上砂理佳のうぐいす日記

7月18日(木)~23日(火)まで、茶屋町の「ギャラリー四匹の猫」で「夏への扉」展に参加します★

ランビエールの「命賭けてます」

2006-02-20 | トリノ五輪
どんどん競技が進んで、もう女子のSP滑走順が出てる…。そして私はいーかげん、通常の仕事モードに戻らなきゃ。

銀メダルのランビエール、悔しいのかな。嬉しいのかな。
ソルトレイク五輪翌年の03年ワシントン世選で、17歳ながら最終グループで滑った時は、確かジャンプがボロボロで「4回転に挑もうとしたけど、全く歯が立たず」状態だったと記憶してます。でもスピンだけは★ほんっとうに★素晴しかった。あの時のフリーは、本人もう緊張でボロボロだったと思うけど、私には印象的でした。
その後、怪我・手術でGPシリーズに現れず、「あのスピン少年はどうしてるのだろう~」と思っていたら、04年欧州選手権でピョコッと現れた。
「げ、げんきー!?」と思わず凝視したら、また4回転に挑んでいる!(欧州では確かパンクしてしまってたが)あきらめてなかったんだ。ややややや。
おまけに「踊り」が素晴しく上手くなっている。振付のイメージも、彼の魅力を損なわないような「ヨーロッパの哀愁」的なもの。センス良い~と唸ってしまいました。この欧州選手権の演技自体の出来は悪かったけど、ランビエールの魅力再発見に私は驚愕。正直、15~6歳の頃は、芸術的センスは余り感じられなかったから。何だ?このいきなりの成長は何だ!?
その直後のドルトムント世界選手権で、最終グループ入り。この時18歳。そして、フリーで2度の4回転を跳んできた!この時は地元ドイツのステファン・リンデマンが、4回転は1度ながらも大歓声に助けられ、密度の濃い演技。ジャッジ1人差で銅メダルを獲りました。ランビは惜しくも4位(この時のリンデマンの嬉しそうな顔は一生忘れられません)。
でも「これは大変な事になったな~。おお~?おお~?」と思いました。この時点では、フランスのジュベールが「打倒プルシェンコ・若手筆頭」だったからです。実際、プルシェンコの不調もあり、若いジュベ(19歳)は、「俺が次期チャンピオン」というオーラでキラキラしてました。なんとなく、このままジュベールの天下になるかも…という雰囲気も匂っていたのですが、この欧州+世界選手権の連続活躍で、とにかく、ジュベより格下だったランビエール株はグッと上昇したのでした。来季はこれは…。

迎えた05年(04-05年)のシーズン。
ここから新採点法が正式実施となります。ランビはまたしてもGPシリーズに出てこない。怪我療養中と聞き、「こんなに故障が多くて大丈夫かなあ?」と不安モヤモヤ。余り期待しないまま、05年モスクワ世界選手権開幕。
ところがフタを開けてみると、ランビは予選トップ!なにーっ!?
いいとこまで行くとは思ってたけど、まさか1位でスタートとは。SPも1位。この時の世界選手権は、プルシェンコが病気+怪我でタイヘンなことに。SPも不本意な出来で、終了後、ついに棄権。
さあ、えらいことになった。玉座の王様がいなくなったので、新しい王様は誰だ?誰だ?男子のトップ選手達は、蜂の巣をつついたような騒ぎだったことでしょう。「もしかして王様になれるかも…ふっふっふ」と一番思っていたのは、実はジュベかも。SP2位と好位置につけ、充分に逆転可能。初優勝は目の前だ!
ところが男子最終グループは、やはり「もしかして優勝できるかも」の重圧が全員にかかったのか、ミス多発で大波乱に。ジュベールは冒頭の4回転が3回転になるミスから、ガタガタと総崩れになり6位に転落。ジェフは、転倒もありつつ美スピン+美ステップ+美芸術性を見せ、2位に浮上。思い切りのいい、若手バリバリなライサチェクが3位に。
ランビエールは、とにかく「4回転」に賭けていたと思います。私は昨年のファイナルの時、ナマであの4回転を見て確信しましたが(笑)、力強い「バンッ!」とした踏み切り。なんかこう「跳ぶ為の黄金の法則」みたいな独特のノリがあって、俺は死んでも4回転を跳ぶ!跳べる!…と世界中にアピールしているかのようでした。
この05年世選フリーで、他のジャンプは「○」「×」「○」「×」みたいな成功度だったのですが、お見事に2度跳んで来た4回転は強烈でした。特に後半になってから跳ぶ4回転は圧巻(後半はスタミナが落ちるので、大技を跳ぶのは極めて難しいとされる)。結局、この2度の4回転でランビは勝利をもぎ獲り、実にン年ぶりの「ロシア人以外の世界王者」が誕生したのでした。19歳だったので、立派なものでございます(この時の嬉しそうな顔も、わたしゃ一生忘れられません)。
ランビエールは、もともと得意だったスピンに加え、豊かな感受性あふれる踊り、個性的なステップ、振付、考えに考えられた「勝つ」ためのプログラム構成。ここに「せーのー!ばんっ!」と跳ぶ強い4回転があるのだから、やはりやはり優位に立つかなーと思います。
今回も、4-3-2を決めましたね。アザヤカ~に!ランビはきっと、あの3連続ジャンプに「命を賭けて」たのだと思います。それほどの気迫を感じたのでした。
あのボロボロだった03年のスピン少年、今、4-3-2を跳び、栄光の中にいる~(金ではないけど栄光だよね)。感慨深いです。泣いてしまいます。
国際ジャッジで解説者でもある日本スケート連盟の藤森さんが、「ランビエールは将来、絶対チャンピオンになりますよ。スケートがとにかく上手いから。」と、03年世選終了時に話しておられた事は、見事的中したのでした。ちゃん★
(でもそんなランビも、3アクセルが苦手…なんか可愛い^^;)
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6 コメント

