この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

今思い出してもムカムカする【乙一/中田永一】論争。

2011-05-21 23:39:18 | 読書
 しばらく前に久しぶりに乙一が新作を出しました。
 インターネットでボツ作品を募集し、そのアイディアを元に乙一自身が新たに作品を書き下ろすという斬新な企画『オツイチ小説再生工場』、その企画が『箱庭図書館』という一冊の本にまとめられたのです。

 うん、面白いですよ。
 全体的に乙一らしい雰囲気が漂ってますし、企画の段階ではなかった仕掛けに、思わずニンマリとしちゃいます。

 が、しかし。
 乙一に関して、新作が出たことよりも個人的にある意味重要なのが、彼が別名義で作家活動をしていたことを、ツイッターで公表したことです。
 どうも出版社との何らかのトラブルがあって、そうせざるを得なかったみたいです。

 なぜ重要なのかというと、乙一の別名義である中田永一の処女短編集『百瀬、こっちを向いて』が出版されて、ネットでこれは乙一ではないか?と噂になったんですよね。
 自分は早速その短編集を買い求め、読了、すぐに結論に至りました。
 
 これは乙一に間違いない。絶対に。

 自分は何事であれ、自信のないことで有名な男です。
 そのことで先日ネットの友人から「もっと自信を持て!!」と叱咤激励までされたぐらいです。

 でも、、、世の中、絶対に間違いないことってそう多くないと思うんです。
 絶対にそうだ、と断言出来ることもね。
 だから、自分の書く文章には、やたら「思う」「思いました」「思うのです」といった「思う」の活用形が出てきます。あまりにも頻出するので削除してるぐらいです。
 まぁ「思う」こと自体は事実ですからね。

 そんな自分が、乙一=中田永一は“絶対に”間違いないと思いました。
 これほど自信を持って断言出来ることはそうはないというぐらいに。

 二人の作家A、Bがいて、Aは売れっ子作家、Bは新人の覆面作家である。Bは作風、文体がAに似ているといわれ、さらに出身地・世代が共通していると推測される。
 であれば、AとBは同一人物である、と考えるのが自然でしょう?
 同じ時代、同じ地域に、同じぐらいの文才を持ち、作風が似通った作家が二人出現する確率は限りなく低いからです。

 で、当然のようにミクシィの【乙一】コミュでは「中田永一は乙一なのか?」という論争が巻き起こったんです。
 自分は自分なりの乙一=中田永一論を(ここに書いたのとは比べ物にならないぐらい詳しく)展開しました。
 しかし、、、乙一≠中田永一派の人も少なからずいたんです。

 何が悔しかったかといって、乙一≠中田永一論を唱える人は、中田永一の作品は乙一らしくない、っていうんですよ。作風が違うとか。
 自分の目から見たら、どこを切っても乙一印100パーセントの作品なのに!!

 結局そのときは決着はつかなかったんですけどね。
 真実がわからないんだから仕方ないんですが。
 そのとき自分は、いつか真相が明らかになる日まで覚えとけよ、と乙一≠中田永一派の人に捨て台詞を残したんです(心の中で)。
 それがおよそ三年前のことです(う~ん、我ながら粘着質だ。笑。)。

 で、真相が明らかになりました。
 当然自分は正しかった。

 あのとき乙一≠中田永一論を唱えた人に是非とも聞きたい。
 あなたはそれまで乙一作品の、何を読んできたというのか。何が面白いと思ったのか。何に感動したのか。

 そして言いたい。
 中田永一作品に乙一らしさが見い出せないというなら、いっそあなたは山田悠介の作品でも読んでいればいい(山田悠介ファンの方、ゴメンなさい。でもよく似ていると比較される両者なので。)。
 
 我ながら暴言を吐いてるなと思わないでもないですが、でもそれぐらい、中田永一は乙一ではないと否定されたとき、ムカついたのですよ。

 三年間、ずーっと、胸の中に蟠っていたので、言いたいことが言えて、すっとしました。
 あー、気持ちよかった!!
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43 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
乙一と山田悠介 (まくら)
2011-05-23 00:54:01
乙一。
山田悠介。
一応、両作品とも読んだことがありますが、に、に、似てる・・・・・・?
そんなこと言われてるんですか・・・・・・?

驚愕しました。

似てるもなにも、両者には比較するべきところすらないような気がするのですが。
さっぱりわからない。世の中は広いです。
返信する
Unknown (幸太郎)
2011-05-23 17:43:26
3年くらいは、まだ粘着には入りません。
その相手が不治の病に倒れ、その見舞いに行った先で、
「そう言えば君、乙一と中田永一は別人だって論じてたよね」などと
言って初めて粘着の資格ありです。
ちなみに今、佐藤亜紀の「ミノタウロス」を読んでるのですが、
次に読むのがようやく「GOTH」です。
続けて中田永一も読んでみるつもりです。
返信する
コメント、感謝です。 (せぷ)
2011-05-23 21:52:50
まくらさん、幸太郎さん、コメント、感謝です。

>まくらさん
実のところ、山田悠介作品は未読です。
自分の読書本能が激しく「読むな!!」と叫ぶので。
なので、作品を具体的に評価することは出来ないのですが、それでも乙一と山田悠介に共通項がない、ということぐらいはわかります。

なのですが、世の中には二人の作風が似ていると認識する人もいるようなのですよ。
ミクシィの乙一コミュの【乙一と山田悠介の違い】というトピックから、トピ主のコメントを転載します。

>私のまわりには乙一さんと山田悠介さんの作風が同じだと言う人がたくさんいます。
>それが私はどうしても許せません。
>だって、乙一さんの世界観は山田悠介さんとはまったくの別物だからです
>みなさんはどう思いますか?

