写真:「関西広域連合(平成22年12月発足)のHP」
大阪維新の会が次々と改革案を提示しています。わけても国政進出のための「船中八策」は、新機軸がズラッと並ぶだけになかなか新鮮です。その一つ、「統治機構を変える」として「大阪都構想から道州制へ」との主張に目が行きました。
道州制については、平成18年に地方制度調査会が区域割りの3案を発表するなど、それなりの検討が行われてきています。しかし「船中八策」は机上の論議でなく現実味を帯びています。国の骨格に及ぶテーマでもあります。ムードで決めてはいけません。
道州制のメリットは本当にあるのか。その点で注目すべきは、関西広域連合の動きです。橋下知事らが先般スタートさせたこの組織は、救急医療や防災等の府県域を越えた課題に取り組むもので、関西の7府県が連携しています。運営も含めこれがうまく機能しているのか、大いに目を向けるべきと思うのです。
私が敬服してやまなかった梅棹忠夫先生が、ある時こう言っておりました。NIRAでの関西圏の復興プロジェクトの場でのこと、「関西を一つにだって? ホホホ、関西というのは昔から一つ一つですよ」。大阪、京都、神戸さらに奈良という歴史的にも文化的にも異なる、個性ある地域の統合の困難性を強く案じていたのです。
可能な限り好意的に見ていきたいと思う橋下改革です。しかし国家の骨格が、大量の小泉チルドレン、小沢ガールズを生んだような、衆愚の劇場型選挙で決められるとしたら危険です。平成の市町村合併の功罪の検証も含め、道州制といった国家の仕組みの大改革には冷静な議論と評価が不可欠と言うものです。