この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

隣りのマフィア。

2006-03-30 22:14:10 | 読書
トニーノ・ブナキスタ著、『隣りのマフィア』読了。

《story》フランスのノルマンディー地方の片田舎、ショロン・シュル・アーブルにある日アメリカ人のブレイク一家が引っ越してきた。家長であるフレッド・ブレイクは自らを作家と自称していたが、実は証人保護プログラムによって名前を変えた元マフィアのドンだった。本来人目を忍んで暮らさなければならないブレイク一家であったが、彼らの身体に流れるマフィアの血がそんな平穏な暮らしを許すはずもなく・・・。

などと書き出すと暗く重い話なのかなと思われるかもしれませんが、これがまためっちゃくちゃ笑えます!
まず何がおかしいかって、“生まれてこの方、ブックマッチの厚紙に住所をメモする以外に文字など書いたことがない”フレッドが、ひょんなことで見つけたタイプライターを相棒に自叙伝を書き出すんだけど、家族の誰からもまともに相手にされない。
そりゃマフィアのドンとしてふんぞり返っていた男がサンルームで一人カチャカチャとタイプライターを叩く図っていうのは想像しただけで笑えます。
あくまで平穏に暮らしていかなければならないのになぜかマフィアの流儀を貫いてしまうフレッド(と三人)。
水道水の汚染源である肥料メーカーの工場をダイナマイトで吹き飛ばすくだりは圧巻。やりすぎだよ、フレッド!!

主役であるフレッド以下ブレイク一家は無論のこと、彼らを監視するために同じくフランスの片田舎で過ごす羽目になったFBI捜査官、そして一家を付け狙うヒットマンたち脇役まで、登場人物が全員個性的で、そこがまたこの小説をより面白く、魅力的なものにしています。

これほど抱腹絶倒のギャングストーリーがわずか¥700(税込み)で読めちゃうのだから、あらためて文春文庫の海外翻訳物はいいよなぁと思わずにはいられませんでした。
上質のコメディが読みたいという方、また『ゴッド・ファーザー』や『グッド・フェローズ』といったギャング映画が好きだという方にお薦めの一作です。

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