湘南ライナー日記 SHONAN LINER NOTES

会社帰りの湘南ライナーの中で書いていた日記を継続中

鎌倉文士の茶の間

2016-02-27 22:51:26 | 室長日記


「あら、図書館?」
1カ月ほど前、通りでチラシを配っていると足を止めてくれた年配のご婦人がいた。

「へぇー、鎌倉の本ばかりなの?ウチにもあるわよ、父がいろいろ書いていたから。寄付しましょうか」
それはありがたい。ただすぐというわけにはいかないというので、一応名刺をお渡ししておいたのだ。

すると午前中に電話がかかってきた。
「何冊かあったんですけどね、重くて・・・」
住所は雪ノ下だというので近いなと思い、これからすぐうかがいますよと返事をして電話を切った。

ところが、調べてみるともうすぐ岐れ道という辺り。かなりの距離だ。蔵書室オープンの12時まで残り30分。早足で向かったのだ。

何度か訪れたことのある某社の入居しているマンションの脇を川に向かって下っていく。
「この先、行き止まり」の表示の先に、そのお宅はあった。
呼び鈴を鳴らすと現れたのは恰幅のいい外国人男性。つづいて先日のご婦人と再会。こたつのある居間に招かれ、本の山とご対面です。

「残念だけど、父が書いたちゃんとしたものは差し上げられないのでこちらを」
と、古い本の中からまだ新しい2冊の文庫を差し出された。

そこには、まぎれもなく「鎌倉文士」と呼ばれる方の名前が。
聞いていた名前からして、もしやとは思っていたのだが、そのもしやだったのだ。

書棚にあった中から鎌倉ゆかりの本を10数冊抜き出し「贈書」いただいた。
時間があればお話もうかがいたかっtのだが、なにしろ開店時間が迫っている。後ろ髪を引かれつつお宅を後にした。

息を切らして蔵書室に戻り「鎌倉文学散歩」という本を開くと、
「鎌倉には昭和9年から住み、何度か転居を重ね、滑川沿いの雪ノ下の家が終の住処となりました」
とあった。さっきまでそこにいたのだったとしみじみ。

チラシ配りから「鎌倉文士」の娘さんからの贈書という展開。
文化人がたくさん暮らしていた鎌倉という土地のすごさをまたまた実感することになった。


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