山と溪を旅して

丹沢の溪でヤマメと遊び、風と戯れて心を解き放つ。林間の溪で料理を造り、お酒に酔いしれてまったり眠る。それが至福の時間。

復活の溪

2008-03-22 23:26:23 | フライフィッシング
午前9時半、神の川。
昨夏の集中豪雨によってズタズタにされた長者舎上流では林道と堰堤の復旧工事が進んでいた。
山奥にこだまするけたたましい重機の金属音がヤケに耳にさわる。でも早く復旧して欲しい。

本流にはふたりの釣り人が見える。
一足先に準備をしている釣り人は矢駄沢に入ると言う。

沢に入ったら誰にも会いたくなかった。
かといって源流部まで歩くのは、今はまだツライ。
最も被害が大きかった沢に入ってみよう、溪魚が生き残っているかどうかも確認しておきたかった。



閉鎖されていた檜洞丸への登山道はすっかり復旧されている。
トウゴクミツバツツジやシロヤシオの咲き誇る季節には、この道を檜洞へ辿ってみようか。

半分埋没してしまったヒュッテはあの時のまま無惨な姿を晒していた。
登山者の姿も、気さくな小屋番のおじちゃんたちの声も、小屋から立ちのぼる煙も今はない。
駄菓子をつまみ、お茶をすすりながら山の話に興じたダルマスト-ブも埋没したまま
身動きひとつできずにいる。見る度に涙があふれ出て止まらない。
北丹沢を愛してやまない人たちが早くこの場所に戻れるようになって欲しいと願うばかりだ。



登山道から溪に入った。
登山道に沿って流れていた沢は今は無く、山側に新しい流れが出来ている。
荒れ果ててしまった溪に、私のお気に入りだったダイニングテ-ブルは影も形もなくなってしまった。


しかし、溪はしたたかである。
新しい流れの中に、溪魚の棲み家がここかしこに出来ていた。



でも肝心な魚の気配がまったく感じられない。



今日のような暖かい日ならドライフライにビシバシ出てくれても良さそうなものを、、、、、。
フライをチェンジし、サイズを変えてみても反応すら無い。



もしや、溪魚も川虫も全滅してしまったのだろうか?

この溪は死んでしまったのだろうか?

不安が心をよぎったその時、、、、、、。



突然、岩陰に寄り添う岩魚の姿が目に飛び込んできた!

2尾もいる!

しかもデカイ!

ナンということだ!

夢じゃないよな!

しっかり生き残っていたんだ!



こんな感動、しばらく味わってないよな~。
もう涙腺が開きっぱなしで涙が止まらねえやい。

そばに誰かいたら、きっと手を取り合って飛び跳ねていたに違いない。
こんな光景を目の当たりにしたら、もうロッドなんか振ってられっかってんだ。

この感動を、どうしたらいいんだ。
やっぱ、、、、ビ-ルしか、、、、ねえだろ~。



うんめえ~!
こんなに旨いビ-ルは久しぶりだぜい。

もう釣は止めだっちゃ。
こんなにめでてえ日なんてあるもんかい。
酒だ酒だ~い、じゃんじゃんもってきやがれい。





かくして、岩魚の泳ぐ世にも美しい光景を眺めながら感動の酒盛りとなった訳でして、、、、、。
おまけに、岩魚と添い寝までしちまった訳でして、、、、、。
長生きして良かった。長生きしていれば、こんな感動も味わえる訳でして、、、、、。



しか~し。
このままでは、今日のめでたい解禁日がボウズである訳よね~。
これはチト許せませんわな~。
ヨッコラショっと。軽くなったザックを背負い、揺れる体にむち打って、お山に別れを告げたのでありました。



と言うわけで。
ちょっとだけ秋山川支流の王の入川に立ち寄ってロッドをしならせてあげましょうかね。



ヤダ~、あたし釣られちゃったん?
この虫ニセモノだったん?
あたし食べられちゃうん?
どうしよう、ママに叱られちゃうから帰るぅ。
きょとんとした、つぶらな瞳が可愛いね。



いつも立ち寄る河畔の田んぼは、きれいに耕されて田植えの時を待っていました。



溪よ山よ、今年もヨロシクね!








コメント (12)
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