ブログ 「ごまめの歯軋り」

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拉致被害者家族会の主張をどうみるか

2010年11月29日 | 時事問題
asahi.com 2010年11月29日0時44分
拉致被害者家族会が緊急集会 北朝鮮砲撃に抗議
 北朝鮮による韓国への砲撃を受けて、拉致被害者の家族会と支援団体の「救う会」は28日夜、東京都文京区で、抗議の緊急集会を開いた。政府に、情勢が急変した場合の拉致被害者救出のための法整備と、北朝鮮への追加制裁を強く求めることを決議した。

拉致被害者救出の法整備とはどういう事を意味するのか?

拉致被害者家族会の主張は抑えられない心情から発せられていることは理解できる。ただ法的には問題が多すぎるのではないか。「邦人救出」のために第2次朝鮮戦争のときに、自衛隊を北朝鮮に入れといっているのか。韓国と安全保障条約を結んでいない戦争の第三者である日本が介入できるわけはなく、多くの朝鮮の人命が戦争で失われている最中に、日本人救出のために戦争地域に直接入ることは絶対に出来ないはずである。それでは日本が戦争当事者になってしまう。拉致被害者家族会の発言は昔から超法規的発言が多く、出来ない相談が多かった。これは拉致被害者家族会が発足の時から自民党の右派に取り込まれているようであり、自民党はこれらの動きを利用して民族主義的政策に使おうとしていた。「交渉と圧力」(実は圧力に重点があった)の方針は結局何ももたらさなかった。朝鮮民族数百万人の植民地時の苦しみと、日本内地への軍需産業強制労働送り(数10万人が送られこれが在日朝鮮人問題の根幹となった)と軍用慰安婦徴用(これは拉致ではなかったのか)など、朝鮮民族の苦しみに思いを馳せることができなければ、正しい日本ー朝鮮問題の進展は無いのではないか。