バイオの故里から

バイオ塾主宰・Dr.Kawanoの日々、収集している情報(DB原稿)をバイオ塾メンバー向けて公開しています。

「最も一般的なプラスチック原料が生殖障害の一因」研究結果

2007年08月07日 | 医療 医薬 健康
 プラスチックの原料で、世界で最も一般的な化合物の1つである『ビスフェノール』が、ヒトの生殖障害の原因となっている可能性が高いとする研究結果が発表された。化学業界は根拠が薄いと反論している。WiredNews 2007-08-07 

「体内時計」のスイッチ役 京大グループがタンパク質特定

2007年08月07日 | 生命科学 生物誌
 受精卵から胎児への成長段階で、肋骨(ろっこつ)や背骨などの基になる体節が規則的に作られるために働く「体内時計」のスイッチを入れるタンパク質を、京都大ウイルス研究所の影山龍一郎教授(分子生物学)らのグループが特定し、米科学誌で7日、発表した。
 マウスの胎児の体節形成は、頭側から2時間周期で一つずつ行われる。影山教授らの研究で、細胞内のタンパク質Hes7が増減して時計のようにリズムを作っていることが分かっている。 京都新聞(電子版)2007-08-07

◇Ultradian oscillations of Stat, Smad, and Hes1 expression in response to serum
  バイオ塾情報創庫DB 2007-08-07

ProgrammedDeath1(PD-1)に対するヒトモノクローナル抗体

2007年08月07日 | 創薬 生化学 薬理学
出願番号 : 特許出願2006-128058 出願日 : 2006年5月2日
公開番号 : 特許公開2006-340714 公開日 : 2006年12月21日
出願人 : 小野薬品工業株式会社 外1名 発明者 : コーマン アラン ジェイ 外5名

発明の名称 : ProgrammedDeath1(PD-1)に対するヒトモノクローナル抗体および抗PD-1抗体単独または他の免疫療法と併用した癌治療方法

【課題】高親和性でProgrammed Death 1(PD-1)に特異的に結合する単離モノクローナル抗体、特に、ヒトモノクローナル抗体を提供する。
【解決手段】特定のアミノ酸配列からなるヒト重鎖及び軽鎖可変領域を含む参考抗体とPD-1に対する結合について交差競合する単離ヒトモノクローナル抗体またはその結合部分。抗体を含む免疫複合物、二重特異性分子および薬剤組成物を調製することにより、PD-1検出方法ならびに癌および感染性疾患を含む様々な疾患を治療することが可能となる。さらに、抗CTLA-4および抗PD-1抗体の併用のような併用免疫療法を用いて癌のような高増殖性疾患を治療することも可能となる。このような抗体のそれぞれによる治療に関連した有害事象を改変する。


野生植物の化学的防御機構ならびに植物・微生物相互作用の解析

2007年08月07日 | 環境 自然  生態
研究者 田原 哲士
 所属: 北海道大学大学院農学研究科応用生命科学専攻

報告概要 野生植物から多数の抗菌性物質を分離した。パキラにおける抗菌物質の表皮局在,感染刺激による髄での抗菌物質の誘導生成,ナス台木根部での抗菌物質生成放出,アカエゾマツの種子付着カビ胞子が,種子発芽時に化学的および生物的効果を及ぼして,苗立ち枯れ病菌を抑制することを明らかにした。また,葉面着生菌の安息香酸やケイ皮酸脱炭酸反応を介した植物病原糸状菌の抑制機構,エンドファイトによるチモシーの病原抵抗性亢進の様式,アブラナ科植物の根圏微生物相の特性を生態化学的視点から追求した。病原性卵菌の遊走子を用いた生物検定によりスベリヒユの遊走子遊泳阻止作用物質を同定した。卵菌類によるテンサイ苗立ち枯れ病の微生物防除資材としての機能発現に関わる抗生物質を単離し,構造を決定した。卵菌の遊走子による感染過程および植物の防御機構を検討し,遊走子の走化性応答,遊泳停止,被嚢化などの形態変化の誘導に,G蛋白質共役型受容体とphosphatase C が関与することを示唆する結果を得た。J-Store >> 研究報告コード R013000233

