辻村深月さん、『水底フェスタ』

 前作が好きだったのでさっそく。『水底フェスタ』の感想を少しばかり。 

 “祭りは、一夜で燃え尽きる巨大な炎のはずだった。” 62頁

 山奥にある睦ッ代村で催される、ムツシロック。非日常を求める人間が都会からも大勢やってくる、規模の大きなロックフェスである。そこで、毎年参加している高校生の主人公広海は、織場由貴美に目を留める。一瞬だが、目が合ったのだ。
 その後、大きなダム湖の前で由貴美と再会した広海は、彼女の口から思いがけない言葉を聴くことになる。見えそうでなかなかくっきりと見えてこない、村長の息子の前に現れた彼女の真の目的とはいったい――。

 繋がりの強い狭い村での、人目を忍ぶ狂おしい恋の始まり。年上の美女との逢瀬から心が離れず…と、やるせなく翻弄されていく少年の姿にはきゅんとした。精一杯の背伸びのあやうさが、動悸のように伝わってくる。けれどもその一方では、彼らをも捕りこもうとする普通の人たちの普通ゆえの怖ろしさを、これでもかこれでもかと容赦なく突きつけられ、背筋がそそけるくらい本当に怖かった。
 甘い蜜のない貧しく閉鎖的な村が、ここまで生き延びてきたのには隠された理由があった。何代も続く不正の仕組みだ。村の外の世界を思ってみることもしない想像力のない人々に、罪の意識は希薄である。悪意はないのかも知れないが、邪気もないとまでは到底言えない。張り巡らされた地縁の磁場。足掻けば足掻くほどに、抜け出すことは困難だ。広海にも、そして村を憎む由貴美にも。それは、たとえば外の人間である日馬達哉の直截な暴力とは、全くもって対照的な力である。どちらがより逃れ難いものかは、言うまでもない。誰が悪いと決めつけられるようなことではなく、かつては村を守る為のぎりぎりの知恵として、そうなっていったのだろう…と思う。だが、澱んだ水はいずれ腐る。

 恋は儚くて村はあまりにも怖かった。どうせなら、村の行く末まで見届けてやりたかった(鬼)。

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9月6日(火)のつぶやき

09:28 from web
おはようございますー。認めたくないけれど頭痛にゃうー。ところで、ここ2ヶ月くらい平日の朝ごはんがほぼ生春巻きで、昼ごはんも概ね生春巻きです。考えなくていいので楽ちんだし、ダイエットにもなるしでいいのですが、いつか生春巻きに飽きたら私は何を食べたらいいのだろう…と少し心配。
09:29 from web
(つづき)ただちょっと、生春巻きって言っても具がほとんど生野菜なので、あたしゃ青虫か…!って気分になってくるのよねー(あほ)。
09:35 from web
辻村さんの本を読みながら前作を思い出す度に、「マーメイド殺人クラブ…じゃなくってええっとぉ……」となるのだった。
10:20 from 読書メーター
【水底フェスタ/辻村 深月】を読んだ本に追加 →http://t.co/S3Cvb2h #bookmeter
16:59 from web
おモロイ #名作のタイトルに一文字足すとよく分からなくなる

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