ら族の歳時記

「道が分かれていても人は幸せになる道を選ぶ能力がある。」
能力を信じ、心の安らぎの場を求めて、一歩一歩。

もう一度読んでみたい本

2014-05-06 20:10:17 | 本を読みました
作家の渡辺淳一さん死去=ベストセラー「失楽園」―80歳(時事通信) - goo ニュース


渡辺淳一さんの作品は、伝記、医療、恋愛に分類できるという。
晩年は恋愛もので話題の中心にいた。

いろいろな人が追悼の文を書いているけれど
多くの人が「初期の作品の方が好きだった」と書いている。

私も同じく後期の恋愛ものは理解できなかった。



私の渡辺淳一さんの始まりは、SLEで入院した時
看護師さんに勧められたこと。

看護学校でブームになり、何冊か持っているから
貸してあげるということだったと思う。

実際何を借りたかは覚えていない。



同じ入院した時、
お見舞いとして持ってきてくれた本の中に
渡辺淳一さんの本があった。
「パリ行き最終便」だった。

短編集でその中に「桜色の桜子」という作品が
入っていて、
持ってきてくれた人の名が「桜子」さんで
「私と同じ名前だから思い入れがあるの」
ということで勧めてくれた一冊。

本のタイトルになっている
「パリ行き最終便」は男女の心理描写を表した本で
当時17歳の私にはかなり難しかった。
でも、ひっかかるものがあって
「いつか読み返してみよう」と思いつつ
今に至り、絶版になっている。

「桜色の桜子」は、女友達から
「明日、○時にきて、絶対に来て」といわれ、
女友達の家に行くと、友達がガス自殺を図っていた。
しかし、死体の肌色が桜色になっていて
なんと美しいことか。。
当時のガスには死後、数時間後に一時だけ
死体を桜色にする作用があったらしい。
彼女は彼が好きで自分の一番綺麗な時を見てほしいと
その時間を指定してきたものだった。



推理小説っぽいできに魅かれて
それ以来、渡辺淳一さんの作品にはまっていった。


大学生になって渡辺淳一さんを友人に勧めた。

「阿寒に果つ」に共感した友人がいて、
落ち込むことがあると
「私がいなくなったら阿寒湖を探して」という。
すると周囲が
「なにいってんの。まだ雪は降ってない。
 雪が降る時期までがんばるのよ。」
と励ます(?)あやしい会話が一時流行した。

それだけ「阿寒に果つ」の純子の行き方は
強烈なものがあった。


また、「花埋み」を読めば
「もっと勉強にがんばらねば」と言い出したり。。

なにかと登場人物に影響を受ける人が多かった。



個人的には感動したのは「廃坑にて」
これは実話ということ。

ある炭鉱の診療所で働いていた時、
一人の女性が子宮からの大出血で運ばれてくる。
婦人科は専門外であり、
前任の医師に相談する。
すると
「おそらく子宮外妊娠ではなく、
 何度も中絶を行ってきたので子宮壁が薄くなっていたところに
 妊娠により、子宮が裂けたのでは。
 子宮を縫うしか救えない」
との診断。
盲腸ぐらいの簡単な手術は教えてもらったけれど
それ以外の手術はできないが、
なにもしないわけにはいかず、開腹手術をする。

お腹の中は血の海。
ようやく見えた臓器を膀胱と子宮を見間違える。

やはり、子宮破裂だった。
手術中、女性の血圧はどんどん下がっていく。
「時間がない」と子宮をぐるぐる巻き(?)にしばって、
お腹を閉じた。

血圧は計れなくなった。
出血した量は、血液の半分は超えている。
人は、血液の3分の1を失うと死ぬと言われている。
女性は、まず助からない。

しかし、数時間後、血圧が測れるようになり、
翌日には起きて食事が取れるようになった。

女性のたくましさにびっくりしたと書いてあった。

おどろくことに、あの子宮でその後、3人も
子供を産んだという。

まさに女は強いと思った一冊だった。



怖いなと思った作品があった。
けれど、意外性があって
もっと作品を読みたいと思わせる作品。

堕胎した赤ちゃんの死体を
アルコール漬けガラス瓶にいれててもらってくる。
毎晩、瓶ごと抱いて添い寝していた。

赤ちゃんの父親が結婚することになり、
「赤ちゃん」を父親の元へ送りつける。
「パパにかわいがってもらってね」と。
(復讐ですね。。)


実際に、死体をもらえるはずはないとは
思うけれど、
渡辺淳一さんは、付き合っていた女性に
堕胎させたことが(何度か)あるそうで、
かなり危ない目をみたことを
作品にしたんでしょうね。。。。。



その後、恋愛小説に移行していく。

「化身」で、田舎から出てきた垢ぬけないホステスを
一人の女に育てていく小説ぐらいはまだ読めたけれど。。。



渡辺淳一さんは和服姿で巾着袋をもって
銀座の歩く姿は様になっていたという。

また、会話もおしゃれで
「天性のプレイボーイ」の才能がある方だったという。

天性のプレイボーイでも自分が傷つく前に、
恋愛を止めるのではなくて
どろどろになるまで恋愛をしてきたからこそ書けた
作品といわれる。

「今の人はそういう恋愛をしていないから
 僕のような作品は書けない」
といってきたとか。

こんな渡辺さんを見守ってきた奥様は偉い!




渡辺淳一さんのご冥福をお祈りします。

これを機に絶版になった本が再登場してくれないかしら。。。
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