3月19日(木)のつぶやき(読んだ本、『ガラスの国境』)

@rinakko 14:47
【ガラスの国境 (フィクションのエル・ドラード)/カルロス・フエンテス】を読んだ本に追加

 素晴らしい読み応えだった。覆い重なりあう声たちの向こう、吐き出されては膨れ上がっていく遣り場のない憤りや欲望、欺瞞、理不尽への怒りと諦念…が渾然となった先に、メキシコの哀しみが見えてくる。
 たとえば国境を、ガラスでできて幻でしかない…と言い放つ傲慢な視点もあって、それはそれで誰かにとっては一応の現実だった。でも、様々な境遇に生きる登場人物たち各々の人生に穿たれた楔の如く、やはり国境は動かし難くそこにある。取り返しの付かない意味を持って、“世界で最も豊かな国の隣に貧しい国があるかぎり”…。とりわけ好きだったのは、表題作と「略奪」「女友達」「賭け」。
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