軌道エレベーター派

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ゲゲゲの女房の亭主

2010-07-27 21:43:12 | その他の雑記
 。。。というのはつまり"ゲゲゲ"の著者本人なのですが、見出しにこう書けばアクセスが上がるのでは、などとしみったれた考えでこう書きました。下記で強化月間をシフトすると書いたので、もう今月は軌道エレベーターの話題限定という縛りから自らを解放して、今回は自由な話題をば(それなら即興で書けますんで)。

 記録的な低視聴率でスタートした後、ぐんぐん上昇してトップクラスに躍り出たNHKの連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」。私もけっこうお気に入りです。ところで、個人的に「と学会」の会員の方とご縁があり、例会にも出させていただいたことがあるのですが、このと学会が先月、「トンデモマンガの世界2」(楽工社刊。以下「本書」と呼ぶ)を出版しました。本書の1作目でゲゲゲの女房の亭主、つまり水木しげるが1958年に描いた「ロケットマン」という、ヒーローものの作品を取り上げています。

 ストーリーと詳しい批評は本書を読んでいただきたいのですが、この「ロケットマン」、ブラックと言うかひねくれていると言うか。。。上っ面で安易かつ一面的な主人公に喝采を送りたがる読者あるいは世間を、小馬鹿にしているとさえ思える皮肉を感じる珍作なのです。21世紀の作品で例えるなら、ドラマの「トリック」のノリのような。。。
 何度もアニメ化された「ゲゲゲの鬼太郎」の原作。。。と言っていいのか、水木しげる作の「鬼太郎」はわずかしか読んだことがないのですが、悪い妖怪や悪霊の退治をするという、まあ普通の少年ヒーローものと構図の変わらないアニメ版と違い、世間を風刺する内容のドライでシニカルなものだったのが印象的でした。
 こうした作風は、ドラマのような売れない貧乏漫画家生活の頃(最近やっと売れてきたけど)よりも後の、人気が出て軌道に乗ってから確立したのでは。。。というよりも、高度成長期前の、色んな意味で余裕のない日本人には通じないのではないかと思っていたのですが、「ロケットマン」(の批評)を読んで、この作家は50年以上も前にこんな人を食った作品を描いていたのか、と面喰ってしまった。

 唐沢俊一は「昭和ニッポン怪人伝」(大和書房)の中で、手塚治虫と対極、あるいは双璧に位置する漫画家として水木しげるを取り上げ、彼には「戦後の日本人たちがみな、目的と手段を取り違え、忙しく立ち働くことこそが生きる目標、として自分の肉体をいじめ続けている姿が、奇妙に思えたのだろう」と述べています。手塚治虫の方が小物みたいな書き方なんですよ。
 本書では「『水木しげる』は、最初から『水木しげる』だった!」と見出しが立っています。こうした見方と合わせて、妙に納得できたような気がしてしまいました。私は自分はけっこうな皮肉屋だと思っているのですが、とうてい及びませんね。ドラマの中でも、水木しげるはかなりドライな人物として描かれていますが、本書と合わせて観るのも一興です。

 ちなみにどうでもいいんですが、別の番組に向井理が出演しているのを観て、「あ、両腕ある」などと、かえって違和感を感じたのは私だけでしょうか。(敬称略)
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