サッカールーの何でもござれ パート2

シドニー在住者のサッカーについてのざれごとです。

スペル星人と百窓

2022-02-23 09:28:01 | 日記

スペル星人と聞いて、ああ、ウルトラセブンのあれかと分かる人は、かなりのマニアである。マニアというよりもオタクだろう。ウルトラセブンの第12話は「遊星より愛をこめて」というタイトルで欠番となっている。そこに出てくるのがスペル星人。問題が出て、再放送できない扱いとなったエピソードである。

 

どうして欠番になったかといえば、グーグルすると以下の説明が出て来る。

第12話は、実相寺監督の前衛的な映像表現もあり、放送時は問題にはならなかった。しかし3年後の1970年、小学館の学年誌『小学2年生』の付録についた怪獣カードで「ひばく星人」というニックネームで紹介されたことが大きな騒動となった。

被爆者団体などから「被爆者を怪獣扱いするもの」として抗議が殺到したことを受けて、制作元の円谷プロは「今後一切、スペル星人に関する資料の提供を差し控える」と約束した。

こうして第12話は欠番となり、再放送やメディア収録されない幻の作品となった。「スペリウム爆弾」の実験で、放射能による健康被害に悩んだ宇宙人「スペル星人」が、腕時計に似せた道具を使って、地球人の血液を集めるというストーリー。スペル星人は、真っ白な体にケロイド状の火傷の跡がついた、核爆弾で被爆したような痛々しい姿だった。

 

今では考えられないようなユニークな脚本である。しかし当時は最初の放送で視聴率が32%もあり、それから3年間は抗議は出なかったのだ。随分とのんびりした風情である。1967年、ウルトラセブンでは何でもできたのだろう。

 

さて、12話の中でのスペル星人の拠点は「百窓」という実際にあるビルを使用した。このビルは世田谷区岡本にある住宅で実際に住んでいる人がいる民家だった。筆者は子供のころ、世田谷区に住んでいたころがあり、この「百窓」と通学していた小学校の近所だった。かなり変わったデザインの住宅で、ウルトラセブンだけでなく、「コメットさん」とか他のドラマでも出て来る。

 

なぜ世田谷区にある住宅がドラマに出てくるかといえば、近所というかそこから車で15分くらいの位置に、国際放映と円谷プロがあったからだ。そのために筆者の住んでいた地域ではよくロケを見かけた。ドラマだけでなくCMの撮影などもよくあった。通学していた中学校のテニスコートを借りて芸能人がCM撮影に来るなんてこともあった。

 

そのために撮影所の近くにあるユニークな外観の「百窓」がスペル星人の拠点になったのである。さて欠番となった第12話だが、脚本家は核実験反対というメッセージをこめていたのだが、それとは真逆の問題が出て欠番となってしまった。これに関してアンヌ隊員を演じたひし美ゆり子さんは、作品に込められた思いを風化させてはいけない、封印させてはいけないと訴えている。

『ウルトラセブン』第12話は、封印すべき作品だったのか?

アンヌ隊員はロングヘアのほうが可愛い。

 

コメットさんに出てきた百窓。とても民家とは思えない。1985年に解体されて今はない。スペル星人の拠点にもなった。