おねえちゃんの独り言

「おねえちゃんの独り言」のブログ版
(・・・って、そのまんまだけど)

借りてきた犬

2013-10-19 21:29:18 | Weblog
 よく「借りてきた猫」などと言う。私からすると、猫なんていつだってどこだってマイペースで気まぐれ、借りてきたところであのふてぶてしさに変わりはないだろうと思ってしまう。猫を飼ったことがあるわけでもなければ、猫が好きなわけでもないので、実際のところはよく分からないが。
 一方、犬のほうは環境による態度の変化が著しい。慣れない場所や相手に対しては、それこそまさに「借りてきた猫」状態、いや「借りてきた犬」。実におとなしく、人間が見ても分かるほど目がおびえていたり(犬って、びっくりするほど表情が豊かだと思う)不安そうだったり、時には体全体が震えていたりもする。
 これが慣れてくると非常に(言葉は悪いが)つけあがって調子に乗る。しかし、それで怒られたりするとまた極端なほどにおとなしくなったりする。同じ犬とは思えないぐらい態度がコロコロ変わる。猫にそんなことが起きるのだろうか???
 さて、10月最初の木曜日のことである。うちの庭にどこからか小型犬が迷い込んだ。ガリガリに痩せてプルプルと全身をふるわせている。しかし何故か、うちの庭から出ていこうとしない。うちの裏は斜面で緑地帯なのだが、柵の隙間からそこへ出ていっても、すぐにまた戻ってくる。一体全体どこから来たのか、どんな事情でうちに入り込んだのか。首輪もしていないから、故意に捨てられたのか? しかし、これまで室内で飼われていた犬であることは明らかだ。
 可哀想になって餌(もちろんドッグフードの持ち合わせなどないので、人間用の食べ物だが)を少しやってみると、おそるおそる食べる。夜は外ではあまりに寒いだろうとガレージに入れてやる。翌日には、ついついドッグフードまで買ってくる。そんなこんなで、ますますうちに居着いてしまう・・・
 さてこの犬、最初の1日は見事なまでに一切の声を出さなかった。吠えない、うならない、鳴かない。ガレージに入れられても全くの無言。声帯を除去されているのかと思ったほどだ。それが2日目に入る頃からだんだん図々しくなってきて、ガレージなんかに入れようものなら家に入れろと一晩中、それはもう驚くほど吠え続け、ガレージのドアを前脚でひっかき続ける。仕方ないので綺麗に洗って家に入れてやったら今度は、寝室に入れろ、一緒に寝かせろと、寝室のドアの外でくんくんと鳴く。初日の猫かぶりは何だったの?! ってか、ここでも「猫」かぶりっていう言葉。「借りてきた犬」「犬かぶり」のほうが適切なんじゃないのか???
 なにはともあれ、この犬は見事なまでに勝手に我が家に居着いてしまった。子どもは大喜びで、犬にポチという名前をつけて一緒に遊んでいる。朝もポチと遊びたくて早起きするし、朝食を食べるスピードも3倍になって学校に行く前から庭でポチと走り回る。学校から帰ってくればまたポチと遊び、夕食後もすっかり暗くなるまでポチと庭を走り回っている。餌係も当然、子どもの役目となり、犬もすっかり子どもと遊ぶのを楽しみにするようになってきた。
 もちろん、私は必死で飼い主、もしくは引き取り手を探した。あそこまで子どもに懐かれて、ここが自分の家ならうちで飼うことにしたかもしれないが、しょせんは借家。犬なんか飼ったら契約違反だ。迷い犬のせいで家から追い出されたりしたら、しゃれにならない。そしてポチがうちに現れた日からちょうど2週間目の木曜日、私がネットに出した情報を見てやってきた夫婦にめでたくもらわれて行った。
 すっかりうちを我が家だと思ってしまったポチは、最初はその夫婦を警戒して逃げまどっていたが、最後はダンナのほうにしっかりと抱かれ(オカーチャンのほうはあまりに巨大だったせいか、びびりまくっていた)、不安そうな目でこちらをじっと見ながらも抵抗を止めて去って行った。車の窓越しにポチに別れを告げた子どもは、もちろん大泣き。ポチがうちにいた時は煩わしく思っていた私まで、いなくなるとなんだか寂しくてホロリ。
 ポチくん、短い間だったけど、うちの子の親友になっていっぱいいっぱい遊んでくれて、どうもありがとう! 新しい家で、どうか幸せになってね!!!
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« アメリカ政府機関は機能停止... | トップ | It's yours, FREE!!! »

Weblog」カテゴリの最新記事