1月15日(金)のつぶやき(読んだ本、『海に落とした名前』 再読)

@rinakko 20:32
【海に落とした名前/多和田 葉子】を読んだ本に追加

 再読。いやはや…覚えていた以上に4篇とも面白かった! とりわけ今回とても好きだった「時差」は、東京・ベルリン・ニューヨークを舞台に3人の男たちを描く話で、彼らのすれ違いっぷりが切なくも滑稽でつい笑ってしまった。3人の追われつつ追う三角関係はベクトルがぐるっと回り(つまり3人とも過去に関係があるが…)、恋愛のもどかしさや温度差と時差そのものがリンクして延々ぐるぐる回っている様が読み手にはわかる…という…。
 そして、やはり表題作に唸った。“名前”を失う話にはぐらぐらする。拠り所としてきたことの脆さを知らされる、その眩暈ゆえに魅入られる。当たり前のことのように思い込まされてきた事柄の不確かさを突き付けられるのは、ふっと風が吹き抜けていく気持ちよさだ。この風が好きだ。
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