この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

『ディフェンドー 闇の仕事人』、六歳児の心を持つスーパーヒーロー。

2010-09-19 23:15:58 | 旧作映画
 ピーター・ステッビングス監督、ウディ・ハレルソン主演、『ディフェンドー 闇の仕事人』、DVDにて鑑賞。


 スーパーヒーローというものは得てして精神面が弱いものです。
 そりゃまぁそうでしょう、文字通り超人的な肉体を持つ彼らが精神面でも完璧であったら、それこそ完璧すぎてお話を面白くしようがありませんから。
 スーパーヒーローものとは、スーパーヒーローが精神的なトラウマを克服するお話である、といっても強ち間違ってないと思います。
 つまり、スーパーヒーローが精神的に弱いのは、それが彼らの宿命であるから、といってもよいのではないでしょうか。

 しかし、精神的に弱いのが常のスーパーヒーローであってもウディ・ハレルソン扮するディフェンドーほど精神的に弱いヒーローはいないでしょう。
 いや、精神的に弱いという言い方は正しくないかな、ディフェンドーの場合、オツムが弱いというべきでしょうね。何しろ彼は六歳児の知能しか持たない、知的障害者という設定なので。

 スーパーヒーローは元来様々な特殊能力を有するものと相場が決まっています。
 自在に空が飛べたり、掌から糸を飛ばしたり、銃弾を跳ね返したり、etc。
 中には『バットマン』や『アイアンマン』のように特殊能力を有さないスーパーヒーローもいたりはしますが、彼らには代わりに圧倒的な財力と科学力があるので何も問題はありません。

 スーパーヒーローの本場アメリカではそうした超人たちの活躍に飽きたのか、『キック・アス』や『スコット・ピルグラムVSザ・ワールド』、さらに『スーパー』など、ご近所ヒーローものが次々に公開されていますが、それでもディフェンドーほど何も持たないヒーローはいないはずです。
 何しろ彼には六歳児の知能しかないので(見かけはオッサンだけど)、やることといえばビー球をぶつけたり、パチンコ玉を飛ばしたりと、小学生の悪戯の域を出ないんです。
 それでも彼にはスーパーヒーローになりたいという願望だけは人一倍あるので、何度悪人にボコボコにやられてもそのたびに立ち向かっていくんです。そしてまたボコボコにされる。泣。

 でも彼のその必死な姿を見て、街の人々が少しずつ正義に目覚めていくんですよ。
 そしてディフェンドーがたまたま助け(てやっぱりボコボコにされ)た、ヤク中であとは野垂れ死ぬだけだった売春婦も彼に生まれ変わることを誓うんです。

 もうね、見ていて本当にハラハラドキドキですよ。
 例えば『アイアンマン2』なんか観ていても、どんな危機に陥ったとしてもどーせ最後はアイアンマンが勝っちゃうんだろうな、って思えるんですけど、ディフェンドーの場合そんな予定調和がどこにもないんです。
 最後の戦いに赴く彼の勇姿には不覚にも目頭が熱くなってしまいました。
 先日『悪人』を観たときはぶっちゃけピクリとも心の水面は揺れなかったんですけど、『ディフェンドー』はめちゃめちゃ感動しました。

 惜しむらくはDVDが字幕オンリーだったってことですかね。自分は普段DVDは字幕をオンにしての吹き替えで鑑賞しているので。
 まぁそれは瑣末といってよいですけどね。

 『ディフェンドー 闇の仕事人』(←この副題は余計、、、っていうか正しくない)、六歳児の心を持つスーパーヒーローに、あなたも心の水面を揺り動かされてみませんか?
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 古湯映画祭に行ってきました。 | トップ | 『ソフトボーイ』、ベタなコ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

旧作映画」カテゴリの最新記事