ディーノ・ブッツァーティ、『タタール人の砂漠』

 記事をわけてみた。ディーノ・ブッツァーティの『タタール人の砂漠』の感想。

 ずしっと素晴らしい読み応えで、しばし放心した。 
 色褪せていく夢が、やるせなく。他の誰でもない自分の人生にこそ起こってしかるべき特別な何か、輝かしい未来に待っているはずの何か。栄光のとき。それが己の身に訪れることをひたすらに信じ、あてもなくそこに留まり待ち続けた主人公ジョヴァンニ・ドローゴ。残された時間が遁走しはじめ、とうに手遅れになったことも知らずに…。
 確かに人生そのものには、そう言った残酷な一面があるのだろう…と、ふと気付かされてぞうっとした。彼ひとりだけの悲劇ではないのか、と。

 悲哀に胸を詰まらせるものは、絶望的な状況などでは決してなかった。最後の最後のぎりぎりの時まで、握りしめた希望の欠片を手放すことの出来ない人の姿。たとえどんなに弱々しい光であっても、必ずや見逃さないように研ぎ澄まされていった心の視力。僅かな希望でもそれを探し出しそれにすがり、捨て切れないままに生きていかねばならない人生そのものの苦しさ。そうして無為に老いてもなお、真の絶望には至るべくもなく、ただじっと待ち続けることを止めなかった主人公の心のあり様。それに同調していった私。

 絶望じゃないのだ。下手に希望があること、それが何よりも残酷なのだ。ちっぽけな希望を散らつかされて、逃げ水を追うような人生を送らせる。その残酷。その不条理。
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2月6日(土)のつぶやき

08:27 from web
おはようございます。風の音がすごいの。雪は降っていないけれど、降雪確率90だそうだ。降るのか。
14:16 from web
雪見蕎麦して買い出しして、帰宅なう。寒い。越前そばはおろしそばが定番なので、天おろしそばにしてみた。天ぷらを肴にして、熱燗。
14:39 from web
古畑任三郎の再放送の録画を、二人で観てるなう。木村拓哉の。初めて観る話。
18:34 from web
そうそう今朝、旦那さんの鍵を革製のキーホルダーごと洗濯しちゃったのだった。相当に使い込んだものなので、これでやっと買い替えに踏み切れるのではなかろうか。前向きに考えれば。もっと前向きに考えれば、長年愛用してきたキーホルダーの最後を飾るには、これくらいのインパクトは必要かと。
18:39 from web
古い友人からの贈り物ということで、気付いてあげられなかったのは申し訳ないのじゃが、ポケットの点検まで私がするはずもなく。てか、そういうところは割としっかりしている夫の珍しい不覚。今、目の前に干されているキーホルダーを眺めつつ。
20:19 from web (Re: @lisky
@lisky ぼろぼろも味があるから、ますます愛着がわいたりしますしねー。 あ、それでも私は買い替えたくなりますけれど。
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