3月16日(月)のつぶやき(読んだ本、『裏面 ― ある幻想的な物語』)

@rinakko 10:31
【裏面: ある幻想的な物語 (白水Uブックス)/アルフレート クビーン】を読んだ本に追加
 逃げ場のない悪夢に捕らわれたまま、蒼白い夢の都の崩壊までを見届ける。...という暗澹たる話だが、すこぶる引き込まれた。
 夢の国の君主パテラから移住の招待を受けた主人公は、誘いの声に抗うことなく妻を伴う。だが、太陽の光なく常に叢雲垂れこめた町で見るのは、密かな信仰のきずなを伺わせる不可解な人々の姿だった…。不安と閉塞感の漂う陰鬱な光景に倦むどころか、何故かその異様な眺めに魅入られたまま先へ先へと頁を繰った。まさに悪夢の中の悪夢…主人公自身の見た不気味極まりない夢が中盤に差し挟まれ、そこからの展開はもはや転げ落ちるようだ。
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