計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

寒候期予報

2012年10月11日 | 気象情報の現場から
 気象庁発表の寒候期予報(気象庁HP)を見てみると、北陸地方は(どちらかというと)「暖冬・少雪傾向」に傾きそうな感じですね・・・。メディア等を経由して発表される長期予報「この冬は暖冬傾向(=気温は高め)」あるいは「この冬の降雪量は少雪傾向」と言うのは、シーズンを通しての「長いスパン」での話で、しかも「○○地方」と言う広い範囲を一括りにした予報なので、「日々の生活や行動の範囲」とは「時空間スケール」が余りにも違います

 そもそも(予報期間が1か月以上に渡る)「長期予報」は、例えば「気温」の場合は、「その期間を通しての気温の平均値」が「平年の同期間の平均値」に比べて、「より高いレベルにある」確率が○○%、「同程度のレベルにある」の確率が○○%、「より低いレベルにある」確率が○○%と言っているに過ぎません。この結果を「暖冬傾向」だと解釈しているわけです。シーズン全体を通して(平均を取って)見れば「やはり暖冬だった」としても、「一時的に」上空に非常に強い寒気が入って、強い冬型の気圧配置が形成されて、それこそ「一時的な大雪」になる可能性は否定できません。そうなると仮に「暖冬」の予報が当たっていたとしても、やはり「一時の大雪」の印象ばかりが強く残ってしまうものです(それが"人情"ってやつだな)。

 つまり、近日中に大雪になりそうかどうか、雪かきや屋根の雪降ろしは必要なのかどうか ・・・という切実な疑問には、長期予報は適さないということになります。そのような問題については、短期予報(今日・明日・明後日の予報)~中期予報(週間予報)をこまめにチェックする事が肝心です。長期予報は、むしろ・・・例えば行政による「道路の除雪費用」の予算について平年よりも増額するか減額するか・・・と言った「中長期的な展望に立って」計画を立案するような場面で活用する事を考えるのに向いているでしょう。このように、天気予報にも色々な「時空間スケール」のバリエーションがあります。

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