温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

湯の鶴温泉 きく(喜久)の湯

2013年06月22日 | 熊本県
 
温泉で傷を癒す鶴の姿を見つけた平家の落人によって発見されたという伝説が残る、熊本県水俣市の湯の鶴温泉は、本当に落人が潜んでそうな山奥の谷の川に沿って旅館が建ち並ぶ仙境の温泉地ですが、そんな湯の鶴温泉にも共同浴場があると聞き、前回取り上げた「湯川内温泉」を出発した日の午前中に訪問してみることにしました。鹿児島県出水市から狭隘な山道が続く矢筈峠を越えて湯の鶴温泉に至り、温泉街の一本道を川下へ向かって走っていると、温泉街を抜ける手前で「きくの湯」の駐車場を発見しました。意外とわかりやすいところにあったので拍子抜け。でも共同浴場なのに駐車場が用意されているのはありがたいですね。その専用駐車場に車をとめて・・・



駐車場脇の急な階段で川へ下ってゆきます。


 
目指すは川の対岸に建っている、いかにも古そうな瓦屋根の小さい湯屋です。湯屋の川上側にはちゃんと休憩所もあるんですね。欄干のない、増水したらたちまち沈降してしまいそうな心細い橋を渡ります。


 
建物に入って狭い通路を進むと無人の番台があり、窓口内のカウンターに料金箱が置かれていました。基本的には地域民のためのお風呂なのでしょうけど、外来者にも開放されております。100円玉を一枚投入して男湯へ。



共同浴場ですからレイアウトや備品類など、浴場内の諸々は至って簡素です。脱衣室も2~3人同時に使えば窮屈になりそうな感じのコンパクトな空間なのですが、その割にはなぜか棚の数が多いのが不思議です。


 
浴室は無人施設とは思えないほど綺麗な状態が保たれており、桶や腰掛けなどもきちっと整理整頓されていました。地元の方がこの浴場に対して抱く愛情が伝わってきます。



手書きの注意書きが良い雰囲気を醸し出していますね。「犬・猫等小動物の入浴をさせないで下さい」とは恐れ入ります。保健所からの達しが無くたって今ではそんなことをする人はいないでしょうけど、昔は少なからずいたんですね。


 
木のカバーに覆われた配管から源泉がトポトポと注がれています。長方形の浴槽は7~8人サイズで、右側の縁の切り欠けより常時排湯されていました。湯船に湛えられているお湯は無色澄明でこの上なく清らか。槽内の青いタイルがその清らかさをより際立たせています。
湯口のお湯を手に掬って口にしてみますと、強くはないけれども明瞭なタマゴ味、そして甘味が感じられ、弱いながらもタマゴ臭が鼻へ抜けてゆきました。


 
加温も加水も行われていない完全掛け流しの湯使いでして、源泉温度が41℃とやや低いため、湯口では39.5℃ですが、浴槽中央では38.0℃となっていました。明らかに夏向けのお湯ですね。しかしながら不感温度帯ですから体への負担が軽い状態でいつまでもじっくりと長湯することができます。またツルツルスベスベの浴感がとても爽快であり、入浴中は何度も肌をさすってしまいました。



しかも肌へしっかり気泡が付着するので嬉しいではありませんか。この泡付きが爽快な浴感をより高めてくれるので、極上なバスタイムが楽しめました。こんな素晴らしいお湯なのに100円だなんて夢のようだ…。


アルカリ性単純温泉 41℃ 他データ不明

熊本県水俣市湯出
(詳しい場所の特定は控えさせていただきます)

8:30~18:00
100円
備品類なし

私の好み:★★★
コメント (4)
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