股間の解放記

普通の社会人PEKOの、日々思うことをつづっていきます。

サラの鍵

2012年07月05日 16時58分58秒 | 映画評論サ行
製作年:2010年
製作国:フランス
2011年12月17日公開
監督:ジル・パケ=ブレネール
出演:クリスティン・スコット・トーマス,メリュジーヌ・マヤンス,ニエル・アレストラップ
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夫と娘とパリで暮らすアメリカ人女性記者ジュリアは、45歳で待望の妊娠をはたす。が、報告した夫から返って来たのは、思いもよらぬ反対だった。そんな人生の岐路に立った彼女は、ある取材で衝撃的な事実に出会う。夫の祖父母から譲り受けて住んでいるアパートは、かつて1942年のパリのユダヤ人迫害事件でアウシュビッツに送られたユダヤ人家族が住んでいたというのだ。さらに、その一家の長女で10歳の少女サラが収容所から逃亡したことを知る。一斉検挙の朝、サラは弟を納戸に隠して鍵をかけた。すぐに戻れると信じて…。
弟との約束を守りたい一心で鍵を握りしめ、迫害の地獄絵を生き延びようとする少女が背負ったあまりにも残酷な運命に胸の奥をえぐられるような衝撃を受ける。さらに、たとえ幸せな家庭生活を壊す事になっても真実を追究せずにはいられないジュリアが、一人の人間として選び取って行くひとつひとつの決断も、実力派女優クリスティン・スコット・トーマスの好演もあり、観る者の心に強く訴えかける。

ナチスのこと、ユダヤ人迫害のことを描いた作品は今までにも幾つか観てきましたが、本作少し違った視点で描かれています。過去の出来事と現代の出来事を交互に描き、家族のことについて徐々に明らかになっていく過程は、とても良かったと思います。家族を失い、幼い弟が自分のせいで死んでしまったことの後悔…サラの人生は波乱万丈であり彼女の人生が幸せだったのかは分かりません。でも弟のために危険を冒してまで助けにいこうとする姿には感動しました。いつの時代も愛する人のために行動できる人間は素晴らしい。遠い過去の出来事であっても今の自分がいるのは“過去”があったからだと思う。人間って“過去”のために“いま”を大切にして生きていかなきゃいけないのかもしれない。

しかし過去の出来事が強烈過ぎていて、現代の出来事にもう少しインパクトが欲しかった。中盤で“サラの鍵”の真実が判明してしまうため、そこからの話にもまたインパクトが弱いかな。淡々と進んでいく作品ではありますが、暗い中にも温かくて大切なメッセージが伝わってくる作品でした。

この作品の評価・・・・75点
コメント
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