これまでの雪山登山で最も好きな画像(冷水岳山頂直下)
このブログでも、これまでに雪山登山の記録は残してきたが、その魅力について考えたり、記したりしたことはない。そこで、これまでの経験から、自分にとっての「雪山登山の魅力」はどんなことなんだろうと考えてみた。
自分が雪山に登るようになってからは、まだ20年ちょっとしか経っていない。スキー歴は60年ほどになるので、雪山に接する年数は非常に長かったが、「冬山は怖い!」というトラウマがずっとあったからである。それは、大学1年ときに、同じ大学の山岳部員10名が亡くなるという旭岳遭難事故が原因である。
◎雪山に登るようになったきっかけ
雪山に登るようになったきっかけは、1999年12月に自分が創設にかかわったHYML(北海道の山メーリングリスト)のお陰である。「坂口さんはスキーが上手なのだから、雪山で生かさないのはもったいない」と言われたことに始まる。そのシーズンに、山スキー用の板や靴を購入し、ベテランの仲間に誘われて、あちこちの山へ登るようになり、雪山の魅力に少しずつハマっていった。それに伴い、アルミかんじきや、アイゼン、ピッケルなども揃えて、対象の山が広がって行った。
しかし、一人歩きの山が多い自分は「雪山は、天気の良いときの日帰り」「アイゼン・ピッケルで登る、滑落しそうな氷雪の山は登らない」と決めてきた。そういう意味では、天候が安定して、ラッセルの楽な3月以降の春山が、一人でも安心して登れる山である。
◎自分にとっての雪山登山の魅力とは?
1、どこを歩くのも自由
夏山は、藪漕ぎや沢登りなどもあるが、ほとんどは登山道を登ることが多い。しかし、雪山の一番のメリットは、雪崩や雪庇などの危険なところを回避すれば、どこでも自由に歩けることである。
登山道のない山を登るときは、雪山が圧倒的に多いし、登山道のある山でも、夏には登ることのできないルートからの登頂も楽しむことができる。また、下りは膝にも優しいし、スキーはもちろんだが、かんじきでも、速く下ることができる。
2、雪山ならではの美しい風景
一面の銀世界、青空の下に連なる雪嶺・・・空気が澄んでいて、眺望がよいということもあるが、どこまでも青い空と、眩しいほど真っ白い雪のコントラストは雪山ならではの絶景である。
夏に見慣れた山々も、雪化粧をまとうと、まるで別人。気高く美しい姿に惚れぼれする。また、木々の葉が落ちるので、夏に見えなかった展望を楽しむことも可能である。
3、雪と風が織りなす造形美
霧氷、樹氷、エビの尻尾、スカブラなど、思いけない自然が創り出した芸術作品に惚れ惚れすることが多い。
4、BC(バックカントリー)スキーを楽しむことができる
登山は、登頂を目指すことは多いが、山スキーは登る道具だけでなく、滑りを楽しむ道具でもある。いわゆるBC(バックカントリー)スキーである。得意のスキーを生かして、自然の大斜面の深雪の豪快な滑降を楽しむことができる。
一人でも行くこともあるが、圧倒的にHYML仲間との三段山や羊蹄山などのグループ山行が多い。その方が安心感もあるし楽しい。ただし、道南にはこのフィールドとなる山もないし、仲間もいないのが残念。
以上の魅力とは、十分な装備、ある程度の技術、危険を回避する留意点等を身に付けた上でのことである。
雪山登山の装備・技術・留意点は、自分も執筆している、HYML編集の上掲の両書(ともに北海道新聞社発行)が詳しい。
「雪山登山の魅力」をいままで記した事が無かったんですね(笑
ちょっと意外な気もしますが、今回ご披露、ご紹介していただきありがとうございます。これから雪山を始めたいと思う方には、参考になると思いました。
私も時々、自分の山登りを振り返って昔を思い出したりしますが、その時「あんな山行をよくやれたものだ・・!」なんて厭きれる事もあります。沢を登り、藪を漕ぎ、氷雪を登ってでも山に登るのは、やはり自分を奮い立たせる山の魅力があるからでしょうね。
安全登山を念頭にこれからも登れるだけ登ろうと思いますが、sakagさんのご報告も楽しみにしています。
雪山登山の魅力、同感でした!
夏山もそうですが、特に雪山は、天候に恵まれることが、その魅力を発揮してくれることになりますね。
エバさんの1000m超峰踏破は、まだ、ハードな雪山登山が必要そうですね。頑張ってください。
安全に雪山を楽しんでいる様子がうかがえます。
北海道に移住し、sakagさんには花を愛でるなど楽しさを教えていただきました、BCにも憧れましたがスキーを始めるのが遅しで、上達しません。
そう言えば、sakagさんと山談義をしたことがなかったですね・・・
私の冬山の思い出は、「厳しい」ですね、全てではないですが。
手袋・アイゼンを付けての岩登り、途中でビバーク、腰掛けるだけテラスでツェルトのみでじっと夜明けを待つ。
取り付くまでに沢筋を通るので夜明け前に出発、アイゼンのみの深いラッセル、吹雪かれて凍傷になったことも。
ふふ、歳をとってきたので、昔の思い出話に花を咲かせるのもいいですね・・・
意外と山の話をしていなかったなと思いましたので、お許しください。
もっと早く分かっていたら、参加したかもしれませんね。残念です。
吉克さんは参加されるのでしたら、頑張ってください。
冬でも、クライングをやられることに驚きました。
アイスクライミングはやられたのですか?
あれは凄いですよね。
風景とか花鳥風月とか仲間との連帯とか、色々とありすぎるのですけど、行く着くところは「自由」でした。
マルクスは「自由」を「必然性の洞察」と看破しましたが、地状や気象その他の要素から導き出される、ほぼ唯一の「線」にそって動く、実現する、その合理性に自身も合一している、その一種宗教的とも呼ばれても反駁しにくい情動・感動によって、自由な自己の実現とその解放感を満喫する、ここに尽きていました、自分は。
雪山は(実は夏山も)、自由であり、解放であり、自己実現だったのだと思います。(もちろんのこと100%の実現ではないにしても、その疑似体験として感性涵養の有意性は失われないと思うのです。)
そうしてまた、こういったテーマについて多様な意見が交錯し合い、リスペクトが生まれるという「場」、それこそが、夏冬問わない「山」の意味であり課題なのだと言ってしまったら、もっと大上段???・・(^^♪
「雪山は(実は夏山も)、自由であり、解放であり、自己実現だった」という部分は、理解もでき、共感できますが、あとは難しくて・・・