11月に読んだ本

11月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:4414ページ
読んでた本の数:1冊
読みたい本の数:1冊

▼読んだ本
帽子収集狂事件【新訳版】 (創元推理文庫)帽子収集狂事件【新訳版】 (創元推理文庫)
フェル博士! 面白かった! まずロンドン塔と霧の組み合わせが、何ともよかったです。「あの時は霧が出て…」という台詞が随所で効いている辺り、この街ならではだなぁ…と。当時の雰囲気も堪能したし、“いかれ帽子屋”から話がどんどん転がっていくので、目が離せなかったです。
読了日:11月29日 著者:ジョン・ディクスン・カー
終わり続ける世界のなかで終わり続ける世界のなかで
「ノストラダムスの大予言」を私が知った時には、もう過去に追いやられた話の一つだった。当時、こんなに影響を受けた人たちがいたのか…と少し驚きつつ、どんなにか怖ろしかっただろうと思う。そして、終末思想が蔓延する時代の素地があったということも、忘れてはならないのではないかと。主人公伊吹が抱き続けた、何者にもなれない自分自身への歯痒さ。瑞恵のこと。それでも答えを求めて考え続けた姿勢と、精一杯生きようとしてきた真摯さにうたれました。
読了日:11月28日 著者:粕谷 知世
おおきなかぶ、むずかしいアボカド 村上ラヂオ2おおきなかぶ、むずかしいアボカド 村上ラヂオ2
読了日:11月26日 著者:村上 春樹
ハザール事典―夢の狩人たちの物語 女性版ハザール事典―夢の狩人たちの物語 女性版
“王女は鳥たちに告げた――「行きて汝らの詩を仲間に教えよ、さもなくば早晩、詩はだれからも忘れられよう……」と。” 大変好みな物語。美しくて、やり過ぎで。とりわけ、他人の夢を読みその夢に住み、夢を渡り歩く〈夢の狩人〉の設定が堪らない。めくるめく奇想と幻想…かと思えば、草原を吹き抜ける風を思わせる抒情。3本の栞を付け事典という体裁を調えつつ、構成の妙と緻密な仕掛けに溢れた小説。優れた〈夢の狩人〉であり詩を能くし、『ハザール辞書』を編纂した王女アテーの項を、赤→緑→黄と読み繋げるところから手を付けた。
読了日:11月25日 著者:ミロラド パヴィチ
フランスの遺言書フランスの遺言書
素晴らしかった。少年の目に映るもの全て、そして憧れの国の想像の中の眺め。それらを語る言葉たちが、あんまり真っ直ぐ胸に飛び込んでくるので、その鮮やかさに捕まって幾度となく立ち止まった。瑞々しさに溢れた少年の声と、慕わしさと懐かしさを伝えてくる追想の声とが、寄せては返す波のように優しく交互に響いて、耳底から離れない。祖母と過ごした幾つもの夏の夕べ。匂い立つそよ風が行き渡るロシアの草原と、お話の中のフランス=アトランティス。いつの間にか二重になっていた人生。かつての少年がたどり着くべくしてたどり着いた場所とは…
読了日:11月22日 著者:アンドレイ マキーヌ
本の音 (中公文庫)本の音 (中公文庫)
読了日:11月21日 著者:堀江 敏幸
ポオ小説全集 2 (創元推理文庫 522-2)ポオ小説全集 2 (創元推理文庫 522-2)
読了日:11月18日 著者:エドガー・アラン・ポオ
北の古文書 (世界の迷路Ⅱ)北の古文書 (世界の迷路Ⅱ)
素晴らしかった。母親の一族を描いた『追悼のしおり』に続き、父親ミシェルの系譜を遡り、その軌跡をたどり紡ぎあげられた物語。前作では背景にぼやけていたミシェルや祖父母たちの姿が詳らかになり、家庭の不和や憎悪も浮き彫りにされる。物事に拘泥しないミシェルの独特な無関心が、ユルスナールに受け継がれている…といった記述が、印象的だった。若い頃は放埓で恋多く生きたミシェルが、やがて死の床で“いくつもの人生を生きた”と語ることになる。そしてあのフェルナンドの手紙。終盤、二人が過ごした穏やかな時間の短さが、しみじみと沁みた
