計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

GWではありますが・・・研究に休みはありません。

2006年05月04日 | 気象情報の現場から
 私の自室のノートPCで動作していた超重量級シミュレーションも何とか無事修了しました。プログラム動作時間にしてまさに46時間!。今回作動していたのは・・・局地的な山岳地形条件を考慮した、熱移動を伴う3次元乱流現象の数値計算シミュレーションです。しかも有限差分スキームも高次精度化が進んでいるので、チマチマと?細かい計算が増えているのでトータルでの計算量が増大しているのです。まあ、ようやくここまできました。

 さて、昨日は「予報のソースを天気図ばかりに偏らないで・・・」という話題に始まりCAMJの行事の紹介に展開しました。もう少しこの辺のお話を書こうと思います。さて、読者の皆さんもテレビの天気予報は毎日チェックされていることでしょう。その天気予報は気象予報士のキャスターが解説することが多いのですが、どこも似たり寄ったりの予報に見える、なかなか当たらない、と言う声が聞こえてきそうです。

 その根本には、気象予報士は基本的に(気象庁が発表している)同じ天気図を見て判断するので同じような予報になってしまう、という事があるのでしょう。気象予報士の事を天気予報士と思っている人もいるようですが、全く違います。晴れ、曇り、雨などの「天気」だけを予報することが気象予報士の守備範囲ではありません。

 ちなみに・・・私の場合はこのような「天気」の予報を行っているわけではありません。それでは一体何を予報しているの?と突っ込まれそうですが、その詳しい所は企業秘密事項なのでうっかりこの場で言及する事は出来ません。

 しかし、単なる天気だけではなく「局地的な大気現象」という視点で考えてみると、特定の地域に特有の現象が発生するような事例があることでしょう。このような地域特有の現象の発生を予測する事が局地予報の究極のレーゾンデートルに繋がるものであり、そのためのアプローチのメソドロジーとして、総観規模の天気図や局地天気図だけでは不十分ではないか?また違った切り口があるのではないか?という考え方があります。

 そこで「予報のソースを天気図ばかりに偏らないで・・・」なのです。予測対象の現象がどのような気象場の時に発生するのか、その概要を解き明かし理解する上で天気図はとても有効です。そしてさらに、その現象のより詳細な挙動であったり、どのような要因パラメータが支配的なのかを解き明かすためには、計算シミュレーションのような数理解析的手法が威力を発揮するのです。

 つまり、天気図の分析と計算シミュレーションは水と油なのでは無く、相補的な関係にあるのです。シミュレーションの結果は数値データの羅列です。これをビジュアルの天気図と言う形に表す事はとても有効です。
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