錦之助ざんまい

時代劇のスーパースター中村錦之助(萬屋錦之介)の出演した映画について、感想や監督・共演者のことなどを書いていきます。

ラピュタ「錦之助映画祭り」その35

2019-05-03 12:21:39 | 【ラピュタ阿佐ヶ谷「錦之助映画の上映」】
 きのうもラピュタへ行く。昼から夕方までの三つの時間帯は相変わらず満員。7時からの時間帯になると空いて、20人ほどの入り。『お坊主天狗』はレアな映画なので、この機を逃したら見られない。それが分かっているお客さんが来ているにちがいない。『関の彌太ッペ』は名作で、しかもニュープリント。『宮本武蔵 一乗寺の決斗』は言わずと知れた傑作。この3本のラインアップをゴールデンウィークに当てたことが集客力を高めた理由だろう。プログラムは主にラピュタ支配人の石井嬢が組んだのだが、うまく行って良かったと思う。
 
 きのうはまず『関の彌太ッペ』を鑑賞。この映画は何度見ても、感動する。彌太ッペが木槿(むくげ)の花咲く垣根越しに、家の中にいるお小夜を眺めるシーンが前半に二度、後半に一度あるのだが、この場面になると胸にジーンと来て、いつも目頭が熱くなる。マニヤックに見ていて気になる点では、お小夜を救った後の茶店の場面で、お茶を飲みながら話す錦ちゃんのアップとセミロングのカットつなぎに違和感があること、十朱幸代のペット(?)の白猫がセットの中でもなぜか馴染んでいること、ラストの暮れ六つの鐘が、数えると7回鳴ること、など。



 『彌太ッペ』を見終わって、感動醒めやらず、一人で阿佐ヶ谷を散策。手打ち蕎麦屋で、天ぷらそばを食べ、それから古本屋へ寄って、本を数冊買う。前から探していた稀覯本「名優藝談」(川尻清潭編、昭和11年)を2500円で入手できた。ラッキー!
 ラピュタへ戻って、7時から『若き日の次郎長 東海の顔役』を見る。素のままで自由奔放、最も威勢のいい錦之助が見られる作品である。丘さとみのお蝶とのやり取りが微笑ましく、田中春男との掛け合いも面白い。女郎屋で大川恵子と再会する場面もいい。マキノ雅弘監督が楽しそうに演出している様子が目に浮かぶ作品で、この映画を見ると、いつも元気をもらえる。ラストの錦ちゃんと丘チンのラブシーンを見て、すっかり良い気持ちになってラピュタを出る。
 いいことづくめの一日だった。