読了日:11月17日 著者:マルグリット ユルスナール
チューブな形而上学チューブな形而上学
面白く読んだ。日本で生まれ育った作者が、かつての幼き日々を振り返って描いた小説。なのだが、よもや0歳から3歳までの自伝とは…。生まれた時からして既に、並々ならぬ存在(全く、普通の赤ん坊ではない!)であったことがみっちりと書き込まれているので、思わずにやにやしてしまった。揺りかごで過ごす始めの段階をチューブと名付けたり、3歳までの自分を神と呼ぶ…その辺りの理屈は流石の痛快さである。日本式の庭を深く愛し、いつも庭や水の中にいることを好んだアメリー。彼女が憎悪したものは鯉…。
読了日:11月14日 著者:アメリー・ノートン
ファウスト〈2〉 (新潮文庫)ファウスト〈2〉 (新潮文庫)
読了日:11月11日 著者:ゲーテ
世界終末戦争世界終末戦争
素晴らしい読み応えだった。19世紀末、ブラジル共和国の辺境で実際にあったカヌードスの反乱を、様々な人々の視点から描いた作品。聖者コンセリェイロに付き従い、ジャグンソ(反徒)と呼ばれることになる狂信者たちと、そこに革命を感じてやってきた者、ただその土地にいて巻き添えになる者、カヌードスの地主、正規軍、記者…。異なる立場で戦争に関わった誰もがその為に、死やそれ以外の理由によって、元の人生には戻れなくなる。多声的であり、何を悪とも決めつけられない。この戦争全体における混迷が、とてもリアルに感じられて圧倒された
読了日:11月10日 著者:マリオ バルガス=リョサ
土星の環―イギリス行脚 (ゼーバルト・コレクション)土星の環―イギリス行脚 (ゼーバルト・コレクション)
素晴らしい読み応え。イギリスはサフォーク州を旅する語り手自身の歩みと共に、何処までも止め処なく連なりながら移ろっていく追想、数えきれないエピソード達、それらを見つめ直す静かな眼差しと思惟…。確かに憂鬱な色を滲ませながらも、その言葉たちには一定の温度があって、不思議とひやりともしない。むしろ読み進んでいくうちに、慰撫するように沁みてくる。虚しく積み重なった時間に押しひしゃげられ、腐朽したものばかりが語られていく中、奇妙な味わいのエピソードには、そこはかとない可笑しみがあり、ふっと心が弛む。儚い…と思いつつ。
読了日:11月04日 著者:W.G.ゼーバルト
ポール・デルヴォーの絵の中の物語ポール・デルヴォーの絵の中の物語
とても好みの一冊。デルヴォーの18枚の絵から想を得た物語「ヴィーナスの夢」と詩が一篇。遺跡のような寺院や柱廊、泉水、アゴラ、庭園、なぜか砂漠…駅と汽車、裸体を晒す女たち…。その奇妙な町をさ迷うように歩き続ける“私”は、伯父のリーデンブロック教授の後を追っている。途中、彫像にされたり急に骸骨になってしまったり、導きの女を見失ったり…。作者が他の自作品からの引用をふんだんに加筆している為、脈絡のない文章が続く箇所も多いが、イメージが万華鏡みたように移ろっていくのをただ楽しんだ。キリン座、りょうけん座、祭壇座…
読了日:11月03日 著者:ミシェル ビュトール
本の寄り道本の寄り道
読了日:11月02日 著者:鴻巣 友季子
▼読んでた本
ルバイヤート―中世ペルシアで生まれた四行詩集ルバイヤート―中世ペルシアで生まれた四行詩集
著者:オマル ハイヤーム
▼読みたい本
縛り首の丘 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)縛り首の丘 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)
著者:エッサ デ・ケイロース

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