計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

ラ・ニーニャの再来

2011年11月12日 | 気象情報の現場から
 11月10日に発表されたエルニーニョ監視速報(No.230)によると・・・

・ラニーニャ現象が発生しているとみられる。
・このラニーニャ現象は、冬から春までの間に終息する可能性が高い。


 この冬のラ・ニーニャ現象発生の可能性はこれまでも指摘されておりましたが、いよいよ現実のものとなりました。

 北極振動については、この冬の傾向としてはAO+なのかAO-なのか、いまいちハッキリしないところではありますが、一時的にAO-の形態に傾いて強力な寒気が南下するケースも可能性としては考えられます。その一方で、一時的にAO+の形態に傾いてもう春の兆しか?と思えるような陽気も垣間見え、期間全体を平均するとどっちつかずの平年並みに落ち着く・・・と言う筋書きも考えられます。

 全体として平年並みであるかどうかよりも、強力な寒気が一発でも訪れれば、その間は大雪にはなるでしょう。それが連続して何発も来るのか、または一~二発程度で済むのか?さらには、その一~二発の寒気が足早に抜ける(天気が周期的に変わる)のか、長~く日本付近に居座る(強い冬型が長く続く)のか?そちらの方が、むしろ気になるところです。ただ、この辺の予想は「三か月予報」レベルでは難しいと思われます。

 少なくとも、ラ・ニーニャ現象が発生した事で、「暖冬・少雪傾向」を予想する事はさらに難しくなった、と言うのが正直な感想です。

前にも書きましたが・・・

(1)太平洋赤道域の中部~東部の傾向
 エル・ニーニョ(暖冬に傾きやすい) ←→ ラ・ニーニャ(寒冬に傾きやすい)

(2)北極振動(AO)の傾向
 AOプラス(暖冬に傾きやすい)   ←→ AOマイナス(寒冬に傾きやすい)


ここで、もし、この(1)と(2)で互いに食い違う傾向が見られた場合はどうなるか・・・

 私の経験的主観ですが、(1)太平洋赤道域の中部~東部の傾向ではラ・ニーニャで寒冬傾向なのに対し、(2)北極振動(AO)ではAOプラスで暖冬傾向の場合は、寒冬傾向にブレーキが掛かる可能性も否定できません。これとは反対に、(1)太平洋赤道域の中部~東部の傾向ではエル・ニーニョで暖冬傾向なのに対し、(2)北極振動(AO)ではAOマイナスで寒冬傾向となった場合は、寒冬の特徴がドミナントになってしまう事が多々あります。これは、冬の特徴である寒気は北からやってくるので、北側の要因の影響の方がより強くなるため、と考えています。

 今後の予測は、北極振動の動向がキャスティングボードを握っていると言えるかもしれません。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 冬の訪れを感じる・・・? | トップ | クリスマス寒波・・・臨戦態勢。 »

気象情報の現場から」カテゴリの最新記事