今日は、「来週の捜索には参加できないので、この日曜日にぜひ捜しに行きたい」と札幌の山仲間5名がやってきた。次回の捜索計画を練るための下見を兼ねた捜索をする予定だった函館組5名に合流してもらって捜索に当たった。札幌組は、私がよくお世話になっていて、斉藤さんとも同行経験のある「地図がガイドの山歩き」を中心としたメンバーである。
今日のルートは、中山橋から稜線上の600ポコへ登り、昨日下った夏道への下り口までの稜線上を東進する予定だった。稜線までの尾根もエスケープルートとして利用される可能性もある。融雪がかなり進んでいたので、幅広く、両側の谷地形も覗きながら登った。
600ポコから毛無山方面へ下る。すぐ下の両側から源頭が突き上げているコルを越える。左(北側)にはデブリで埋まっている急な深い谷が覗く。そこから雪がほとんど融けてしまっている590ポコへの急な尾根の南側の広い斜面を捜しながら登って行った。
登り切ったところから派生する北尾根の頭にスキートレースをいくつか発見。古いトレースがほどよい融雪状態に合わせてタイミング良く顔を出した感じである。単独行のトレースであり、ここまでスキーで登ってくる人はほかには考えられない。斉藤さんのトレースに間違いないと全員確信。その周りや下の尾根にもまだないか捜し廻った。先を進んでいた2名が「この先のピークの下にもある」と言われてみんなで見に行った。なんとキックターンをして登ってくるくっきりとしたトレースがいくつか見つかった。
これまでの捜索活動では全く手掛かりがなかっただけに、非常に重要な手がかりである。戻っているかもしれない下りのトレースも捜したが、見当たらなかった。ここまでは確実に進んでいて、戻ってはいないということだ。我々はここから毛無山に向かって進んでも意味はないと判断。
戻って、この辺りの斜面を捜し、さらに600ポコへの登りとその先の設計山方向の稜線上にスキートレースがないか調べようということになった。急な尾根の南側の斜面を捜しているときに、前回の捜索の際に歩いた尾根からかなり離れたところにかんじきのトレースも発見。推測するに、その下の細いコルの通過と600ポコへの狭い急斜面の登りに備えて、スキーからかんじきに履き換えたことも考えられる。しかし、その先にはそのトレースも見当たらなかった。
コルの上から下の方にデブリの見える北側の深い谷を覗いてみた。その谷の下の方でカーカー鳴いて木々の上を飛んでいる2羽のカラスも気になった。
600ポコまで戻り、ガスで展望が利かなくなった中を、先週に引き続き、設計山直下のキレットまで進んだ。この稜線は前回も雪付きが悪く、さらに、笹や藪が顔を出しているところが多かった。斉藤さんが倒れていればすぐにわかる状態であったが姿は見えず。スキートレースも見当たらなかった。
このスキートレースの発見で、斉藤さんの捜索範囲がぐっと狭まった。また、今日歩いた稜線上に倒れている可能性はも少なくなった。谷の中かエスケープルートとして使ったかもしれない尾根の可能性が強い。そうなると、可能性の強いゾーンは、2ヶ所に絞られることになりそうだ。(下図参照)
いずれにしても、非常に収穫の多い5時間半の捜索活動だった。ただ、範囲は狭まったが、捜索ルートの下見が必要になった。今週中にでもAゾーンとBソーンのアプローチのルート工作をしなければならない。
今日の歩いたルートのGPSトラックログほかと想定される捜索範囲
朝7:00に第1回捜索の前線基地となった駐車場での集合写真(鎌鹿さん撮影)
札幌からの5名と函館組の5名と出迎えと見送りをしてくださったブリガンズ山岳会2名
鎌鹿さん(左から2人目)に見送られて中山橋を出発
稜線上の600ポコからコル越しの急な590ポコへの登り斜面を望む
尾根からかなり離れた南側に見られたかんじきのトレース?
ガスに覆われた雪解けの進んだ稜線を設計山方向へ向かう
今年初めて目にしたリアルな熊の足跡
ゴール手前の尾根の下の川が大きく開いていて、往復ともに渡渉に苦労した