「どこに何が置いてあったのか、どうしても確かめたい」
すっかり体が弱り出歩けなくなった老母の願いを叶えるべく、以前よく通っていたというスーパーに連れ出した。今日はいくぶん調子がいいというので。
頭の中で考え始めると、確認せずにはいられないらしい。ついでに買い物をしながら、遂にはメモを取り始めた。
激しいモノ忘れの段階から、すでに認知症に片脚を突っ込んでいるのだろう。
このところよく電話かかってきて、モノを尋ねることが多くなった。さっき電話して何を聞いたのかを問うてくることもある。
ついこの間までは電話代も1000円程度だったのに、先月は1万円を超えたらしい(これは自分で言っていた)。
わからないことがあるとどこへでも電話で問い合わせるというから驚いた。
テレビを見ていてわからないことがあったので「NHKに直接電話したこともある」と。
そんな積極的な人ではなかったんだけどね(笑)。
いま僕にしてあげられるのは、そんな電話に応えたり、こうしてゆっくり付き合うことぐらいだ。
メモを取っている後ろ姿を見て、もともと華奢な体が一層小さく見え切なくなるばかりである。
ゆくゆくは払えない1億円も相続することになりますね。
ケタ違いのご指摘、感謝します。
電話代1億円ってヤバいですね。