駒崎優 「足のない獅子」シリーズ (講談社ホワイトハート刊)
「足のない獅子」という一風変わったタイトルを見て、ずーっと気になっていたんですが、ついに読みました!!
内容をおおまかに書くと、中世のイギリスを舞台にした作品で、騎士見習のリチャードとギルフォードという二人の従兄弟が、まわりの人から依頼を受けてちょっとした事件を調査する過程で、更に大きな事件に巻き込まれるという展開。
中世のヨーロッパというと、ファンタジーものや戦争ものをイメージすることが多いですが、この話にはそういった魔法やオカルトめいた話は一切出てこないし、派手なアクションもなく、わりと淡々と話はすすんでいきます。
が、何故か次も読みたくなるのです。作者は西洋史を学んでいたというだけあって、領主や庶民の暮らし振りがすごく現実的に描かれていて、普通の少女向け小説とは違った面白さがあります。小説なんだから史実なんて無視してもどうという事はないでしょうけど、基本的に私は史実にある程度基づいた話の方がリアリティがあって好きなんですよね。その点この話は合格です。派手じゃない分、飽きもこない安心できるシリーズと言った感じでしょうか。
それに、主人公の二人は血筋の上では従兄弟同士になるのですが、2週間違いで生まれて、事情があってずっと一緒に育ったこともあって、双子のように心が通じ合うところが所々にあって、そこがまたいいんですよね。性格はまるで正反対といってもいい程違うのに、信頼し合うことができる仲っていいですね。
また、ずっと気になっていたタイトルの「足のない獅子」の意味が分かったときは、かなりジーンときました。現在もこの二人が活躍するシリーズが続いているので、ぜひ続きを読みたいです。