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ダブルアクセルにビックリのオリンピックでした。 (haha)
2006-02-21 02:08:33
ランビのその「命賭けてます」的な所が男性には受けるのでしょうか、珍しくウチのダンナ様が「アイツは観てても気持ちが良いな」と褒めるので、すかさず「ジョニーも良い子だよ」と売り込むも反応なし。

GPFの時、ランビがテレビ画面から消えてしまいそうな程、派手にトリプルアクセルでコケていたので、オリンピックのSPの最初のジャンプを注目して観ていたら、いきなりダブルアクセルでビックリ。

FPでもダブルになっていたように記憶してますが‥‥

どうしてランビはトリプルアクセルが苦手なのでしょうね?

そう言えば、J君も思わぬ所でダブルアクセルを跳んで???‥‥

ご本人さんだけでなく、観ているコチラの頭の中もグチャグチャになってしまいました。

今思えば、ダブルアクセルにビックリさせられたオリンピック男子シングルでした。
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2アクセルなんて… (うぐいす)
2006-02-21 21:27:33
ランビは男っぽいですよね。思い切りがいいというか。なるほど、ウケますか。

一般に「前向きで踏み切るジャンプ=アクセル系」は恐怖感が相当あるそうで、苦手な方も多いようです。田村ヤマト君も、4回転トゥを跳ぶのに3アクセル苦手で、ランビとそっくりなパターン(笑)。でも、アクセル得意な人もいるのにね。

男子のトップで、2アクセルを単独で跳ぶのは、かなり屈辱(恥ずかしい)…とも聞いたのですが。最近は点を稼ぐために皆、跳んでますねえ。「オトコなら2アクセルなんか跳んじゃいかん!」と思うのは、私だけでしょうか(笑)。
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ほんと、ビックリ (hiro)
2006-02-21 23:23:44
ランビ君、3アクセルどうかな?と思って見てたら・・・フム、そうですか、その作戦ですか。

しかし某J君の場合は・・・えっえっえっ~~?! 間違えたんとちゃうのん?!

私も以後、頭ん中がぐちゃぐちゃでした。

お願い、2アクセルは最後のほうで、目立たぬようこっそりと飛んでね・・・
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こっそり(笑) (うぐいす)
2006-02-22 23:49:52
ほんと、ひっそり跳んでほしいですね(笑)。もしくは2アクセルと4回転のコンビネーションなら許せるが(^^;)。

ランビエールはこれから、3アクセルのトラウマを越えられるでしょうか。

ジョニーの3アクセルー3トゥはまさに絶品ね。世界一ウツクシイわ!

世界選手権ではどういうジャンプ構成にしてくるのかなあ?

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ちょっとでしゃばり。 (Felix)
2006-02-25 06:50:07
初めまして。オリンピックがらみで辿り着きました。ランビエールのお話だったのでつい。金メダルを取ったあと、ドイツのTVのインタビューでも泣いてたことを突っ込まれてました。うぐいす様もご存知のように彼は直前までコンディションが悪かったらしく、出場できたこと事態が信じられないほどで感極まってしまった様子。話し方も性格も笑顔もすごくいい感じでした。因みにテントウムシが彼のラッキーチャームなようで様々なアイテムを集めてるようです。今日のエキシビジョンも笑顔がよかったな~。ということで、失礼しました。これからも拝見させていただきます。
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はじめまして。 (うぐいす)
2006-02-25 10:43:30
Felixさん、こんにちは。はじめまして。

トリノ五輪も閉幕に向かってしまいますね。寂しいです。

EXは録画したまま、まだ見てないんだけど昨年のワールドのEX「トスカ」が好きで、このトリノでやってくれたら、いいのにな~なんて思ってました。

フリーの時、テントウムシ少女が応援してたらしいですね(笑)。彼はキャラクターもとても好きです。でもナマで見た時、意外と大柄でないので(中柄?)吃驚しました。リンクでは大きく見えますね。

コンディションといえば、4位のライサチェクは胃痛で大変だったらしいですが。でもみんな頑張ったんだな~、と感嘆です。

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