高揚感あふれるシーンは、
料理映画では時々見かけるけど、そういうの本当に好きだから甘くなる。笑
王さんを藤竜也がやってるのですが、最初藤竜也ってわからなかったくらい
いい感じに頑固な中国料理人の初老の男の役をやってて、良いです。
彼の中国語は、中国語のわからないわたしには自然にうまく聞こえましたね。
シングルマザーは中谷美紀。彼女はこういう役には美人すぎるんだけど
頑張ってます。でもやっぱりこんなに美人でなくていいかな。笑
普通の、定食的な中華料理を、うんと丁寧に作ったものが食べたくなります。
映画の中では、日替わり定食っぽい感じで海定食、山定食、というのがあって
この店近くにあったらどっちにするか毎回悩むだろうな〜と思う。
あとトマトの卵炒め、本当に美味しそう。
それから、鶏のお腹に何か詰めて、大きな蓮の葉っぱで巻いて、
さらに塩でつつんで焼いたやつも、おいしそうだったなぁ。
最近餃子より焼売が好きだという友達が、
餃子は色んな美味しいものがあちこちにあるけど、美味しい焼売は見つからない
とぼやいていたけど、確かに餃子専門店はあるけど
焼売専門店は聞いたことがないなぁ。
でも、この映画の中のカニ焼売はすごく美味しそうだった。
隠し味に紹興酒が入ってるんですね。ああ、食べたいなぁ。
予告編見るだけでも、よだれがでる〜