昆虫の生体防御分子機構とその応用

2007年08月07日 | 環境 自然  生態
研究者 名取 俊二  所属: 理化学研究所

報告概要 昆虫の自己と非自己の識別機構,新規生理活性物質5-S-GADおよび抗菌蛋白ザーペシンB由来の抗菌ペプチドの3項目に焦点を絞って,創薬を意識した基礎研究を実施した。センチニクバエの幼虫と蛹の体液細胞の問で,表面露出蛋白に質的な相違があるかどうかを検討し,蛹の体液細胞表面だけに発現する分子量120kDaの1回膜貫通型蛋白が得られた。この蛋白は蛹の時期だけに出現するスカべンジャーリセプターであると示唆された。5-S-GAD は,試験した38株の癌細胞の中,3株の増殖を顕著に抑制した。ヌードマウスにこれらの癌細胞を接種し,5-S-GADで治療を試みると有意な治療効果が得られ,5-S-GAD中のβ-アラニル基が癌細胞選択性に寄与することが明らかになった。また5-S-GADはマウスの骨髄細胞から破骨細胞が分化する過程を著しく阻害することが分かった。ザーペシンBの活性中心を改変して得られたペプチドL5が好中球を活性化して感染症の発症を抑制する能力があることが明らかになった。 J-Store >> 研究報告コード R013000234

内分泌かく乱物質の生殖機能への影響

2007年08月07日 | 環境 自然  生態
研究者 堤 治
 所属: 東京大学大学院医学系研究科生殖発達医学専攻産科婦人科分子細胞生殖医学

報告概要 内分泌かく乱物質の多くはエストロゲンレセプターに結合し,エストロゲン作用ないし抗エストロゲン作用を有する。ダイオキシンは細胞内のレセプターに結合して応答遺伝子の転写を促進する。ダイオキシンを初めとした内分泌撹乱物質のほとんどは胎盤通過性を有する。ヒト臍帯のみならず,羊水中からも検出されており,流早産,死産や催奇形性が問題となる。妊娠動物におけるダイオキシン投与実験では,致死量よりはるかに低い量でも生殖異常は惹起される。母体投与されたダイオキシンの影響は胎盤および母乳を介して胎児,新生児に作用し出生後の性機能にも現れる。昨今の人類の精子減少傾向にダイオキシン暴露が関係している可能性を示唆する。また環境中に増加したダイオキシンが,現代人に増加して問題になっている子宮内膜症の病因である可能性が指摘されている。ヒトや動物実験,関連遺伝子発現実験からは,肯定否定両方の結果が報告されており,まだ因果関係を結論づけはできていない。 J-Store >> 研究報告コード R013000247

生殖腺の性分化に関与する転写因子と細胞増殖因子

2007年08月07日 | 創薬 生化学 薬理学


研究者 諸橋憲一郎
 所属: 岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所

研究実施機関 岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所

報告概要 遺伝的性決定の後に進行するのが生殖腺の性分化であり,性ホルモンの作用を通じ,個体の性分化を支配している。遺伝的性がいかなるメカニズムのもとに生殖腺の性決定を支配しているのであろうか。生殖腺の分化に異常をきたす疾患の原因遺伝子の解明からSRY,WT-1,SOX-9,DAX-1などのDNA結合因子が性腺の分化には不可欠であることが明らかにされてきた。ノックアウトマウスの解析からもWT-1,Ad4BP/SF-1,Emx-2,M33やLhx-9などの多くの転写因子の関与が示されている。最近,生殖腺の発生過程においてWnt4とFGF9の重要性が,遺伝子破壊マウスの表現型から明らかになった。これらのマウスでは生殖腺の性分化が揺らぐ結果となっており,Wnt4やFGF9発現の性差が示唆される。現在のところWnt4とFGF9からの転写調節は(図1)のように考えることが可能である。生殖腺形成過程での細胞増殖因子の機能が転写調節へとつながり,生殖腺分化を支える分子メカニズムの詳細が明らかになってゆくものと期待される。J-Store >> 研究報告コード R013000248

