バイオの故里から

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内分泌かく乱物質の生殖機能への影響

2007年08月07日 | 環境 自然  生態
研究者 堤 治
 所属: 東京大学大学院医学系研究科生殖発達医学専攻産科婦人科分子細胞生殖医学

報告概要 内分泌かく乱物質の多くはエストロゲンレセプターに結合し,エストロゲン作用ないし抗エストロゲン作用を有する。ダイオキシンは細胞内のレセプターに結合して応答遺伝子の転写を促進する。ダイオキシンを初めとした内分泌撹乱物質のほとんどは胎盤通過性を有する。ヒト臍帯のみならず,羊水中からも検出されており,流早産,死産や催奇形性が問題となる。妊娠動物におけるダイオキシン投与実験では,致死量よりはるかに低い量でも生殖異常は惹起される。母体投与されたダイオキシンの影響は胎盤および母乳を介して胎児,新生児に作用し出生後の性機能にも現れる。昨今の人類の精子減少傾向にダイオキシン暴露が関係している可能性を示唆する。また環境中に増加したダイオキシンが,現代人に増加して問題になっている子宮内膜症の病因である可能性が指摘されている。ヒトや動物実験,関連遺伝子発現実験からは,肯定否定両方の結果が報告されており,まだ因果関係を結論づけはできていない。 J-Store >> 研究報告コード R013000247

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