昨日の地上天気図に引き続き、今日は上空の様子を表す高層天気図のポイントを簡単にまとめてみました。
例えばこのような地上天気図がある場合を考えてみましょう。このような低気圧や前線があるとき、上空の様子はどうなっているのでしょうか?
同じ日の同じ時刻の上空の天気図です。
等圧線の代わりに等高度線が引いてあります。単位はm(メートル)を用います。この図は5200~5800m付近の様子を表していることになります。それにしても、この図面は何を基準に描いているのでしょう・・・。
実は、気圧が「500hPa」になる高さをつなげて一つの面として表しています。地上天気図では海面高度(海抜0m)を基準としていますが、上空の天気図(高層天気図)は気圧の等しい面(等圧面)上の天気図を描いているのです。
地上天気図と高層天気図の違いをイメージで描くとこんな感じです。
高層天気図では「等高度線の形」(等圧面の凹凸)に注目します。上の図で凹んでいる部分をトラフ(=谷)、膨らんでいる部分をリッジ(=尾根、峰)を言います。
このような等圧面の高度がどんな意味を持つのでしょうか?
ここで、500hPa面高度が比較的高い所(面A)と低い所(面B)を比較してみましょう。大気の様子を簡単な柱に置き換えて考えてみます。このような(仮想的な)空気の柱を「気柱」と言います。
面Aと面Bは高さは見るからに違いますが、各面上の気圧は同じ500hPaです。気圧とは「その真上に乗っている大気の重さによって生じる圧力」なので、少なくとも、A、Bの真上に乗っている大気の重さは同じ、という事になります。
500hPa面よりも下の部分の重さは、A側の体積の方が大きいので、より重いと考えることが出来ます。
従って、「地上での気圧」を考えると「A側の方が気圧が高い」ということになります。つまり、等圧面高度が高い所は地上の高気圧、等圧面高度が低い所は地上の低気圧に相当する、ということです。
もう少し高度を下げてみて、1200~1600m付近の天気図も見てみましょう。この図は、気圧が「850hPa」になる高さをつなげて一つの面として表しています。
この高さでも、日本付近はトラフになっているようですね。そういえば、地上天気図ではこの辺に、低気圧が2つありましたね。
ここまで見てきた上空500hPa面、850hPa面の各等圧面の高度と、地上の気圧(海面更正気圧)の3次元イメージを重ねてみましょう。
こうしてみると、3つの面の凹凸は概ね一致しているようですね。500hPa面や850hPa面で凹んでいる部分をトラフ、膨らんでいる部分をリッジと言います。
そして、一番下の海面更正気圧の面の凹んでいる部分は低気圧、膨らんでいる部分は高気圧です。
この図からは、上空のトラフと地上の低気圧、上空のリッジと地上の高気圧がそれぞれ対応していることがわかりますね。
冬の間、テレビやラジオの天気予報では「上空5500m付近で-XX℃の強い寒気」「上空1500m付近で-XX℃の強い寒気」という言葉が頻繁に使われるようになると思います。
この上空5500m付近と言うのは500hPa面、そして上空1500m付近と言うのは850hPa面における気温を指します。テレビやラジオの天気予報を、よくチェックしてみて下さいね。
追伸のコメントで御連絡を頂きましたメールアドレスの方に、回答を送信させて頂きました。
ご参考になれば幸いです。