内分泌撹乱物質の細胞内標的分子の同定と新しいバイオモニタリング

2007年08月07日 | 環境 自然  生態

報告名称
研究者 梅澤 喜夫  所属: 東京大学大学院理学系研究科

報告概要 我々は内分泌撹乱物質を体系的に簡便にスクリーニングする新しいシステムとして細胞内信号過程に基づく分析法を基本概念として開発を行っている。細胞内の生理活性物質の量と分布,およびそれに続く情報変換・増幅過程を非破壊分析する目的で,サイクリックGMP,脂質メッセンジャーなどの第二次情報伝達物質,Ca2+情報伝達分子の活性化,蛋白質のリン酸化,蛋白質間相互作用を可視化検出する新規蛍光プローブ分子を創案・開発した。それにはsplit GFPシステム(図1)とsplit luciferaseシステム(図2)がある。さらに,化学物質暴露による発現遺伝子の変化を正確かつ高感度検出を目的とした,遺伝子チップの作製を行っている。遺伝子チップを作製するには,EDCにより変動する発現遺伝子群を特定しなくてはならない。我々は,ヒト乳ガン細胞株,ヒト神経細胞株及びヒト肝臓組織につき,細胞内の遺伝子発現をSAGE法を用いて系統的解析を進めている。J-Store >> 研究報告コード R013000249

低用量ダイオキシン類による内分泌かく乱作用

2007年08月07日 | 医療 医薬 健康
研究者 遠山 千春  所属: 国立環境研究所

報告概要 感受性が極めて高い妊娠から出生までの時期に,比較的低濃度のダイオキシン類によって,いかなる影響が生じるかを,生殖発生,神経内分泌,行動,免疫機能に対する内分泌かく乱作用の観点から,ラットとマウスを用いて調べた。最も感受性が高い妊娠15日日を中心に,ダイオキシンを単回経口投与し,出生後の発育に伴って観察される影響を検討した。これまでに得られた主な研究結果を,ダイオキシンの体内負荷量との観点から整理した(図1)。極めて低い体内負荷量でステロイドホルモン産生系における変化が観察された。この中には,胎仔や新生仔の脳におけるテストステロン濃度の上昇,アロマターゼ発現量の低下,NMDA受容体発現レベルの変化,あるいは,思春期雄ラットの前立腺腹葉におけるアンドロゲン受容体の発現レベルの減少と5-α還元酵素レベルの上昇など,遺伝子やタンパク質レベルの変化が挙げられる。臓器レベルの変化として外部生殖器重量の減少,肛門生殖突起間距離の短縮,さらに個体レベルの変化として性成熟促進や性行動の変化が観察された。J-Store >> 研究報告コード R013000250

植物エストロジェンと環境ホルモンとの相互作用

2007年08月07日 | 環境 自然  生態
研究者 香山 不二雄  所属: 自治医科大学保健科学講座

報告概要 食事より吸収される植物エストロジェンと内分泌かく乱化学物質との相互作用の研究を進めている。種々の植物エストロジェンおよび人工化学物質の作用メカニズムの差異を,主に分子生物学的手法を用いて遺伝子レベル,細胞レベル,臓器レベル,個体レベルで検討した。植物エストロジェンと人工内分泌かく乱化学物質では転写後投階の制御の違いにより遺伝子の発現が異なる可能性が示唆された。植物エストロジェンや人工内分泌かく乱化学物質の暴露は,免疫細胞の発育に影響を与え,自己免疫やアレルギー疾患との関連性が示唆された。エストロジェン様物質は赤血球増殖因子であるエリスロポエチン産生に抑制的に働くことが明らかとなった。さらに,全国数地域での農家住民の女性で,両群物質の生体内在存量を調査測定し,骨密度を影響のエンドポイントとして調査検討を行っている。これらの結果を総合的に検討することにより,今後の対策の指針を作成するために必要な知見が得られると予想される。J-Store >> 研究報告コード R013000251