昔、昔、筆者はフィリピンのマニラに1年間住んでいた。まだマルコス大統領の独裁が続いていたころだ。しかし政権末期で退陣を求めるデモが毎日のようにあり、大統領官邸前にデモ隊が押し寄せて、警官隊ともみあっていた。官邸前に橋があり、その橋の名前がメンディオーラといい、デモ隊のスローガンがGo to Mendiolaだった。
いつマルコス大統領が倒れてもおかしくないような状況で、実際その1年後にPeople Revolutionという民衆蜂起のような政変が起こり、マルコスは退陣。そういう緊迫した状況だった。そんなころに筆者は大統領夫人、かの有名なイメルダ・マルコスがホテルのファンクションルームで、取り巻き20人くらいと会食している様子を見たことがある。
イメルダは元歌手だった芸能人出身で、極端な浪費家でとにかく評判が悪かった。政変後に大統領官邸が公開されて、イメルダの部屋に高給婦人靴が100足以上あった写真が公開されて話題になった。そのイメルダが主賓の会食で、熱唱していた。連日デモが頻発している状況下で、大統領夫人は宴で熱唱とは世間とは感覚がずれていることに感服してしまった。
今年5月にフィリピンの大統領選挙があり、現在の最有力候補はなんと、マルコスの長男だそうだ。あの独裁者、金の亡者のような男の長男が人気があるとは、隔世の感である。もちろん長男に親父の悪政の責任を取らせる必要はないだろうが、地盤、看板も同じだろうから、昔の権力に群がっていた連中は再集合することだろう。
ボクサーの国会議員をしていたパッキオも有力候補だが、当選できるほどではないようだ。筆者はボクシングが好きなのでパッキオを応援したい。なんといっても6階級制覇のチャンピオンなんのだ。
マニー・。パッキオ
有名なイメルダの靴のコレクション。