昨日の記事の続きです。
自分はジェロームが自ら命を絶ったのはヴィンセントが生きて地球に帰らないと思ったからだと考えています。
そしてジェロームが残した大量の検体サンプルは偽物だったに違いない、そう睨んでいます。
しかしここでは一旦その考えを取り下げましょう。
ヴィンセントが見事タイタンでの任務をやり遂げ、一年後に地球に帰還したときのことを想像してみしょう。
地球に帰還したヴィンセントはまず誰よりも先にジェロームに無事生還したことを報告しようとするでしょう。
しかし当然ジェロームとは連絡は取れません。
ただこのときはヴィンセントもそこまで深刻には考えないでしょうね。どこかに旅行にでも出かけているのかな、ぐらいで。
自宅であるアパートメントに帰り着き、ドアを開けたときに異変に気づきます。
やけに焦げ臭い匂いがする…。
異臭をたどり、焼却炉の扉を開け、そしてジェロームの変わり果てた姿を目にします。
そのとき彼は何を思うでしょうね。
大変なショックを受けるのは間違いないでしょう。
呆然自失となるか、半狂乱になるか、ともかくまともな精神状態でいられないはずです。
そんな精神状態でヴィンセントがこの先タイトロープの上を渡るようなガタカでの生活を送れるとは思えません。
ヴィンセントが無事に地球に生還するということは彼がジェロームの死体の第一発見者になるということに他ならないのです(少なくともその可能性は否定できない)。
自分はそのようなアフターストーリーは望みません。
自分はジェロームが自ら命を絶ったのはヴィンセントが生きて地球に帰らないと思ったからだ、と述べました。
しかし仮にジェロームがヴィンセントは地球に戻ってくると思っていて、それでも彼に死ぬ理由があったとすれば、彼はきっとヴィンセントに彼の死を知られぬ方法で死んだに違いない、そう思うのです。例えば異国の砂漠で、極北の地で、人里離れた森の奥で。
もちろん基本的に移動の手段が車いすである彼が遠出をすることは困難に決まっています。
しかしそれは困難であっても不可能ではないはずです。最悪人を雇って連れて行ってもらえばいいのですしね。
彼が死に場所を二人が暮らしたアパートメント(の焼却炉)を選んだことが彼がヴィンセントは生きて地球に帰らないと考えた何よりの根拠になる、そう自分は考えます。
検体サンプルが偽物であると考えたのもそこからきています。
ヴィンセントが二度と地球に帰らないと考えたのであれば、あえて本物の検体サンプルを用意する必要はないですからね。
なぜ『ガタカ』を見た多くの人がヴィンセントは宇宙飛行士になるという夢を見事叶えたのだ、と考えるのか何となくわかります。
人は知らず知らずのうちに物語にハッピーエンドを求めるのでしょう。
その気持ちはわからないでもない。
ただあまりにその気持ちが強いと物語の本質を見誤ることになります。
『ガタカ』は決して、努力をすれば夢は叶うというようなスポ根的なお話ではないのです。
でもだからこそ、自分は『ガタカ』を見るたびに泣けて泣けて仕方がありません。
先日、考察について思うことを書きました(こちら)
簡単にまとめると、考察において重要なのは①素直に丁寧に情報を読み取ること、②常識に従うこと、③欠落した個所を想像すること、その三つです。
『ガタカ』がどういうお話なのか、本質は何か、考察する際の三つのポイントを念頭に入れて考えてみてください。
今まで思っていたのとは違う、別の『ガタカ』が浮かび上がってくるはずです。
自分はジェロームが自ら命を絶ったのはヴィンセントが生きて地球に帰らないと思ったからだと考えています。
そしてジェロームが残した大量の検体サンプルは偽物だったに違いない、そう睨んでいます。
しかしここでは一旦その考えを取り下げましょう。
ヴィンセントが見事タイタンでの任務をやり遂げ、一年後に地球に帰還したときのことを想像してみしょう。
地球に帰還したヴィンセントはまず誰よりも先にジェロームに無事生還したことを報告しようとするでしょう。
しかし当然ジェロームとは連絡は取れません。
ただこのときはヴィンセントもそこまで深刻には考えないでしょうね。どこかに旅行にでも出かけているのかな、ぐらいで。
自宅であるアパートメントに帰り着き、ドアを開けたときに異変に気づきます。
やけに焦げ臭い匂いがする…。
異臭をたどり、焼却炉の扉を開け、そしてジェロームの変わり果てた姿を目にします。
そのとき彼は何を思うでしょうね。
大変なショックを受けるのは間違いないでしょう。
呆然自失となるか、半狂乱になるか、ともかくまともな精神状態でいられないはずです。
そんな精神状態でヴィンセントがこの先タイトロープの上を渡るようなガタカでの生活を送れるとは思えません。
ヴィンセントが無事に地球に生還するということは彼がジェロームの死体の第一発見者になるということに他ならないのです(少なくともその可能性は否定できない)。
自分はそのようなアフターストーリーは望みません。
自分はジェロームが自ら命を絶ったのはヴィンセントが生きて地球に帰らないと思ったからだ、と述べました。
しかし仮にジェロームがヴィンセントは地球に戻ってくると思っていて、それでも彼に死ぬ理由があったとすれば、彼はきっとヴィンセントに彼の死を知られぬ方法で死んだに違いない、そう思うのです。例えば異国の砂漠で、極北の地で、人里離れた森の奥で。
もちろん基本的に移動の手段が車いすである彼が遠出をすることは困難に決まっています。
しかしそれは困難であっても不可能ではないはずです。最悪人を雇って連れて行ってもらえばいいのですしね。
