股間の解放記

普通の社会人PEKOの、日々思うことをつづっていきます。

プレシャス

2010年11月19日 00時24分36秒 | 映画評論ハ行
製作年 : 2009年
製作国 : アメリカ
2010年4月24日公開
監督・脚本 : リー・ダニエルズ
出演 : ガボレイ・シディベ,モニーク,ポーラ・パットン,マライア・キャリー
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ニューヨーク・ハーレムに暮らす16歳の黒人少女プレシャスは、二人目の子どもを妊娠していた。二人とも、実の父親に性的虐待されてできた子どもだ。彼女は実の母からも虐待を受けている。妊娠の事実が学校に知れ、プレシャスは学校を退学になる。代替学校に通い始めたプレシャスは、レイン先生と出会い、文字が読めるようになり、自分の感情を文字で人に伝える方法を知る。そして、劣悪な環境から抜け出そうと戦い始める…。
ハル・ベリーに黒人女性初のアカデミー主演女優賞をもたらした映画『チョコレート』でプロデューサーを務めたリー・ダニエルズが、初監督した本作。家族からの虐待に苦しむ黒人少女が、文字を知ることにより自我を確立し、自身の可能性を大きく広げて行く物語だ。彼女を襲うのは、目を覆いたくなるようなむごい現実の数々。しかし、彼女は自分をしっかりと持ち、周囲の人々に支えられながら生き抜こうとする。自身も虐待を受けていたという監督がプレシャスに託した希望が、強いメッセージと共に伝わって来る作品だ。プレシャスを虐待する母親を演じたモニークが、物語終盤に見せる凄まじい独白にも注目して欲しい。

実父、義父、そして母親からも虐待を受けた少女が、周囲の人の助けによって希望を見出していくという作品。よくある“ラストはハッピーエンド♪”かと思いきや、この映画は最後の最後まで暗い。しかし、それが今実際に起きている現実なのであって観ている側にとっては納得もするし考えさせられる。
わずか16歳で2人の子持ち。親にも見離されて少女は“人を信じること”“人を愛すること”を拒むようになります。そんな中でも少女を助けようと必死で支え続ける先生や友達。
そして少しずつ光が見えてくるわけです。イジメや虐待など、暗いシーンばかりなのですが、途中で入るプレシャスの“妄想シーン”が、この作品の暗さを感じさせずにしています。
母親からの暴力は、観ていて本当に腹が立ちました。なぜこんな事をされても家にいようとプレシャスは思うのか。それは心のどこかで“誰かに愛されていたい”という気持ちが1%でもあるからだと思います。人は皆“誰かに愛されたい”と思っている。けれどそれを素直に出せないから人は人を傷つけるのだろう。ラストシーンの母親の言葉がすごく印象的でした。「本当に人って孤独な生き物なんだな」って思ってしまいます。
あの後、プレシャスがどうなったのかまで描いてほしかったです。まぁCGばっかり使いたがる最近のハリウッド映画なんかよりも観る価値ありの良い作品でした。

母親役のモニークも良いが、先生役のポーラ・パットンの演技がとっても好き。あんな親身になってくれる先生が傍にいたら、きっとプレシャスはこれから新しい人生を始められると思います。

この作品の評価・・・・79点
コメント
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