温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

鶯宿温泉 寿広荘

2013年06月30日 | 岩手県

先日岩手県盛岡へ所用で出かけた際、市内のビジネスホテルに宿泊するのは芸がないので、ちょっと足を伸ばして鶯宿温泉で一泊することにしました。そのついでに当地で湯めぐりをしたときの訪問記が前回および前々回の記事です。2箇所湯めぐりした後に宿泊したのは、直前でも某大手宿泊予約サイトから予約でき、且つ平日限定のリーズナブルなプランが利用できた「寿広荘」です。数ある鶯宿温泉の旅館でも最も盛岡側に位置しており、「けんじワールド」の手前です。広い駐車場に車を止められるので、盛岡市街地のホテルのように駐車料金を徴収される心配なんて全く無用。
広い敷地に縦長な平屋の建物がずっしり構えており、ゴージャスな旅館なんだろうなと想像しながら玄関から中に入ると、フロントは意外とコンパクトにまとまっており、スタッフの方も肩肘張らないアットホームでハートフルな対応でした。



廉価なプランだったのでお部屋には期待していなかったのですが、入室してみたら、とても広くて綺麗なお部屋にびっくり。一人じゃ持て余しちゃう広さです。お部屋にはトイレがついており、テレビもエアコンも冷蔵庫も完備です。


 
広縁からは中庭が見下ろせ、見晴らしの良い窓から気持ち良いそよ風が吹き込んできます。お世辞抜きで気持ち良いお部屋でした。


 
夕食の前にひとっ風呂浴びましょう。てことで大浴場へ。籐のソファーが置かれた浴室入口のラウンジには国鉄盛岡鉄道管理局当時の新幹線上野駅開業を告知するポスターが掲示されていました。上野開業って1985年ですから、今から28年前のものなんですね。もうそんなに経つのかぁ(個人的な想い出話ですが、鉄道少年だった私は当時の赤羽駅でカメラを構えていたことがあったのですが、新幹線大宮暫定開業時の東北本線を走る優等列車は185系200番台の新幹線リレー号ばかりだったので、子供心に「またリレー号!? つまんないなぁ」と不貞腐れたものです)。当時のポスターってこんなスケベ親父臭がプンプンするものだったのか…。



綺麗でよく手入れされている脱衣室。ちょっと実用本位な構成なので、旅館というよりスポーツクラブのような感じもします。棚はすべて無料のロッカー。洗面台に用意されているアメニティー類の品揃えもまずまず。


 
タイル貼りで落ち着いた雰囲気の内湯は、清掃が行き届いていて気持よく利用できました。室内の右側にはシャワー付き混合水栓が7基一列に並んでいます(カランのお湯は真湯です)。


 
浴槽はひとつのみですが、その容量はかなり大きく、無色透明のお湯が湛えられていました。岩の湯口からは不自然なまでに大量のお湯がドバドバ投入されているのですが、それもそのはず、内湯はしっかり循環されているのでした。館内表示によれば温度の状態によって加温や加水が行われ、循環や消毒を実施しているとのこと。お湯からは鶯宿温泉らしい知覚的特徴は失われており、単なるお湯と化していましたが、それでも消毒臭さがほとんど感じられなかったのは喜ばしいところでした。


 
内湯から戸を開けてステップを登り下りすると露天風呂です。浴槽自体はそこそこの大きさが確保されているのですが、腰を掛けたり休憩できるようなスペースが無く、露天に出る通路を歩くとそのまま浴槽へドボンと直行せざるを得ないような構造になっていました。
頭上は屋根が覆われており、屋外側には蚊帳の網が張られていて、露天と言うよりは半露天といった佇まいです。浴槽自体は手前側から4段構造になっていて、奥に向かって徐々に深くなる造りとなっています。



露天に浸かってお庭を眺めるとこんな感じになります。画像で感じるよりも圧迫感や閉塞感は無く、虫のすだきやそよ風を感じながら湯浴みすることができました。


 
内湯と違って露天のお湯は掛け流しの湯使いなんだそうでして、それを証明するかのように湯船のお湯は弱い白色系の貝汁濁りを帯びており、湯口では弱いながらもタマゴ感と軟式テニスボール感を足して2で割ったような明瞭な硫黄の味と匂いが感じられました。使用源泉は前回取り上げた「あけぼの荘」と同じく「あさひの湯」ですが、同民宿で見られたような湯の花は確認できなかったものの、お湯の鮮度が良好な朝一番に利用してもやや青みを帯びた貝汁濁りを有していたので、お湯の濁りは湯疲れなどではなくてお湯の個性に由来するものかと思われます。館内表示には露天でも消毒を実施している旨が明記されていましたが、内湯同様こちらもそれらしい匂いは特に感じられませんでした。なお湯船のお湯は縁からオーバーフローせず、浴室側の流路より排湯されていました。


 
「寿広荘」のご自慢施設が「みんなの石の湯」と称する施設。ざっくり言えば岩盤浴の岩盤を砂利に替えたようなものなのですが、館内廊下にはこの施設に関する特許・実用新案・登録商標の各証が掲示されており、いわゆる岩盤浴とは一線を画するべきものであることがわかります。この「石の湯」を利用する場合、日帰り入浴でしたら別途料金が必要ですが、宿泊客は1回限り無料で利用できるので体験してみることにしました。
まずフロントで専用の浴衣・タオル・茣蓙・そして水分補給用のミネラルウォーターを受け取ります。大量発汗するので利用前や利用中の水分補給が欠かせません。



浴室(脱衣室)もしくは石の湯エリアの更衣室で専用の浴衣に着替え、この扉の向こうへと入室です。室内構造としては上述したようにいわゆる岩盤浴に似ており、室内に敷き詰められている礫の上に茣蓙を敷き、その上で10分ほど寝っ転がっていればよいのですが、その僅かな時間にもかかわらず、そんじょそこらの岩盤浴なんて目じゃないほど大量に発汗するので本当にビックリしてしまいました。



「石の湯」の隣には涼み処もあるので、こちらで一休みしながら水を飲み、落ち着いたら再び「石の湯」に入って汗をかく・・・今回はそれを3セット繰り返し、おかげで心身ともすっきりさっぱりできましたよ。

綺麗なお部屋とお風呂、そして大量発汗できる「石の湯」が利用でき、且つリーズナブルなプランも用意されている、とてもコストパフォーマンスの良いお宿でした。ビジネスホテルよりもはるかに充実した時間が過ごせ、しっかりくつろげましたよ。


あさひの湯(混合泉)
アルカリ性単純温泉 51.9℃ pH8.9 溶存物質0.6075g/kg 成分総計0.6075g/kg
Na+:145.2mg(80.10mval%), Ca++:28.9mg(18.25mval%),
Cl-:45.8mg(16.37mval%), HS-:0.9mg(0.38mval%), SO4--:286.3mg(75.63mval%)
H2SiO3:63.7mg,
内湯:温度が高いとき加水、浴槽の温度が下がったとき加温、衛生管理のため循環ろ過、塩素系薬剤を使用、
露天風呂:加水なし、浴槽の温度が下がったとき加温、温度維持のため循環、塩素系薬剤を使用、

岩手県岩手郡雫石町鶯宿夜明沢21-1  地図
019-695-2465
ホームページ

日帰り入浴9:00~21:00
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
コメント
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