温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

紫尾温泉 旅籠しび荘

2013年06月13日 | 鹿児島県
 
前回に引き続き鹿児島県の紫尾温泉を取り上げます。今回はお客さんからの評判が高い紫尾温泉「旅籠しび荘」に宿泊した際のレポートです。


●お部屋・食事
 
この日通されたお部屋は2階の「砂宝の間」という8畳和室で、窓からは中庭や緑豊かな裏山が望めました。よくお手入れされており、清掃状況は文句ありません。チェックイン時には既に布団が敷かれており、入室してすぐにゴロンと横になることができました。ふっかふかの布団は本当に気持ち良かったですよ。なお部屋にはエアコンやテレビ・ドライヤーなど一通りの備品が用意されていますが、冷蔵庫は無くてトイレも共用です。また網戸がきっちり閉まらなかったので、日が暮れると照明をめがけて集まってくる夥しい数の蛾や蜉蝣が部屋の中に侵入し、しばらくは虫退治に追われてしまいました。暑い日には迂闊に窓を開けず、エアコンを使ったほうが賢明かもしれません。



こちらのお宿は料金の割にお食事のボリュームが素晴らしく、無芸大食の私は大喜び。お食事は夕食朝食ともい別室でいただきます。夕食の時間に指定されたお部屋へ入りますと、卓の上には前菜(エビ・鴨肉・そら豆)や海鮮のお刺身が用意されていました。


 
続いて馬刺し・トビウオの塩焼き・ししなべ(シシ肉を筍や人参などと一緒に似た鍋)、そして黒毛和牛や地物の豚肉のしゃぶしゃぶが出されました。トビウオは私の大好物ですし、しゃぶしゃぶのお肉も柔らかくて旨味も強くて超絶品。目の前に出された時にはボリュームの多さに胃袋が怯えていたのですが、美味しさゆえにあっという間に平らげてしまいました。


 
お吸い物の右隣りは紙に包まれたグラタン。食後のデザートは干し柿を凍らせたもので、半解凍状態になるとシャーベット状になり、柿の甘さとトロトロ感、そしてシャーベットのシャリシャリ感が同時に楽しめました。


 
こちらは朝食。色とりどりの小鉢が心を弾ませてくれます。豆の風味が豊かなおぼろ豆腐は、まだ本格稼働していない胃袋には優しく、おかげで残すこと無くしっかり完食することができました。


●露天風呂
 
帳場前から一旦屋外へ出て、鯉がたくさん泳ぐ池の脇を通って離れの湯屋へ。



女将さん曰く「今だったら露天は誰もいないでしょうから、ゆっくりできますよ」とのことでしたので、内湯は後回しにして、湯屋棟の廊下の突き当りある露天風呂へとやってきました。


 
露天風呂は一つしかないので貸切使用です。利用の際には入口扉の横にぶら下がっている札を裏返して、使用中か空いているかを示します。



川沿いに設けられた2人サイズのかわいらしい岩風呂。川岸のちょっと下がったところに位置しており、川側にはフェンスが立ちはだかっているため、ロケーションの割りには圧迫感が否めません。でも川に沿って吹く風を頬に受け、清流のせせらぎを耳にしながらの湯浴みは爽快でした。
夜になると蛍が飛び交い、持参していたペンライトで点滅させると、それに呼応してたくさんのホタルたちが一斉に光を放ってくれました。蛍が飛び交う露天風呂ってロマンチックですよね。


 
うっすら緑色を帯びた透明なお湯からは硫黄の香りが漂っており、岩の湯口から落とされたそのお湯は間断無く川へと溢れ出てゆきます。あまり開放感はありませんが、岩や緑など自然環境の中に籠ったような秘湯感が楽しめました。


●内湯

内湯は公衆浴場代わりに使う地元のお客さんも多いようでして、外来客の利用時間が終わる夜9時まではポツンポツンと常連と思しき爺様がやってきて、その客足は途切れることがありませんでした。混雑する「神の湯」を敬遠し、100円プラスしてゆったり入れるこちらを選ぶお客さんが一定数いるってことでしょう。


 
浴室には形状の異なる浴槽が1つずつ、そして奥側に洗い場が配置されています。洗い場の水栓は真湯と水道のペアが4組設置されており、うちお湯の1本はシャワーです。



ふたつの浴槽にはそれぞれ異なる源泉が注がれており…


 
中央に据えられたタイル貼りの小判型浴槽には、獅子の口から1号泉が落とされています。お湯は淡いエメラルドグリーンを帯びた透明でして、タイルの水色がお湯の清らかさを際立たせています。言わずもがなお湯は掛け流し、ゆるやかなカマボコ型を描く浴槽縁の上を滑るように床へと溢れ出ていました。やや熱めの湯加減で明瞭なタマゴ臭と味が感じられ、前進翼するとヌル感を伴う心地良いツルスベ浴感に包まれました。


 
一方、浴室左側にある逆台形の天然石で造られた浴槽には、紫尾温泉でもここでしか入れない下の湯源泉が注がれており、このお湯が秀逸。1号泉より濃いエメラルドグリーンを有しており、コップでお湯を飲んでみますとタマゴ臭が鼻孔へ抜け、ほろ苦さと甘露を伴う芳醇なタマゴ味が感じられました。また1号泉よりヌルツルスベ浴感もはっきりしています。さらには、やや熱めな中央の浴槽とは対照的に、こちらは40℃程度のぬるめの設定となっているためにいつまでも長湯ができ、芳しいタマゴの香りと心地良い浴感、そしてぬるめの湯加減というファクターが相俟って、湯船から出ようにも出られなくなるほど、素晴らしいお湯でした。


下の湯
単純硫黄温泉 44.0℃ pH9.2 自噴 溶存物質323.3mg/kg 成分総計323.5mg/kg
Na+:76.8mg(96.25mval%),
HS-:12.1mg(8.10mval%), HCO3-:141.0mg(50.55mval%), CO3--:43.2mg(31.51mval%),
H2SiO3:32.8mg, H2S:0.1mg,
(平成19年6月13日)

1号泉
単純硫黄温泉 50.3℃ pH9.4 溶存物質373.0mg/kg 成分総計373.0mg/kg
Na+:110.2mg(97.56mval%),
HS-:12.2mg(7.76mval%), S2O3--:1.0mg, HCO3-:141.6mg(48.64mval%), CO3-:51.6mg(36.06mval%) 
H2SiO3:40.8mg,
(平成13年9月14日)

鹿児島県薩摩郡さつま町紫尾2168
0996-59-8001
ホームページ

外来入浴8:00~21:00、宿泊入浴6:00~22:00
外来入浴300円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント (2)
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