山と溪を旅して

丹沢の溪でヤマメと遊び、風と戯れて心を解き放つ。林間の溪で料理を造り、お酒に酔いしれてまったり眠る。それが至福の時間。

盛者必衰のことわり

2008-03-09 15:09:05 | 独り言
蓄積疲労も極限に達してめまいを感じオフィスのソファに横になった。
どのくらい眠ったのだろうか、午後2時過ぎに目を覚ましてテレビをつけると名古屋国際女子マラソンの20キロ地点であった。

トツプは堀江選手、知らん。
高橋尚子はどうした?姿を探してもどこにもいなかった。やっぱりなあ、、、。
精彩を欠く最近のレ-スを見ていて危惧していたことがある。高橋さんの神は死んだのか。

ほどなく初マラソンの中村友梨香選手がロングスパ-トをかけて、そのままゴ-ルテ-プを切った。
これから何度も成功体験を重ねて更に更に成長してゆくことだろう。
中村選手の勝利を心から祝福し北京への切符を手にされることを祈りたい。

このニュ-ヒロインの登場を目の当たりにして、高橋尚子さんの時代の終焉に惜別の念を禁じ得ない。
私の心の中で『諸行無常の鐘の音』が静かに、そして寂しげに響いた。

高橋さんはなぜ勝てなくなったのだろうか?
体力の衰え、もちろんそれもあるだろう。それよりも心の支えをなくしたことが大きいと思う。
私はトップアスリ-トではなかったから高橋さんとは全然違う。
でも厳しいレ-スを戦い抜くために『神の存在』が必要であることは良く理解できる。

高橋さんが強かった頃、のん兵衛の小出監督がいつもかたわらに寄り添っていたものだ。
アスリ-トにとって、尊敬し、心から信頼しきれるリ-ダ-の存在が絶対に必要である。
小出監督は決して神ではない。監督やチ-ムメイトとの強い絆、厳しいトレ-ニングや成功体験から得た自信、
多くの人たちから学んだこと、幾つもの壁にぶち当たりそれを乗り越えた喜び、そんなものが積み重なって
自分の中に不惑の哲学が生まれる。God is myself 自分自身が揺るぎない神になる。

今、高橋さんの心の中にある『神』は死んだのではないだろうか?

小出監督から離れて自分のチ-ムを作った。
アスリ-トである高橋さんにリ-ダ-としての役目が果たせたのか?
アスリ-トである自分をリ-ダ-としての自分自身が引っ張れるのか?
二つの顔を持つ高橋さんに、心から信頼し寄り添える支えはあったのだろうか?
この人のために勝ちたい、この人ならすべてをゆだねられる、信じてついて行ける。
そんな大きな心の支えを失ったアスリ-トは信じられないほど脆いものだ。
そのことをいま一番感じているのは高橋さん自身なのではないのだろうか?


これから高橋さんはどんな生き方を選ぶのだろう?
いつも前向きで明るい笑顔を振りまいてくれた高橋さんが私たちのヒロインであることに変わりはない。
女子マラソン界を牽引し続け、シドニ-で勝利した感動を忘れないだろう。

時代は新しいヒ-ロ-やヒロインを絶え間なく生み出す。
その蔭で去りゆく者もいる。悲しいかな、それが世の常である。
だからこそ進化や成長が保たれる。

私たちも同じである。多くの先人がいたからこそ今の私たちがあることを忘れてはならない。先人の方々に心から感謝し、敬意を表したい。

高橋尚子選手、お疲れ様でした。














コメント (6)
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