温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

市比野温泉 丸山温泉

2013年06月08日 | 鹿児島県
 
「ひと目会ったその日から、恋の花咲くこともある・・・」とつづくフレーズを桂三枝(現文枝)と西川きよしがオープニングで叫んでいた懐かしの番組といえば関テレの「パンチDEデート」ですが、異性に限らず、湯めぐりをしているときでもつい一目惚れしてしまう温泉ってありますよね。駐車場に立っているこの手書きの看板を一目見たその時から、私は市比野温泉の「丸山温泉」という浴場に心がときめいてしまいました。普段は異性に対して臆病な私も、相手が温泉となれば話しは別。看板を目にするや、即座に車をとめてアタックすることにしました。



城後川の土手すぐ上に建つ古びた湯屋という光景も、鄙びた温泉を愛する私の心をくすぐります。



駐車場の脇から細いアプローチを下ると、湯屋の手前にこれまた年季の入った番台が小さな窓口を開けており、窓口の向こう側で座っていたおばちゃんが愛想良く対応してくれました。この番台の左側には温泉が出る飲泉用の蛇口が取り付けられています。
番台の左側が公衆浴場の湯屋なのですが、その更に左に建つ濃いグレーの建物はおそらく家族風呂なのでしょう(上の画像には見切れる程度にしか写ってませんが…)。



古い公衆浴場らしく、脱衣室は至ってシンプルで、板の間の室内には棚や腰掛け、そして扇風機が用意されているだけです。


 
タイル貼りの浴室の真ん中には、角がRになっている四角形の浴槽がひとつ据えられています。窓にはカラフルな桶が並べられていました。窓の外には草が青々と茂る川原が広がっています。


 
脱衣室との仕切りは、戸の鴨居より上はアクリル波板で、下はすりガラス。川原から浴室へ差し込む外光は、こうした半透明の素材を通して更に脱衣室へと透過しているのでした。また女湯との仕切りにはガラスブロックが用いられており、さりげないオシャレが施されていました。タイルが貼られていない天井や側壁上部はモルタルの上に白いペンキが塗られているにですが、ところどころの塗装が剥げて全体的にくすんでおり、見るからに相当草臥れています。けれどもお手入れはきちんと行き届いており、入浴で接する部分に関しては不快なところは全く無く、気持よく利用できました。
洗い場にはシャワー付き混合水栓が2基と、押しバネ式の水栓(湯と水のペア)が1組設置されており、水栓から出てくるお湯は源泉です。


 
角が取れた四角い浴槽は3~4人サイズ。使われ続けて何十年と経っているのでしょう、長い年月の間に貼られていたタイルが次々に剥がれていき、その都度別の色のタイルで補修してきたため、今では統一感に欠ける色調になっているのですが、これは寧ろ斬新なデザインとして捉えるべきなのでしょうね。浴槽の角には古い湯口とコックがあるのですが、これは現在使われておらず、その代わり川原の方から窓を越えて伸びてきている配管が浴槽のところでクイっと立ち上がっており、その先に取り付けられている蛇口から源泉が落とされていました。お湯の投入量は客が任意で調整できるようですので、鮮度感に溢れるお湯を存分に味わいたかった私は、コックを思いっきり開いてドバドバ投入させてもらいました。浴槽を満たしたお湯は惜しげも無く溢れ出てゆきます。浴室の床は川へ向かってかなり大きく傾いているため、オーバーフローしたお湯は全てが川側へ流れていきました。

お湯はやや熱めの44℃くらい、無色澄明無臭でほぼ無味ですが、アルカリ性単純泉によくある微収斂のようなものが感じられました。お湯に触れた指先を軽く擦るだけでヌルヌルスベスベとした感触が得られ、全身浴するとまるでローションの中に浸っているかのような気持ちのよいツルスベ浴感を楽しむことができました。渋い佇まいの公衆浴場で浴びるツルスベのお湯は、この上なく爽快。私の一目惚れに間違いはありませんでした。


単純温泉 52℃ pH?
(詳細なデータ不明)

川内駅よりいわさきバス「入来駅」行き(40・41番)で「市比野」下車、徒歩1~2分
(バスの時刻は時刻表検索サイト「九州のバス時刻表」で検索してください)
鹿児島県薩摩川内市樋脇町市比野2295-6  地図
0996-38-1358

7:00~22:00
150円
備品類なし

私の好み:★★★
コメント (2)
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