股間の解放記

普通の社会人PEKOの、日々思うことをつづっていきます。

ミッドナイトスワン

2020年09月26日 15時28分54秒 | 映画評論マ行

製作年:2020年
製作国:日本
日本公開:2020年9月25日
監督:内田英治
出演:草なぎ剛,服部樹咲,田中俊介,吉村界人,水川あさみ,田口トモロヲ,真飛聖
映画『ミッドナイトスワン』公式サイト|上映中

新宿のニューハーフショークラブのステージに立っては金を稼ぐトランスジェンダーの凪沙(草なぎ剛)は、養育費を当て込んで育児放棄された少女・一果を預かる。セクシャルマイノリティーとして生きてきた凪沙は、社会の片隅に追いやられる毎日を送ってきた一果と接するうちに、今まで抱いたことのない感情が生まれていることに気付く。
『神と人との間』などの内田英治が企画、監督、脚本、原作を手掛けたヒューマンドラマ。養育費を当てにして育児放棄された少女を預かるトランスジェンダーの主人公が、次第に彼女と心を通わせていく。『台風家族』などの草なぎ剛、『ジャンクション29』などの田中俊介、『太陽の坐る場所』などの水川あさみのほか、服部樹咲、佐藤江梨子、平山祐介、根岸季衣、田口トモロヲ、真飛聖らが出演する。

育児放棄された少女と、トランスジェンダーの主人公の交流を描いた作品。トランスジェンダー役の草彅剛の仕草や表情が素晴らしい!草彅剛であることを忘れるほど、そこにいたのは凪沙でした。そして素朴な田舎の中学生から、バレエを通して徐々に都会に染まっていく一果を演じた服部樹咲ちゃんは新人とは思えないほど素晴らしい演技!この2人の演技力を観るだけでもこの映画は価値があります。生きづらい世の中で、色んな巡りあわせによって出会った凪沙と一果。生きてきた環境は違うけれど、抱えている孤独は2人とも同じなのだろう。「なんで自分だけが…」「なんで自分ばっかりこんな目にあわなきゃいけないの…」。自分が孤独を抱えているからこそ相手が抱えている孤独が感じとれるのだろう。孤独って自分一人で抱えているから孤独と言うのだろうけど、それを誰かと分け合えたら、その孤独から少しずつ解放されていくのかもしれない。凪沙も一果も瑞貴もりんも、環境は違えどみんな「なんで自分だけが…」とそれぞれの孤独を抱えている。社会で生きていくことって苦しいことばかりだと思う。ママが言ってたように「人生は一度転げ落ちたら、やり直す事が出来ない」という言葉が印象的。映画を観ていて凪沙や一果の苦しみを自分自身に置き換えるとすごく考えさせられる場面が多かったです。
一緒に生活していく中で、2人が徐々に身も心も変化していく様子がとても素敵でした。凪沙も一果もバレエをする姿がとても美しかった。「野菜も食べなさい」「洗濯物出しといて」と凪沙が本当のお母さんのように一果に接するシーンは涙腺がウルウルきてしまいました。身体も女性になれた凪沙だからこそ、最後は幸せになってほしかった。でも最後に一果の何の迷いもない堂々とした姿が見れたことが救いでした。後半が少し駆け足になっていたのが惜しい。一果の母親の心境の変化がよく分かりませんでした。
まだまだ日本ではLGBTについて理解されていないことが多い。「オカマなのに」「LGBTの人って大変ですよね」何気ない言葉が相手を傷付けてしまう。でもこれが今の日本のリアル。偏見や差別によって自分らしい生活が出来ない人だって世の中にはたくさんいるし、自分たちが居る社会の現実を突きつけられた感じがしました。

この作品の評価・・・・★★★★★★★☆☆☆(満点は★10)
コメント
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