少なくともトピ主の周りにはたくさんいるようなのです。
ほんと、世の中、理解できないことが多いです。

>幸太郎さん
そうですか、自分は粘着質としてまだまだですか。笑。
残念ながら、件の乙一≠中田永一論を唱えた人は、直接的な知り合いではないので、不治の病に倒れたとしても病室にお見舞いには行けないのですよ。
ほんと残念です。

『GOTH』は必読だと思います。叙述トリックに若干疵がありますが、それでも最後まで読んでいくと、これってこんなお話だったのか!!と驚愕すること請け合いです。

中田永一は、、、どうなんでしょう?
なにぶん短編集なので、作品によって出来不出来があります。
でも乙一作品で一番好きなのは、中田永一名義の『小梅が通る』なんですけどね。
返信する
名義 (新米)
2011-05-30 19:44:47
結局、乙一=中田永一=山白朝子で良いんだよね?
乙一作品読んだら、別名義も読みます。
やっぱ世界観が素敵ですよね。
返信する
そうです。 (せぷ)
2011-05-30 21:29:31
そうです。
乙一=中田永一=山白朝子です。
乙一本人がツイッターで認めましたし、wikiにも現在ではそう記載されています。

ただ、個人的には乙一=中田永一であることは間違いないとは思っても乙一=山白朝子だとは思いませんでした。
なぜかというと、内容がどうこうではなく、山白朝子の短編集の帯の推薦文を乙一が書いていたからです。
さすがに、自分自身で書いた本の推薦文を自分で書かないだろうと思ったのですが、、、結果は乙一=山白朝子でした。
これは読めなかったですね。笑。

山白朝子名義の作品は『石の目』的なオカルト系です。
『石の目』がお好きならきっと気に入ると思いますよ。
返信する
Unknown ()
2011-07-25 17:41:01
乙一 中田永一で検索してきたんですが、
そんな論争があったんですね。
知らなかったです&知らなくて良かったです。
純粋に本を楽しめなくなりそうだから。
だから、3年、それを考えていたとは。
=でよかったと思います。

箱庭を出版してめっちゃ久々じゃん!と思っていたところに、別名義を知りました。
出版していなかった間に、別名義の本が(というわけでもないのかもしれませんが)
それが自分はショックでした。
待っていた時間を無駄にしたと・・・。

最近中田永一作品を読みました。
知っているということもありますが、確実に乙一ですよね。
本は図書館派の私はまだ山白朝子名義は読んでいませんが(なかった)、いずれ読みたいと思います。
乙一のオカルト系も大好きですので。

あと、山田悠介と作風が似ているといわれていることも初耳でした。
どこが・・?
昔は山田悠介も好んで読んでいましたが、最近は飽きてしまいまったく読んでいません。
最近の作品は知りませんが昔の作品は似通った話ばかりに感じて。(山田悠介ファンの皆様すいません)

乙一の作品は、ストーリーの大筋と思っていた所とは、実は違う視点進んでいたという所が、なんか錯覚をみた感じになるところが好きです。
返信する
あったのですよ! (せぷ)
2011-07-25 22:09:45
はじめまして、環さん。
閑古鳥がラインダンスを踊っているブログですが、以後よろしくお願いします。

>乙一 中田永一で検索してきたんですが、そんな論争があったんですね。
あったのですよ!
でも知らなくて幸いでした。
論争自体はすごく不毛でしたから。

>最近中田永一作品を読みました。知っているということもありますが、確実に乙一ですよね。
ですよねぇ。どこをどう切っても乙一印だと思うのです。
中田永一作品を読んで乙一とは作風が違うと言い張る人は、いったいこれまで何を読んできたのか、って尋ねたいです。

>乙一のオカルト系も大好きですので。
それならきっと気に入ると思いますよ。
図書館に入ってきたらいいですね。

>あと、山田悠介と作風が似ているといわれていることも初耳でした。
自分は山田悠介作品は未読なので、作風が似ているかどうかの判別は出来ませんが、似ていると言われることがあるというのは本当です。
ミクシィでもそのトピックが立てられたのですが、でもなぜだか削除されられちゃいました。
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Unknown (tpa)
2011-08-17 18:42:37
こちらもすっきりさせていただきました。
乙一さんと山田悠介さんは暗くグロいラノベを書くから似てるってことなんでしょうかね?一概に言えないというか、各々の魅力って全然違うと思うがなあと思いました。
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何よりです。 (せぷ)
2011-08-23 22:24:25
tpaさん、すっきりされたなら何よりです。笑。

乙一と山田悠介、世代的に同じということ以外然して共通点はないように思うのですが、まぁネットでは乙一が『デスノート』の原作者だ!!っていうアホらしいデマも流れたことありますからね(ありえない!乙一は週刊漫画誌の原作者になれるほど勤勉ではない)。
人の見方はそれぞれってことでしょうか。
返信する
Unknown (Unknown)
2011-09-01 12:12:21
山田悠介と似ているなんていってる人がいるなんて・・・

ちゃんと中身読んでるのか疑いたくなります

ひどいな
返信する

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