ブログ 「ごまめの歯軋り」

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暫くデフレが続きますが、これは企業の過剰反応

2010年11月26日 | 時事問題
asahi.com 2010年11月26日8時40分
消費者物価指数、20カ月連続下落
 総務省が26日発表した10月の全国消費者物価指数は、生鮮食品を除いた総合指数(2005年=100)が99.5となり、前年同月より0.6%下がった。前年同月水準割れは20カ月連続で、モノやサービスの価格が下落するデフレが続いている。

デフレや不況は怖くない。いずれ収まるから。本当に怖いには「ハイパーインフレ、ドル崩壊」

ケインズは「かなりの期間にわたって正常以下の水準で活動し続けることができる」という。それは逆説的に「見えざる手を部分的にでも縛り付けておく」ことで経済全体の安定性を確保することが出来るというのだ。労働者の賃金を下げるのは抵抗が大きい事と、経済全体の低下傾向の何倍もの量と速さで企業は生産量と雇用水準を減少させるからである。これをケインズは「乗数過程」と呼んだ。又中央銀行を国家の統制下におくことで金利を管理するのが国家のできる唯一の対策である。

マルクス主義者や社会科学者は需要縮小に伴う過剰生産、デフレや不況、恐慌を資本主義の危機と見ていたが、本当は貨幣から人々が逃げ出す「ハイパーインフレ」こそ貨幣を貨幣として成り立たせる構造を破壊し、資本主義に本質的な危機をもたらすのである。好況は物価や賃金が上昇する事であるが、適度の上昇であれば人々は歓迎する。しかし商品全体にたいする総需要が総供給に較べて増大すると、インフレ的熱狂になる。これがヴィクセルの「不均衡累積過程」によって連続的に無際限に進行すると、資本主義にはこれを抑える力が内部には存在しない。流動性選好は縮小してインフレを一層加速する。そして貨幣からの逃走が始まる。これを「危機」と呼ぶ。資本主義は貨幣への期待をなくして崩壊するのだ。これまで「ハイパーインフレ」は開発途上国でよく起きたが、ドルという信用にリンクする事で回避できた。問題は世界基軸貨幣であるドルを中心とした「ハイパーインフレ」は救いようが無い。これこそが資本主義の真の危機なのだ