股間の解放記

普通の社会人PEKOの、日々思うことをつづっていきます。

それでもボクはやってない

2007年01月30日 21時16分33秒 | 映画評論サ行
製作年 : 2007年
製作国 : 日本
2007年1月20日公開
監督・脚本 : 周防正行
出演 : 加瀬亮,瀬戸朝香,山本耕史,もたいまさこ,役所広司
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大事な就職の面接を控えた日の朝、大勢の通勤客に混じって満員電車から駅のホームへ吐き出されたところを痴漢に間違われ現行犯逮捕されてしまった金子徹平。連行された警察署で容疑を否認すると、そのまま拘留される。その後も一貫して無実を主張するものの、結局は起訴される事に。徹平の無実を信じる母や友人・達雄の依頼でベテランの荒川、新米の須藤の二人の弁護士が徹平の弁護を引き受け、いよいよ裁判が始まる…。
やってないことをやってないと主張するのは真っ当な事であるはずだ。ところが、逮捕から取調べ、拘留、起訴の過程で、誰もそんな主張には耳を貸さない。これは辛い。疑われた者は端から犯罪者扱いである。ゆえに、たとえ無実であっても無罪を勝ち取るのは難しい。まして被害者は女子学生。片や逮捕された男は就職活動中のフリーターだ。勇気をふるって痴漢を捕まえた少女に当然ながら同情は集まる。果たして加瀬亮演じる主人公・金子徹平は無罪か有罪か。『Shall We ダンス?』の周防正行監督が痴漢冤罪裁判に注目し11年ぶりに放つ新作は裁判を通して矛盾だらけの日本の姿そのものをも浮かび上がらせる。見応え充分の作品である。「硫黄島からの手紙」での憲兵役も記憶に新しい加瀬亮ですが、今回は打って変わって痴漢に間違えられる役を見事に演じています。その他にも周防正行監督作品には欠かせない役所広司や竹中直人も出演していて、それぞれハマり役だと思うのでキャストには全く文句無しです!内容的には2時間ドラマでもよかったんじゃね?と思う人もいるかと思いますが、決してそんな作品ではありませんでした。映画だからこそ伝わってくる法廷の緊迫感や被告の心理などがドキドキ物でしたこの作品は細かい部分まですごくリアルに描かれていて、観客は傍聴席に座って裁判を傍聴しているような気分にさせられます。
そしてこの作品の一番すごいところは、現在の裁判制度を在りのままに事実を全て語っていること痴漢冤罪で捕まった場合、有罪率は99.9パーセントだそうです。つまり無罪は絶対にない。捕まったら“はいお前有罪”と軽く決められてしますのですこれじゃあ日本の男性はたまったもんじゃない!!しかしこれが今の日本の司法なのです…。でも痴漢冤罪の場合は数万円払ったら釈放されるそうです。でも、やってもないのにお金払うなんて良い気分じゃないよね痴漢した人でも冤罪の人でも金払って釈放っていう同じ条件に立たされるっていうのも悲しい現実。「朝入り 昼に出て行く サラリーマン」って劇中でおじさんが言った川柳には“なるほど”って思っちゃったけど(笑)もし冤罪で捕まり、“僕はやってないです”と言い続けた場合は何ヶ月間も尋問されるそうです。つまり簡単にまとめれば…

①自分はやってないけど、罪を認めて金払って釈放される。
②自分はやってないから、“やってない”と言い続けて何ヶ月間も拘留されて尋問を受ける

この2つしかないのです。こんなんで本当に良いのだろうか?
さらに裁判官にも問題あり!被告を無罪にすることは国家に反発することであり、なおかつ「疑わしきは罰せず」という考えを持っている裁判官は昇進できないそうです。だからって、そんな理由でやってないのに有罪にされちゃ被告人も大迷惑というわけで、日本に司法に疑問を感じてしまう、そんな作品でした。途中でちょこちょこ裁判制度に関する説明も言ってくれるので勉強しながら観れた所も良かったと思います。女子高生の勘違いで痴漢に間違われてしまったら…男性ならばそんな事は誰にだって起こりえることです!もしかしたら明日…もうすぐ裁判員制度も始まります。我々一般人が人を裁くという事は、自分たちがその人の人生を決める事なんだとこの映画で学ばされましたぁ…。少なくとも毎朝満員電車に乗っている人には観て欲しい…というか観ておいた方がいいと思います(笑)

この作品の評価・・・・80点

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