計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

PDCAサイクル

2012年10月04日 | お天気のあれこれ
 台風の進路予報を見続けている内に、台風予報はビジネスにおける「P→D→C→Aサイクル」に似ている・・・と感じました。

 一般に、事業を進めるにあたっては、様々な状況・事象を想定・予測しながら計画=P(Plan)を立てるわけですが、周囲の状況・情勢は時々刻々と変化するので、次第に「当初の予測」からは乖離していくものです。そこで、実際に事業をを進めつつ=D(Do)、状況・状態の確認=C(Check)を行い、状況・情勢の変化に対応するべくA(Action)を起こしていかなけれ
ばなりません。そして再び、計画=P(Plan)を立て直す・・・の繰り返しです。

 気象の現象は色々ありますが、台風の「気まぐれ」は半端ないものです。それこそ、常に「予測発表検証対応」を繰り返さなくてはなりません。約3時間で1サイクルを回すのですから、台風を担当する予報官のストレスは想像に難くありません。一度、予報(予測→発表)したら「ハイ、終わり」ではありません。常に最新のデータを取り込んで、情報をアップデートし続けて行かなければなりません。そしてこの事は、台風だけに限らず、天気予報全般にも言える事なんですね。だからこそ、そのサイクル毎に、その都度「最善」を尽くすわけです。

 私が東京にいた頃CAMJの講習会を受講した際、講師の先生がおっしゃった言葉が今も記憶に残っています。

─ 予報において「万全」を尽くすことは出来ない、「最善」を尽くすだけだ ─

 確かに、天気予報に「完全」や「絶対」はありません。当時はただ「なるほど」と感心しておりました。

 自分がいざ雨予報や雪予報に関わる立場になって感じるのは、「予報」と言うのは、単なる「予想」や「予測」ではなく、最後は人間の「決断」であるという事。

 この「最善を尽くす」ためには、日頃から予測対象について理解を深めておく必要があります。局地気象であれば「対象となる地域」の気象特性やそのメカニズムを解明するべく、日夜研究を重ねる事が必須。現在の私のフィールドは、むしろ「こちら側」にあります。日頃から蓄積された知見を基に、再び「予報」に挑むことになるのです。
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