嶋津隆文オフィシャルブログ

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「歴史教科書」で描かれた中韓の日本記述に思う

2015年06月22日 | Weblog
【南京虐殺記念館】

ほっと時間が空いたこともあって立ち寄った本屋で、『文芸春秋』7月号を購いました。「中国、韓国、ロシアの歴史教科書に日本がいかに描かれているか」と興味ある特集が組まれ、しかも執筆者が異才というか鬼才というか、あの佐藤優であったからです。

中国語もハングルなども全く読めない自分にとって、こうした比較はたいへん貴重です。とくに佐藤優であれば、へんな脚色を施すことは恐らくないとの安心感を持って目を通しました。

まず中国の教科書です。「階級闘争史観と徹底したリアリズムに貫かれている」と佐藤は指摘します。だから明治維新を徹底研究する一方、南京虐殺を「日本の侵略」の象徴としたとします。しかし単なる反日でなく、英米とともに反ファッシズムを戦い、現在の新しい世界秩序を作ったプレイヤーであることを中国は強調していると言うのです。

他方で韓国の教科書です。これは日本にとって脅威で、「テロリスト史観」で貫かれていると指弾します。日本の要人、特に天皇へのテロを礼賛する記述が延々とあることを挙げ、「韓国は“恨”の文化と言われるが、教科書も怒りに突き動かされている」と佐藤は嘆くのです。

昨秋に私は「南京虐殺記念館」を訪れ、ソウルで日本大使館前の「慰安婦少女の像」を目の当たりにしました。3年ほど前には瀋陽(奉天)での柳条胡事件を扱った「9・18歴史記念館」へ向いました。

いずれの施設にもその大きさと重さには圧倒されてきたものです。それに加えての、日々の教育現場で浸透する上述した歴史教科書の記述です。これからの日中韓は未来志向で、などという掛け声が自滅しかねない心地になるというものです。

しかし各々の地で、私たちを案内してくれた人たちは間違いなく好意的でした。日本人相手の観光業者であり行政職員であったためでしょうか。いや若い彼らは笑顔で、将来はなんと日本に留学したいと言っていたのです。既に娘が二人、京都に留学しているとさえ教えてくれました。そうなのです。その呟きが私たちにはそれなりの、小さな救いになったことは否めません。


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