東京里山農業日誌

東京郊外で仕事のかたわら稲作畑作などをしていましたが、2012年4月に故郷の山口県に拠点を移して同活動をしています。

懐かしい!童心に戻って稲の脱穀作業

2006年10月31日 | 田舎暮らし

 これまでの稲刈りや脱穀作業は、小学生や大学生などの若者が対象でした。しかし今日は、「多摩丘陵の自然を守る会」の年齢70歳前後の方々の脱穀作業です。農業用発動機や動力脱穀機を使ってもらって脱穀作業をしてもらいました。脱穀した稲は、自分達で田植えして稲刈りして乾燥させたものです。
 私の所有する農業用発動機や動力脱穀機を使いましたので、私はひたすら脱穀機を動かして見守り、故障すると直すことに専念しました。毎年のように脱穀機を使ってもらっているので顔見知りばかりの方々です。

    脱穀機のそばに稲を山のように積んで、いよいよ脱穀開始


   皆それぞれの格好で脱穀作業        秋晴れの中、快適な作業
 

 小学生や大学生は足踏みや千歯こぎを使って脱穀しましたが、今日は農業用発動機(エンジン)を使って脱穀機を動かしました。この農業用エンジンはとても古いもので、昭和20年頃のディーゼルエンジンです。農家の庭に埋まっていたものを掘り出して直したエンジンです。数年かけて直したこともあり、私の一番好きな農機具です。出力が少し小さいため負荷がかかると苦しそうに煙を出しますが、それがとても可愛く感じられます。小川の水など自然の水で冷却するため、しばらく使っていると蒸気がもくもくと立ち上がります。

       山里に音を響かせる骨董品のような古い農業用エンジン


 農業用エンジンの回転は動力脱穀機にベルトで伝えられます。そして、内部の脱穀ドラムを勢いよく回転させます。脱穀機に稲穂を差し入れると、そのドラムに穂が衝突して籾粒がはずれます。稲穂からはずれた籾粒は、風でワラくずと選別されて脱穀機の横にある袋に送られます。

   脱穀機に稲を差し入れると、稲穂は回転するドラムに衝突


 ワラくずは脱穀機の後ろに排出        排出されたワラくずをかき出す
 

 脱穀が進むと、米袋はじきに籾で満杯になります。籾であふれる前に脱穀を止めて、新しい空の袋と入れ替えます。1袋には約30Kgの籾が入ります。

  新しい米袋を取り付け             米袋に入る脱穀された籾粒
 

 脱穀が終盤に入ると、小学生や大学生が使った古い足踏み脱穀を勧めてみました。農家出身で子供の頃に使った記憶がある人が何人かいるのではないかと思ったからです。みなさん孫やひ孫がいる世代の方ばかりです。案の定、「とても懐かしい」と顔をほころばせる方がいました。今から60年ほど前は農家では当たり前の道具でしたから、懐かしいのも無理はないと思います。

          左は動力脱穀機、右は足踏み脱穀機


 みなさん童心に戻ってぺダルを踏みながら脱穀機のドラムを回します。なにしろ5~60年ぶりに出会う農機具ですから、なかなか使い方を思い出せません。最初は四苦八苦でしたがそのうちスムーズに脱穀できました。

         息をはずませながらペダルを踏んで脱穀


 足踏み脱穀機は、脱穀した籾が散乱します。脱穀中や脱穀の後、籾をかき集めなければなりません。また籾にはワラくずなどのゴミがたくさん混ざっています。昔は風や唐箕でゴミをより分けたものですが、今日はせっかく動力脱穀機を動かしているので、それを使ってゴミを選別して米袋に入れます。

   散乱した籾をかき集める        集めた籾を動力脱穀機に入れる
 

 ついでに江戸時代の千歯こぎを使ってもらいました。一人だけこの脱穀機を子供の頃に使ったことがある人がいました。江戸時代から続く古い農家では、このような道具が納屋に仕舞われていてもおかしくはありません。

     この道具を使ったこのある人は、70歳前後の人でも極めて稀


 今日は、小学生や大学生のお爺さんお婆さんの世代にあたる人と稲の脱穀作業をしました。この世代の人たちには子供の頃に体験した思い出がよみがえるのか、とても懐かしがっていました。今日のことで、稲刈りや脱穀作業は子供達だけでなく年配の方々にも良いのではないかと思うようになりました。

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