計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

新年度(2021年度)の始まりを迎えて

2021年04月01日 | オピニオン・コメント
 いよいよ、新しい年度が始まりました。新年度あけましておめでとうございます。

 世相に目を向けると、未だコロナ禍の出口が見えない日が続いております。しかし、明けない夜はありません。いずれこの暗闇は終わりを告げることでしょう。問題は「その後(アフターコロナ)」どうするか。この点について、今から考え始めても早すぎることは無いでしょう。

 さて、私は地方の気象情報会社で予報業務に従事しています。創業時から参画しているので、もう十余年になるでしょうか(しかしながら、このgooブログの方が歴史は長いのです)。

 現在の主な専門分野は「山形県・新潟県の地域気象に関する数理モデルと情報システムの開発」です。所謂「テレビに出ている人」ではなく、情報処理技術者やデータアナリスト、R&Dに近いので、業種の分類も「情報サービス業」と名乗っています。

 日々の業務として、放送番組用の天気原稿の作成、地域行事の開催・運営に関わる気象予測や技術開発など、冬はさらに除雪作業のための降雪量や最低気温の予報も行います。その傍ら、熱流体計算や機械学習などの様々な計算処理を行うテクノロジーを研究・開発しています。独自の研究成果を学会発表や論文投稿で発表もしています。

 最近は経済学や経営学、金融工学と言ったビジネス分野にも関心を持ち、勉強しています。気象条件の変化が経済活動に及ぼす影響や気象情報を活用した経営上の意思決定やリスクマネジメントについて、何か役立つ道はないかと模索しています。また、地球温暖化を軸とした世界の趨勢にも目を向け始めています。日夜、自らの「知のテーパ」を構築し続けています。

 これまでは「ひとかどの専門家」となるべく、自らのコア・コンピタンスを確立しようと一心不乱に邁進してきました。まるで「悟りを求める修行僧」のような人生と呼べるかもしれません。この「孤独」と言うよりも「孤高」の道を歩んでいる内に、やがて「自分は後世に何を残せるのか」を考えるようになりました。

 今は、次の時代を生きる人々にとって「今後起こり得る様々な課題に立ち向かう際のヒントとなるような『知恵』や『アイデア』を残す」役割を担いたいと願っています。なぜなら、未来の課題は「決まった答え」のない問題が山積しているからです。

 もし、私が表舞台に立つことがあるならば、その時は何を伝えることができるのか。そのことも意識しながら、自らの研究開発を進め、知識・経験の棚卸や知の体系化を進めて行こうと思います。

 また、気象予報士をはじめ、「資格試験」は合格した瞬間に勉強が終わるわけではありません。試験合格の前後で学びのステージは変われど「学び」そのものに終わりはありません。

 試験に合格する迄は「資格を取得する」ための勉強です。その多くは「必修科目」であり、「何を学ぶか」は試験委員から既に与えられています。この段階では、共通して求められる基礎的能力を涵養します。

 試験に合格した後は「資格を活用する」ための勉強です。その多くは「選択科目」であり、「何を学ぶか」は自ら模索し続けなければなりません。この段階では、試行錯誤を通して自らの専門性(コア・コンピタンス)を追求します。

「努力した者が全て報われるとは限らん。しかし!成功した者は皆すべからく努力しておる」

 これは森川ジョージさんの漫画「はじめの一歩」の台詞だそうです。思わず「蓋し名言」と得心しました。努力は成功の必要条件なれど、十分条件ではない。それでも努力を続ければ、どこかで道は開けるのかも知れません。私の学びの旅も、まだまだ続きます。

 今の学びは「アフターコロナ」への投資でもあります。皆様にとっても、希望ある2021年度となることを祈念しております。
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