股間の解放記

普通の社会人PEKOの、日々思うことをつづっていきます。

私というパズル

2021年05月02日 12時45分51秒 | 映画評論ヤラワ行

製作年:2020年
製作国:アメリカ、カナダ、ハンガリー
日本公開:2021年1月7日
監督:コルネル・ムンドルッツォ
出演:ヴァネッサ・カービー,シャイア・ラブーフ,エレン・バースティン

出産を間近に控えるマーサ(ヴァネッサ・カービー)と夫のショーン(シャイア・ラブーフ)は自宅出産の準備を整えていたが、不運にも死産となってしまう。マーサは待ち望んだ子供を失った喪失感から心を閉ざし、ショーンとの間にも溝が広がっていく。そういった中で彼女は、母親(エレン・バースティン)やショーン、そして助産師(モリー・パーカー)らと向き合おうとする。
自宅出産で子供を亡くした女性が夫や母親との確執を抱えながら、深い悲しみを乗り越えようとする人間ドラマ。妻を演じたヴァネッサ・カービーは第77回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で最優秀女優賞を受賞し、『ハニーボーイ』で脚本家デビューを果たしたシャイア・ラブーフのほか、エレン・バースティン、モリー・パーカーらが共演。『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲(ラプソディ)』などの監督と脚本家、コルネル・ムンドルッツォとカタ・ヴェーベルが組み、製作総指揮にマーティン・スコセッシらが名を連ねる。

生まれてすぐに子供を亡くした女性が悲しみを乗り越えようとする姿を描いた本作。主演を務めたヴァネッサ・カービーは2021年度アカデミー賞主演女優賞にノミネートされました。自宅出産で我が子を失ったマーサ。子供を失った切望や、夫や母親との確執、そして助産師の責任を問う裁判…子供を亡くすだけでも計り知れない悲しみなのに、その後もマーサにとっては辛い苦しい日々が待っていたのです。マーサの心の叫びがとても繊細に描かれており、母親としての愛情と切なさが苦しいほど伝わってきました。冒頭の長回しの出産シーンはリアルすぎて圧倒されました。旦那もいい加減だし、金をもらってマーサの元を離れるという選択肢をしたが、それほど心身ともに疲労していたのかな。誰だって辛い現実から目を背けたくなるだろうし、誰かに罪をなすりつけたくなるもの。
相手の弁護人からの「指は10本あった?髪の色は?抱いたときの気持ちは?」という質問。なんて酷い言い方をするんだろうと思いましたが、それによって何かに気付いたマーサ。一時は自暴自棄になっていたマーサでしたが、“相手を赦すこと”、“たしかに私の元に生まれてきたという証”に気付いた時のマーサの表情がなんとも言えませんでした。ラストシーン。季節が変わり、橋が架かり、リンゴが実り…どんなに過酷な体験をしても、そこからまた人は成長できるのだと教えてもらった気がします。一度は崩れた橋だとしても、また橋を架ければいいのだ。死産という話から命を尊さを描いた良作でした。母親って強いんだな。

この作品の評価・・・・★★★★★★★☆☆☆(満点は★10)
コメント
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