彼が死に場所を二人が暮らしたアパートメント(の焼却炉)を選んだことが彼がヴィンセントは生きて地球に帰らないと考えた何よりの根拠になる、そう自分は考えます。
検体サンプルが偽物であると考えたのもそこからきています。
ヴィンセントが二度と地球に帰らないと考えたのであれば、あえて本物の検体サンプルを用意する必要はないですからね。
なぜ『ガタカ』を見た多くの人がヴィンセントは宇宙飛行士になるという夢を見事叶えたのだ、と考えるのか何となくわかります。
人は知らず知らずのうちに物語にハッピーエンドを求めるのでしょう。
その気持ちはわからないでもない。
ただあまりにその気持ちが強いと物語の本質を見誤ることになります。
『ガタカ』は決して、努力をすれば夢は叶うというようなスポ根的なお話ではないのです。
でもだからこそ、自分は『ガタカ』を見るたびに泣けて泣けて仕方がありません。
先日、考察について思うことを書きました(こちら)
簡単にまとめると、考察において重要なのは①素直に丁寧に情報を読み取ること、②常識に従うこと、③欠落した個所を想像すること、その三つです。
『ガタカ』がどういうお話なのか、本質は何か、考察する際の三つのポイントを念頭に入れて考えてみてください。
今まで思っていたのとは違う、別の『ガタカ』が浮かび上がってくるはずです。
ジェロームの最後について理由を検索していて、こちらに着きました
ガタカについてまとめられていらっしゃる内容とコメントのやり取りを拝見して違和感を覚え、少し考えていました
「なぜ自ら命をたったのか」その「理由」として挙げられているのが「帰らないことを知っていた」からと考察されていて 知っていたor知らなかった で議論をされています
私はその答えはわかりませんし どちらも否定しませんが
帰る帰らないかは理由になりえるのでしょうか?
その前に理由があってプラス選択の基準としての理由であって
仮に帰らないことで絶望(あくまでも仮です)したとしたらそれは依存です
故に理由というなら「依存」となります
違和感は要素を理由の中心としてあげられているからだと気づきました
他者の為の理由ではなくジェローム本人の理由の考察がないため反論が起こっているのではないでしょうか?
絶ってもいい理由と絶ちたい理由 の違いです
全体の考察自体は面白く拝見させていただきました
ありがとうございます
きちんとHNを名乗ってもらえただけで、ほっとした気分になります。
>帰る帰らないかは理由になりえるのでしょうか?
ヴィンセントが帰るか帰らないかがジェロームの死の決定的な理由にはならないという考え方があることに「へぇ」と思いました。
自分は、ヴィンセントがタイタンでの任務を終え、一年後地球に帰還する、そうジェロームが信じていたならば彼は自死を選択しないであろう、そう考えているからです。
なので、なりえるのでしょうか?と尋ねられたら、なりえるのではないですか、としか答えようがないのですが…。
ヴィンセントが地球に帰還しないこと、言い換えればヴィンセントの死がジェロームの自死の理由であったと考える自分ですが、その時の彼の心境を推しはかるのは正直難しいです。
掛け替えのない親友を失ったという絶望もあったでしょうし、親友を宇宙に送り出したという達成感もあったでしょう、他に道はなかったのかという後悔の念もあったかもしれません、一言では言い表せません。
残る二つのコメントに対するレスは週末にでもさせてもらいますね。
>その時の彼の心境を推しはかるのは正直難しいです。
そこなんですよね
私を含む「理由」を知りたがっている人は
命を絶つ必要があったのか?その心境が知りたい「理由」なんです
帰るなら自死を選択しない≠帰らないなら自死を選択する
主さんのブログで「なぜみんなこんなに明らかな理由がわからないのだろう」的な内容があったので
理由の定義が違うのだろうと思いました
結局 推し量るのは難しい が結論なのだと思いますが
自己投影や共感ができたら、もっと作品を楽しめるのになと思いながら、どこかに答えがないものかと探しております
こんな会話にお付き合いいただき ありがとうございます
ヴィンセントが帰るか帰らないかがジェロームの死の決定的な理由にはならないという考え方があることに「へぇ」と思いました。
自分は、ヴィンセントがタイタンでの任務を終え、一年後地球に帰還する、そうジェロームが信じていたならば彼は自死を選択しないであろう、そう考えているからです。
なので、なりえるのでしょうか?と尋ねられたら、なりえるのではないですか、としか答えようがないのですが…。
かみ合わない理由の一つですが
例えば、一人の男がいたとして
男は人間である、故に人間は男である
これはおかしいですよね?男は人間ですが 人間は男とは限らないです
逆は成立しないんです
>一年後地球に帰還する、そうジェロームが信じていたならば彼は自死を選択しないであろう
これも同じで逆は成立してないのです
だからこれを根拠に
帰らないことを知っていたから自死を選択したというのは
男は人間だから人間は男とか 私は人間だから人間は私です と結論付けているので
理由になりえるのでしょうか?とお尋ねしました
ただ他で書いたとおり
帰らない→自殺ほう助→責任から
とかであるならば変ではなく 理由は責任を感じてとなります
複雑な感情が色々あると思うので主さんの仰るとおり一言では言い表せない事だと私も思っています
失礼します
なるほど、自分はそこのところ確かに「=」で結んでいたかもしれません。
必ずしも「=」とは限らないと言われたら、すぐには反論できないですね。
久しぶりに『ガタカ』について高度なレベルで議論を出来たと思います。
ありがとうございました。